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[2014年第46週]AR恐竜探索、出退勤管理などBeaconの応用が広がる、性能を2倍に高めたLTE-Advanced向けアンテナ

2014.11.17

Updated by Naohisa Iwamoto on November 17, 2014, 13:30 pm JST

第46週は、Beaconに代表される新しい位置情報活用の話題が豊富にあった。福井県立恐竜博物館ではBeaconと連動したAR恐竜探検ゲームなどの実証実験を行う。法人向けには設備管理や出退勤管理などをBeaconを活用して行えるソリューションの提供の話題もあった。さらに商業施設内のナビゲーション、訪日外国人向けの地図アプリ開発など、新しいソリューションも続々登場している。技術的な話題では、KDDIが性能を2倍に高めたLTE-Advanced向けのアンテナを開発したというニュースがあった。

Beaconの活用が広がる

ソフトバンクモバイルは、ウエアラブル端末を利用した実証実験を福井県立恐竜博物館で2015年1月中旬に実施すると発表した。メガネ型ウエアラブル端末「Google Glass」を使ったAR技術による恐竜探索ゲームや、腕時計型端末を利用した館内のナビゲーションなどを実施する計画だ。実験では、ACCESSのiBeacon利用の位置連動型コンテンツ配信ソリューション「ACCESS Beacon Framework」や、NECの画像認識サービス「GAZIRU」(ガジル)を利用する(関連記事:福井県立恐竜博物館で恐竜のAR映像などを体験できるウエアラブル実証実験、ソフトバンクが実施)。

Beacon のビジネス活用を支援する「Beacapp」をリリース(PDF)
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法人向けのスマートフォン、タブレット用アプリ開発を手がけるジェナとジェーエムエーシステムズは、Beaconに対応したアプリを簡単に作成できる法人向けBeacon管理プラットフォーム「Beacapp」の提供を開始した。Beaconによる近距離位置情報を活用し、設備管理や点検、出退勤管理、行動解析や状況把握などの法人向けサービスを提供する。BeaconとしてはアプリックスIPホールディングスが提供する「MyBeaconシリーズ」を採用する(報道発表資料:Beacon のビジネス活用を支援する「Beacapp」をリリースAplixのMyBeaconが法人向けビーコンサービスで採用)。

そのアプリックスIPホールディングスは、同社の「MyBeaconシリーズ」が、日本をはじめとする世界50カ国超で電波法の認証を取得したとアナウンスしている。国内だけでなく、グローバルにサービスを展開する際に、多くの国で法規制をクリアした形ですぐに利用できるようになる(報道発表資料:「MyBeaconシリーズ」が日本・海外50カ国を超える電波法認証を取得)。

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位置情報や地図、画像を活用し新しいサービスを提供

LINE、ショッピングモールやデパートのナビができる地図アプリ「LINE Maps for Indoor」を提供
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LINEは、無料通話、無料メールアプリのファミリーアプリとして「LINE Maps for Indoor」のAndroid版を公開したた。ショッピングモールやデパートなどの商業施設内に特化した地図アプリとして提供する。商業施設内で、目的の店舗やレストランまでのナビゲーションを行う。当初は渋谷ヒカリエやルミネ、コレドなど観光客にも人気のある東京近郊の37施設で提供を開始。今後、対応施設は拡大する予定だ。日本語だけでなく英語、中国語の簡体字・繁体字、韓国語の5言語に対応し、外国人観光客もナビゲーションを利用できる(関連記事:LINE、ショッピングモールやデパートのナビができる地図アプリ「LINE Maps for Indoor」を提供)。

訪日外国人(インバウンド)をターゲットにしたアプリの受託開発のニュースもあった。インクリメントPは訪日外国人向け多言語観光ARアプリの受託開発ソリューションの提供を開始した。会津ラボが開発した観光ナビアプリに、インクリメントPの多言語表示オフライン地図を組込んだもの。インクリメントPがAR技術を搭載したオリジナル観光地図アプリを受託開発し、短期間で完成したアプリとして納品する。旅行・宿泊などのレジャー・観光業界、自治体や観光協会などへの提供を目論む(報道発表資料:インクリメントP、観光地図ARアプリ受託開発ソリューションを取扱開始多言語&オフライン対応 iOS/Androidアプリ)。

