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訪日外国人が必ず利用し喜んでもらえるWi-Fiサービスを目指して:「Japan Connected-free Wi-Fi」

2014.03.14

Updated by Hitoshi Sato on March 14, 2014, 01:33 am JST

エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム(NTTBP)は2013年11月から、訪日外国人が誰でも自由に利用できる公衆無線LAN(Wi-Fi)接続アプリ「Japan Connected-free Wi-Fi」を提供している。

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【アプリのダウンロード】
・Android版(https://play.google.com/store/apps/details?id=com.nttbp.jfw
・iOS版(https://itunes.apple.com/jp/app/japan-connected-free-wi-fi/id810838196?mt=8

このアプリを利用すると、成田空港、羽田空港、JR東日本、JR東海など協力事業者のWi-Fiエリアをすぐに「探す」ことができ、エリアに入ると簡単に「接続する」ことができる。なお、言語は日本語以外にも英語・中国語(繁・簡)・韓国語に対応しており、このアプリを使えば、訪日外国人も簡単に無料Wi-Fiに接続することが可能だ。

利用可能エリアも拡大を続けており、2014年2月27日にはセブン-イレブン、イトーヨーカドー、そごう・西武、デニーズ等、全国約14,000の店舗で提供しているWi-Fiサービス「セブンスポット」と大阪観光局が提供する「Osaka Free Wi-Fi」が新たに「Japan Connected-free Wi-Fi」に加わった。これにより、AP拠点数は全国で約16,000か所にまで拡大した。

サービス開始当時はAndroidのみの対応だが、2014年3月7日にはiOSにも対応した。またNTTBP社によると「対応エリアは今後更に拡大していく」とのこと。訪日外国人にとって無料でWi-Fiを使えることは大きなメリットだ。また「訪日外国人をメインターゲットと考えているが、日本人に対しても観光情報や困ったときに安心安全情報等の提供など利用者の声を聞いて更によいものにしていきたい」とコメントしている。

訪日外国人にやさしいネット環境を

日本を訪問する外国人の不満として「無料公衆無線LAN(Wi-Fi)環境」があげられている。観光庁が平成23年に実施した調査によると、旅行中困ったこととして「無料公衆無線LAN環境」が36.7%と最も多い。また最も困ったことも同様に23.9%と最も多い。単純に計算すると、日本に来る外国人のうち3人に1人が日本のWi-Fi環境に困っていることになる。

観光庁は2013年12月、2013年の訪日外国人客数が初めて年間1,000万人を突破したと発表した。これまで過去最高だったのは2010年の861万人で、これを2013年12月20日時点で16%上回った。前年比では20%増となった。また東京でオリンピックが開催される2020年には2,000万人を目指している。

このように日本を訪問してくる外国人はこれからも増加するだろう。その際、日本には無料Wi-Fi環境が良くないということから、日本に訪問したくないという人が増加するのは困る。どんなに「おもてなし」をされても、インターネットに気軽に無料でアクセスできない国の印象は良くない。海外では無料でWi-Fiに接続できるスポットが多くなってきており、地元住民や観光客らが気軽にインターネットにアクセスできるようになり、利便性も向上している。

これからはWi-Fiを国内外の人々に無料で提供し、誰もが簡単・快適にネットワークにアクセスできることは、「水道を捻れば水が出てくる」のと同じ感覚になってくるだろう。誰もが簡単で快適に無料Wi-Fiにアクセスできないことが、「水道を捻っても水も出てこない」と同じ感覚になってしまった場合、そんな国に誰が行きたいと思うだろうか。

そして水道の蛇口を捻って水を出す時、誰もが簡単に蛇口を捻れば水は出てくる。誰がどこの国に行っても、蛇口を捻るだけである。水を出すのに苦労する人はいないだろう。つまり、無料Wi-Fi環境が整っていたとしても、それを利用するハードルが高いのはよくない。面倒な設定やら言語の問題で面倒くさいと思われずに、誰でも気軽に利用できる無料Wi-Fiの提供が求められてくる。

「Japan Connected-free Wi-Fi」はAPが現在16,000か所と日本最大級である。今後も日本を訪問する外国人が誰でも気軽に利用できる日本を代表する無料Wi-Fiとなることが期待される。

▼観光案内所の訪問有無別・旅行中困ったこと
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(観光庁)

【参照情報】
NTTBPのリリース:Japan Connected-free Wi-Fi」アプリ、「セブンスポット」「Osaka Free Wi-Fi」に対応~全国約16,000APでの接続が可能に~
NTTBPのリリース:iOSアプリ「Japan Connected-free Wi-Fi」の提供開始について
NTTBPのリリース:Androidアプリ「Japan Connected-free Wi-Fi」の提供開始について

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。