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BlackBerry「Jakarta」はインドネシアで起死回生できるか

2014.01.29

Updated by Hitoshi Sato on January 29, 2014, 06:00 am UTC

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(ジャカルタのBlackBerryの中古端末を扱っているショップ)

カナダのスマートフォンメーカーBlackBerryはインドネシアにおいて新しいスマートフォン「Jakarta」を2014年4月に販売する計画がある。このスマートフォンは、ソフトウエアはBlackBerrが供給し、ハードウエアは同社の新しいパートナーである台湾の携帯電話機メーカーFoxconnが製造する予定である。「Jakarta」は言うまでもなくインドネシアの首都ジャカルタである。

インドネシアはかつて世界で一番BlackBerryが人気ある市場だった。現在では同国のスマートフォン市場はAndroid搭載の端末が急拡大してきている。それでも2013年Q3(7月~9月期)のインドネシア市場でのスマートフォン出荷は、サムスン、現地OEMのSmartfrenに続く3位であった。なお4位には僅差で中国のLenovoが続いている。ここまでAndroidが急拡大しつつも、日本や先進国のように端末の買い替えペースが速くないので、まだインドネシアには多数のBlackBerryユーザーが存在している。インドネシア最大(加入者約1.3億)の通信事業者Telkomselではスマートフォンユーザー1,350万のうち約66%の890万がBlackBerryユーザーである。通信事業者XL(加入者約6,000万で2位)にはBlackBerryユーザーが300万いる。また3位の通信事業者Indosatのスマートフォンユーザーのうち44%がBlackBerryを利用している。このように世界的にはBlackBerryの凋落が伝えられているが、インドネシアではまだBlackBerryユーザーが多数いる。

なお、今回BlackBerryと提携して端末を製造する台湾のFoxconnは今後5年間にわたってインドネシアで現地企業Erajaya Swasembadaと提携を行い100億ドル投資する予定である。そのためインドネシア政府はFoxconnに対して減税措置などを図る予定もある。人口2億人を超えるインドネシアは端末メーカーにはとても魅力的な巨大市場である。

モバイルOS市場シェア1%まで落ち込んでしまったBlackBerry

2013年第3四半期(7~9月期)における世界の市場全体のスマートフォン出荷台数は、前年同期の1億7,280万台から45.5%増えて2億5140万台になったが、その90%がAndroidとiOSである。Strategy AnalyticsによるとAndroidのシェアが拡大した主な要因はBlackBerryの低迷であり、たしかにBlackBerryの市場シェアは前年同期の4.3%から1.0%に低下した。その要因としてあげられるのが同社からリリースされた新OS「BlackBerry 10(BB10)」の製品ラインアップが振るわず、従来のBlackBerryユーザーが買い替え時にAndroidのスマートフォンに乗り換えてしまったのだろう。
また業績も芳しくない。BlackBerryの発表によると、2013年9~11月の第3四半期決算は44億ドル(約4,580億円)の純損失で、売上高は前年度同期の27億3000万ドル(約2,850億円)から大幅減の約11億9,000万(約1,240億円)で販売台数も第2四半期と比べて180万台減少している。

▼2013年Q3時点での世界のモバイルOSの出荷台数とシェア(2013年11月発表)
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(Strategy Analytics発表資料を元に筆者作成)

BlackBerryはインドネシアで起死回生できるか

インドネシアでまだ人気があるBlackBerryだが決して安泰ではない。むしろ前途は厳しい。最近ではスマートフォンのバリエーションも増え、安価だがデザイン、性能に見劣りしない端末も増加している。
かつてBlackBerryはインドネシアでは高価なハイエンドの「あこがれの端末」であっため、若者や学生では購入できない人も多く、デザインを真似した「BlueBerry」や「RedBerry」といったBlackBerryの類似端末も多数市場に出回っていた。しかし若者もBlackBerryへの興味関心は薄れている。むしろBlackBerryはビジネスマン中心に利用されていることから、「おじさんが持つ端末」のイメージが強いことから敬遠されがちである。BlackBerryは中古端末として大量に市場に出回っているが、中古でも安くないことや他にもよい中古スマートフォンが多いことから、かつてのようにBlackBerryは中古品でも売れていない。

さらにかつてインドネシア市場でBlackBerry端末が普及した要因の1つに同社が提供する「BlackBerry Messager」がありインドネシアでは人気を博した。しかし現在では「WhatsApp」、「WeChat」、「LINE」といったメッセンジャーアプリが普及し、それらの方があらゆるスマートフォンで利用できることから人気が高く、BlackBerryを求める必要がなくなっている。このようにBlackBerryがまだ人気があるとはいえ、インドネシア市場は同社にとって非常に厳しい環境である。

そのようなインドネシア市場でBlackBerryの新機種「Jakarta」はどこまで受け入れられるのだろうか。

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(ジャカルタのBlackBerryショップ)

【参考動画】
2010年から2011年頃まではインドネシアでBlackBerryが人気があったことがわかる。現在は、他のスマートフォンも増加し、BlackBerryはここまで人気はない。

【参照情報】
BlackBerry Murah 'Jakarta' Siap Diluncurkan di Indonesia April 2014(インドネシア語)
BlackBerry Loves the City Of Jakarta So Much It's Codenaming A Phone After It
Android Captures Record 81 Percent Share of Global Smartphone Shipments in Q3 2013

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。