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[2014年第12週]ビーコンをより使いやすく、赤ちゃんからお年寄りまでスマホが支える

2014.03.25

Updated by Naohisa Iwamoto on March 25, 2014, 11:00 am JST

O2Oや位置情報など幅広いサービスに新しいソリューションを提供できることから、急速に注目が高まっている「ビーコン」に、この週も新しいトピックがあった。このほか、エンドユーザー向けのサービスの話題が多かったのもこの週の特徴。赤ちゃんから子ども、そしてお年寄りの見守りまで、各種のソリューションがアナウンスされた。

アプリックスは小型のビーコン製品、ACCESSはビーコンモジュールの新版

まずビーコンのトピックから見ていこう。アプリックスIPホールディングス(以下、アプリックス)は、ビーコンを手軽に商用利用するためのケース入り製品として「MyBeaconシリーズ」を発表した。製品は3タイプで、「USB給電型」「ペンダント型」「単3乾電池内蔵設置型」を用意する。電源や金属チェーンと電波が干渉しないようにビーコンのアンテナの位置を調整したり、電池残量が簡単に確認できるようにLEDを備えたりして、実際の商用利用に適する構成を採った。MyBeaconシリーズのそれぞれのビーコンは、すべて技術基準適合証明や各国・各地域の電波法の認証を受けているため、すぐに利用が可能。電波の送信出力を調整可能なので、複数のビーコンの干渉を防いだり、スマートフォンが反応する距離を調整したりすることにより、環境に合わせた利用ができる(報道発表資料:商用利用向けケース入りBeacon「MyBeaconシリーズ」の量産と販売を開始)。

もう1つは、ACCESSのビーコンモジュールの新版のニュース。同社は、ケース付きの「Beaconモジュール」製品で、機能強化したバージョン(v)1.1の提供を3月20日に開始した。追加した機能は主に2つ。1つは、ビーコンを使ったサービスの提供者が、電波送信の間隔を0.1秒単位の細かさで自由に設定できる機能。電波送信の間隔が短くなるほど位置情報の精度は高まるが電池の持ちとは相反する。0.1秒ときめ細かい調整が可能になることで、最適な条件に調整できる。2つ目が、電池交換時期の通知機能の強化で、スマートフォンのアプリから電池交換時期を把握できるほか、クラウドを介して一括管理することもできるようになった。ACCESSは、ビーコンのハードウエア、スマートフォン向けアプリ、クラウドサーバーをワンストップで提供する「ACCESSTM Beacon Framework(ABF)」(iBeacon対応)を開発し評価キットを提供中で、このうちのビーコンのハードウエアの機能を強化したという位置づけだ(報道発表資料:ACCESS、電波送信間隔を柔軟に設定できる機能と 電池交換時期の通知機能を強化したBeacon を提供開始)。

「ACCESS Beacon Framework」コンセプト図
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こうした製品の登場や環境整備により、スマートフォンをタッチせずに情報をやり取りできるビーコンを使ったO2Oソリューションが、手軽に導入できるようになってきている。

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子育ても親の見守りもスマホがサポート

スマートフォンが普及したことにより、様々な年齢層に対して生活を支援するソリューションが登場している。「ゆりかごから墓場まで」スマートフォンが面倒を見てくれる時代が近づいているような印象だ。

赤ちゃんが対象となるのは、ソフトバンクモバイルが提供するスマートフォンを活用して子育てを支援するサービス「子育てサポート」。専用アプリで利用するリモートカメラ「ベビーモニター」も提供し、スマートフォンなどを使ってキッチンやリビングから寝室の赤ちゃんの様子を見守るだけでなく、遠隔の祖父母が様子を見ることもできる。このほか、写真や成長記録を記録・共有できる「子育て日記・母子手帳」、専門家に症状を相談できる「子育てQ&A」、レシピ閲覧、食材宅配などができる「レシピ&食材宅配」も用意する(関連記事:ソフトバンク、スマホで子育てを支援する「子育てサポート」を開始)。

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幼児向けには、LINEが発表した子供向け動画配信アプリ「LINE KIDS動画」。1歳から6歳までの未就学児とその保護者を対象に、親子で楽しめる安心のコンテンツを安心の価格で提供するという。採用している「タイマーシステム」は、無料で1日15分(8時間に5分)視聴可能時間がチャージされるというもので、最大1日40分まで利用できる。LINEでつながっている友だちに視聴時間を「おねだり」することで、通常のチャージに加えて1日最大15分の視聴可能時間を加算できる。まずはiPhone向けに近日提供を開始し、2014年春をめどにAndroid版を提供する(関連記事:LINE、子供向け動画配信アプリ「LINE KIDS動画」を発表)。