服の画像をキーにしたサービス提供の話題もあった。NECとFashionTVは、スマートフォンやタブレット端末で撮影した服の画像から、画像から色や柄を認識してECサイトで扱う同系統の服やコーディネートを表示するサービス「GAZIRU-F(ガジル-エフ)」の販売を開始した。利用者は、文字を入力することなく写真を取るだけでお気に入りの服を購入できたり、自分の持っている服に対するお勧めコーディネート情報を得られる。アクセス数や商品販売数に応じて課金するアフィリエイト形態で販売し、NECとFashionTVはECサイトを持つファッション業界を中心に、2016年までに20社への導入を目指すという(報道発表資料:NECとFashionTV、スマートフォンで服を撮影することで、お気に入りの服を瞬時に見つけ購入できるサービスを販売)。

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LTE-Advanced向け新アンテナ、企業向けモバイルセキュリティなどが登場

この週のそのほかの主なトピックを紹介する。

世界初! 通信性能を2倍に高めたLTE-Advanced向け小型アンテナの開発に成功
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KDDIとKDDI研究所は、通信性能を従来比で2倍に高めたLTE-Advanced基地局向け小型アンテナの開発に成功したと発表した。4つの信号を同時に送受信できる4MIMO方式のアンテナを従来の2MIMO方式のアンテナと同等サイズに仕立てた。東京都千代田区、大阪府大阪市、宮崎県日南市でフィールド実験を実施したところ、従来の2MIMO方式アンテナ2本分相当の通信性能を確認できたという。4MIMOの新アンテナ技術は、LTE-Advancedおよび3.5GHz帯を活用した第4世代移動通信システムなどでの活用を目指す(報道発表資料:世界初! 通信性能を2倍に高めたLTE-Advanced向け小型アンテナの開発に成功)。

法人向けのセキュリティソリューションのニュースもあった。インターネットイニシアティブ(IIJ)は、クラウド型ソリューション「IIJ GIOセキュアAppsソリューション」の提供を始めた。同ソリューションは、個人所有のスマートフォンなどの端末に、業務に必要なアプリケーションを配信したり、スマートデバイスの安全な業務利用を可能にしたりする機能を提供するもの。シトリックス・システムズの「XenMobile」を採用することで、スマートデバイスの端末管理、企業内アプリストアからのアプリケーション配布、アプリケーション実行時の社内ネットワークへのVPN接続を可能にし、安全な社内システムへのリモートアクセス環境を実現する(報道発表資料:IIJ、「IIJ GIOセキュアAppsソリューション」を提供開始)。

スマートフォンの購入実態調査の結果を紹介する。MMD研究所は、「2014年4月〜9月スマートフォン購入に関する定点調査」の結果を公表した。この期間内に購入したスマートフォンのOSは、iOSが49.0%とほぼ半数を占めたが、iPhone 6/iPhone 6 Plusが発売された9月には一気にiOSが77.1%を占めるに至った。大画面化したiPhone 6/iPhone 6 Plusの影響からか、スマートフォン購入時に重視した項目として、2014年4月の調査と比較して「画面の大きさ」が急増したという(関連記事:2014年9月に購入したスマートフォンの77%がiOS--MMD研究所)。

新製品、新サービスの話題もあった。ワイモバイルは、2014年冬商戦に向けた新製品、新サービスを発表した。新製品は、6インチディスプレイを搭載したスマートフォン「Nexus 6」(モトローラ・モビリティ製)と、8インチディスプレイを搭載したタブレット「MediaPad M1 8.0 403HW」(ファーウェイ製)。サービス面では、親回線の「スマホプランS/M/L」に対して、最大3回線までの子回線を追加して、親回線のデータ通信量を分け合える「シェアプラン」の提供がトピック。このほか、ビデオテープなどの映像や音声をDVDにダビングするサービス「なんでもダビング」の提供や、「Y!mobile」ユーザー向けに提供している「パケットマイレージ」サービスへの「ショッピングマイル」の追加も発表した(関連記事:ワイモバイル、Nexus 6を月額2900円から提供、タブレットやIoT向けに「シェアプラン」も)。

ソフトバンクモバイルは、プリペイドサービスを改定する。現在、スマートフォン向けに「プリスマ」、携帯電話向けに「プリモバイル」の名称で提供しているサービスを統一して「シンプルスタイル」に改称する。さらに新規契約者向けや長期利用者向けのキャンペーンや割引などを設けて利用しやすくするというものだ(関連記事:ソフトバンク、プリペイドサービスを「シンプルスタイル」に改称、「MNP割」「長期割」を導入)。

昨年の第46週のできごと

・LTE-Advanced向けの技術開発、4G契約は世界で急増
・データ通信無料のSIM、カーライフ支援サービスに新顔
・「ビーコン」向け低価格モジュール、ソフトバンクは欧州のM2M協定に加盟
・新iPad mini発売、握力を鍛えながら充電

[2013年第46週]ドコモ次世代LTE技術の実験、データ料金"無料"のSIM

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。