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米国はずし - ブラジルとEU、直通の海底ケーブル敷設で合意

2014.02.26

Updated by WirelessWire News編集部 on February 26, 2014, 19:21 pm JST

ブラジルと欧州連合が欧州時間24日、ブラジルーポルトガル間を直接つなぐ新たな海底ケーブルを敷設することで合意に達したという。通信分野における米国への依存度を引き下げ、米国家安全保障局(NSA)などによる諜報活動への懸念を減らすことがねらいとされている。

Reutersによると、新たな海底ケーブルはポルトガルのリスボンとブラジルのフォルタレザとをつなぐもので、ブラジル国有の通信事業者であるテレブラス(Telebras)とスペインのイスラリンク・サブマリン・ケーブルズ(IslaLink Submarine Cables)が共同で建設にあたるという。建設費は総額1億8500万ドルで、来年には運用開始の見込み。

ブラジルー欧州間のデータ通信は現在、そのほとんどが米国を経由する形で行われており、敷設から時間が経った直通の海底ケーブルは音声通話にしか利用されていないという。

EU関係者は今回の合意について、ネットワークの相互運用コストの削減やブロードバンド網の改善、研究開発投資の加速などのメリットを見込んでいるとし、また欧州理事会(European Council)のヘルマン・ファン・ロウ(Herman Van Rompuy)議長は「通信の保護体制を高めること」も目的に挙げている。いっぽう、ブラジルのジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)大統領は同プロジェクトについて「インターネットの中立性を確実にするためのもの」とし、「われわれはプライバシーや人権、国家の主権を尊重しなければならない。また、ビジネスがスパイ活動のターゲットになることも望んでいない」と語ったという。

なお昨年から続いてきているエドワード・スノーデン(Edward Snowden)元NSA職員による告発のなかには、NSAがアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相の携帯電話を長年盗聴していたとする話や、ルセフ大統領の電話や電子メールのやりとりを監視していたとする話もあった。またこの発覚を受けてルセフ大統領が予定していた訪米を急遽取りやめたという出来事もあった。

NSAや英GCHQによる諜報・監視活動に関しては、世界中の携帯電話やネットワーク、ウェブサービスなどを対象にした広範囲に及ぶさまざまな情報収集が行われてきたことが明らかになってきている。その影響から、欧州では先ごろEU各国を結ぶ専用通信ネットワークの構築・展開が独仏首脳会談のなかで話し合われたとする報道も出ていた。

【参照情報】
Brazil, Europe plan undersea cable to skirt U.S. spying - Reuters
We're building undersea cable to thwart US spying, say Brazil and Europe - ZDNet

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