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任天堂の「ノン・ウェアラブル」なヘルスケア・サービス

2014.02.06

Updated by Kenji Nobukuni on February 6, 2014, 09:30 am JST

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1月30日に行われた任天堂の経営方針説明会で同社の岩田社長はヘルスケア分野に注力していくことを強調した。後半の新事業のパートでは、これまで取り組んできた娯楽というものを、「QOL(クオリティー・オブ・ライフ)を楽しく向上させること」だと再定義した上で、そのプラットフォーム構築の第一ステップに「健康」分野を挙げている。

特徴的なのは、ハードウェアを含めた実現手段。他社がまずスマートフォンでのサービス提供に注目し、次にリストバンド型などのウェアラブルな機器をこぞって開発しているのを尻目に、その2段階を一足飛びに飛び越えて「ノン・ウェアラブル」というブルー・オーシャン(競合のいない世界)を目指すのだそうだ。

もちろん任天堂が健康に注目するのはこれが初めてではない。2007年にはWii Fitを発表し、体重測定やトレーニングをゲームにしているし、最近のWii Fit Uにはフィット・メーターという活動量計(ウェアラブルなデバイス)が同梱されている。このほかにも任天堂の健康分野への熱意を感じさせる製品はいくつもあるが、基本的にはゲーム用コンソールなど、ゲーム機本体に有線または無線で接続する機器を活用してきている。

残念ながらノン・ウェアラブルな健康ゲームがどのようなハードウェアやアプリケーションなのかについて詳しい説明はなかったものの、今後10年かけて追及していく「QOLを楽しく向上するプラットフォーム」の第一弾となるだけに、マイクロソフトのキネクトなどとは全く違うセンサー技術が使われているのではないだろうか。想像に過ぎないが、音声認識なども利用されるのかもしれない。

各社がウェアラブルのレッド・オーシャンで生存競争をしているのは、健康は日常すべての行動、すなわち部屋にいるときだけでなく、出歩いたりジョギングやランニングをしたりすることに大いに関係するからである。そうした際の運動をトラッキングするためにセンサー内蔵のデバイスを利用者に身につけさせるためだ。ノン・ウェアラブルで通勤・通学やサイクリングをどうやってトラッキングするのか、はたまた、そうしたトラッキングとは関係ない概念の提案なのか、ノン・ウェアラブルの意味するところが謎めいたまま残されている。

【参照情報】
任天堂 経営方針説明会資料
Nintendo to Tackle mHealth with new Non-Wearable Platform

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信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来

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