シニアとその家族に向けたサービスが、NTTドコモのらくらくスマートフォン向けのアプリ「つながりほっとサポート」。シニアのスマートフォンの利用状況などを家族にメールで伝えることで、安全な生活を支える。歩数、スマートフォンの画面ロック解除の有無、電池残量を1日1回の指定した時間のメールで受け取れるため、シニアの状況を遠隔から把握できる。スマートフォン向けアプリの新しい機能として、シニアが日々の体調を登録することで「つながりメンバー」に体調の状況も通知できる機能を追加した(関連記事:ドコモ、歩数やスマートフォンの利用状況を家族に伝えるシニア向けアプリを提供開始)。

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OCN モバイル ONE値下げ、dヒッツに新サービス、LINE電話始まる

料金やサービスの話題もあった。まず、NTTコミュニケーションズの格安SIMサービス「OCN モバイル ONE」のリニューアルのニュース。同サービスでは5つのコースを提供しているが、4月1日にリニューアルをして通信容量の増加や値下げを行う。1日当たりの通信容量の制限があるコースは、30MB/日コースが50MB/日コースに、60MB/日コースが80MB/日コースへと変更され、それぞれ容量が増加する。料金も、50MB/日コースが900円(税抜き、以下同)となり、従来の30MB/日コースの934円より安くなるなど、全5コースで34円〜100円の値下げを実施する。格安SIMは競争が激化しており、リースナブルに利用できる環境が整ってきた(報道発表資料:料金値下げ&通信容量拡大で「OCN モバイル ONE」を全面リニューアル、月額900円の50 MB/日コースなどが業界最安値で新登場!)。

NTTドコモの定額制音楽配信サービス「dヒッツ」に、好きな曲を好きな時に聴ける「myヒッツ」機能を追加した月額500円の新コースが加わるというニュースもあった。これまではラジオのような番組型の配信サービスを月額300円で提供していたが、新コースを使うことで好きな曲を登録して自由に聴けるようになる。myヒッツ機能で登録できる曲は月間3曲まで。登録できる曲の枠は毎月3曲ずつ付与され、一度登録した曲は新コースの契約期間中は続けて視聴できる。新コースは2014年4月1日 午前10時に提供を開始する(関連記事:ドコモの「dヒッツ」、好きな曲を好きな時に聴ける月額500円のコースを追加)。

低料金の通話サービスが遂にスタートした。LINEは2014年3月17日に同社の無料通話・無料メールアプリ「LINE」の新機能「LINE電話」を、Android版のアプリで提供開始した。提供を開始したのは、日本、米国、メキシコ、スペイン、タイ、フィリピン、コロンビア、ペルーの8カ国。サービス発表時点では含まれなかったコロンビアとペルーの2カ国を加えて、サービスを開始することになった。Android版で先行提供し、iPhone版は近日中の提供を予定しているという(関連記事:LINE電話、LINEのAndroid版で世界8カ国から提供開始)。

KDDI、800MHz帯のLTEが99%に、スマートパスは1000万突破

KDDIから2つの発表があった。1つは、プラチナバンド 800MHz帯の4G LTEの実人口カバー率が99%に達したこと。2013年3月時点の実人口カバー率は96%で、1年間で面積カバーを1.5倍に高め、99%の実人口カバー率を達成した。プラチナバンド 800MHzによる「4G LTE」サービスは、2012年11月に提供を開始し、利用者の多いショッピングセンターや大学などもカバーするようにエリアを拡大してきた(報道発表資料:プラチナバンド 800MHz 「4G LTE」の実人口カバー率が99%に!)。

プラチナバンド 800MHz 4G LTE エリア
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もう1つは、auスマートフォン向けサービス「auスマートパス」の会員数が1000万人を突破したこと。2012年3月1日にサービスを開始して以降、月額372円の定額で、アプリ取り放題や様々な会員特典、セキュリティ対策やデータバックアップ、端末の修理代金サポートなどのサービスをパッケージにして提供してきた。サービス開始から2年で、「国内最大級の有料会員サービスとなりました」(KDDI)という(報道発表資料:「auスマートパス」会員数が1,000万を突破)。

昨年の第12週のできごと

・ドコモ接続料改訂、SBMはダブルLTE、KDDIは中小企業市場に
・地下路線エリア化、東京メトロは全線完了、小田急、京都地下鉄も
・新サービスの登場、会員の増加も

[2013年第12週]ドコモが接続料を改訂、東京メトロ全線ほか全国の地下路線でエリア化進展

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。