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[2014年第6週]大学教授の授業も大学受験勉強もスマホで、PHSも10月からMNP

2014.02.10

Updated by Naohisa Iwamoto on February 10, 2014, 15:30 pm JST

スマートフォンが勉強道具になる日

教育にスマートフォンなどの端末を活用する試みが相次いで発表された。NTTドコモとNTTナレッジ・スクウェアは、日本初の大規模公開オンライン講座(MOOC)提供サイト「gacco(ガッコ)」を開設し、2014年4月14日から順次開講する。日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)が公認するMOOCで、受講生の募集を開始した。「gacco」では、学生だけでなく一般人も含めてパソコンやスマートフォン、タブレットを使って大学教授による講義をオンラインで無料で受講できる。まず、4月14日に開講する東京大学 本郷和人教授、慶應義塾大学の村井純教授、早稲田大学の栗崎周平准教授による3講座の受講生を募集し、順次講座を追加していく(報道発表資料:日本初の大規模公開オンライン講座(MOOC)サイト「gacco(ガッコ)」を開設)。

gacco The Japan MOOC
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受験勉強にスマートフォンを活用するサービスも登場する。ベネッセコーポレーションは、高校生、大学受験生を対象としたオンライン個別指導サービス「リアルタイム家庭教師」を4月1日に開始する。現在多くの高校生がスマートフォンを利用しており、これを学習分野で活用しようというもの。「リアルタイム家庭教師」は、場所を問わずにスマートフォンからわからないところを講師に質問できるサービス。指導時間は19時〜23時、対象科目は数学、物理、化学、英語で、料金は月間180分利用プランで月あたり9980円(税込)など(報道発表資料:「リアルタイム家庭教師」が4月からスタート!)。

手話もスマートフォンでスムーズに学べるようになる。ソフトバンクモバイルは、3Dアニメーションを活用した辞書アプリ「ゲームで学べる手話辞典」をApp Storedで提供を始めた。3000語以上の手話を360度回転可能な3Dアニメーションで収録し、手話学習を支援する。メニューは、学びやすさを意識した「学ぶ」と、物語形式の文字入力ゲームで手話に親しむ「遊ぶ」の2つを用意した(関連記事:3Dアニメーションで手話を学べるアプリ、ソフトバンクが提供)。

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ソフトバンク奪取、UQ純減へ、PHSもMNP対象に

契約者数などの統計数値が発表された。電気通信事業者協会(TCA)は、2014年1月の事業者別契約数を発表した。2013年12月はNTTドコモが首位を奪ったが、1月はソフトバンクモバイルが首位を取り戻した。純増数はNTTドコモが14万200件、KDDIが18万9900件、ソフトバンクモバイルが24万9900で、ドコモの首位は1カ月で終わった。1月には、累計でソフトバンクモバイルが3500万9400件と、3500万契約の大台を突破した(関連記事:1月の純増首位はソフトバンクが返り咲き、累計3500万契約を突破)。

事業者別契約数(2014年01月末現在)|一般社団法人 電気通信事業者協会(TCA)
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一方、WiMAXサービスを提供するUQコミュニケーションズは、2013年度第3四半期(2013年12月)の四半期ごとの契約者数を公開している。毎月の公表を控え、四半期ごとの公表になって初めての数値だ。契約は415万7200件で、第2四半期(2013年9月)の427万5000件から11万7800件の純減となった。UQコミュニケーションズの契約者数が純減になるのは初めて。KDDIからWiMAX搭載スマートフォンの新機種が発売されていないことなどが要因と考えられる(報道発表資料:UQコミュニケーションズ 契約者数)。

こうした環境の中で、UQコミュニケーションズはWiMAX 2+対応のモバイルルーター「Wi-Fi WALKER WiMAX2+ HWD14」の値下げを案内している。2800円から840円へと端末価格を引き下げ、加入者増加にテコ入れをする(報道発表資料:Wi-Fi WALKER WiMAX2+ HWD14販売価格の値下げについて)。

キャリアの動向に関連するものとして、携帯電話とPHSの間の番号ポータビリティ(MNP)が2014年10月1日に開始するというニュースがあった。番号を維持したまま、PHSから携帯電話へ、およびその逆の事業者の乗り換えが可能になる。また、番号ポータビリティの実施と同時に、携帯電話とPHSの間でSMS(ショートメッセージサービス)の利用が可能になる予定である(関連記事:PHSと携帯電話のMNP、10月1日に開始)。

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ビッグデータ分析などに新手法

そのほか、この週のトピックを紹介する。NTTは、ビッグデータ分析に用いられる、購買履歴や移動履歴などの個人に関する情報(パーソナルデータ)の新しい匿名化システムを開発した。開発したシステムでは、パーソナルデータから個人が直接特定できる情報を取り除いたうえで、さらにそのデータから誰か一人に絞り込めないようにデータを加工することで高度なプライバシー保護対策をする(関連記事:NTT、独自手法によるパーソナルデータ匿名化システムを開発)。

NTT、独自手法によるパーソナルデータ匿名化システムを開発

KDDI研究所は、サイトに投稿されたコンテンツの中から個人情報に該当する箇所を検出する個人情報検出ツールを開発した。2014年2月から販売する。システムに対象テキストデータをアップロードすることにより、テキストに含まれる「住所」「一般的な氏名」「電話番号」「メールアドレス」等の自動検出と伏せ字への自動変換を行い、判定結果と伏せ字処理結果を表示する。人間の目視チェックに比べて1投稿あたりの処理時間を約1/3に短縮可能という(関連記事:KDDI研究所、テキストデータから個人情報を検出するツールを販売開始)。

ウィルコムは、初心者にも使いやすいスマートフォンとして「AQUOS PHONE ef<WX05SH>」を3月上旬に発売する。ホーム画面は文字やアイコンを大きく表示したほか、縦スクロールだけのシンプルな構成にしてシニアや子どもでも迷わず使えるようにした。3G携帯電話とPHSのデュアル方式に対応する。同時に、着せ替えカバーで色のカスタマイズを楽しめるストレート型のPHS端末「iiro<WX04S>」の発売もアナウンスした(関連記事:ウィルコム、シニアや子どもなど初心者に使いやすい3G/PHSデュアルスマホ)。

東京都調布市の総合防災安全課会議室は、総務省関東総合通信局主催の「ICT地域防災情報支援システム」の「調布市フィールド試験」を2月1日に公開した。首都直下型地震発生時の被災地における情報流通について、仕組みを提言することが目的。予めスマートフォンにアプリをインストールしておいて、コンビニや郵便局、バス停などに掲示されているネオポスターを撮影すると、その地域の情報をスマートフォンに落とすことができる(関連記事:次のポスターまで生き延びろ!)。

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昨年の第6週のできごと

・キャリアが起業支援に本腰
・NFCを活用したサービスの試行が続々
・「LINE」を社名に、動画圧縮の新方式をドコモがライセンス

[2013年第6週]ドコモ契約者数が乱高下、起業支援、NFCトライアルが続々

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。