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東南アジア編(8) タイにおける新たなコミュニケーションプラットフォームとしてのメッセンジャーアプリ

2014.03.13

Updated by Hitoshi Sato on March 13, 2014, 10:00 am UTC

▼LINEのキャラクターはタイで人気があり、若者の生活の中に溶け込んでいる。(チュラロンコーン大学(CU)の卒業パーティ案内)
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日本でメッセンジャーアプリといえば「LINE」の利用者が圧倒的に多く、5,000万のユーザーが存在する。そのLINEはタイでも大人気である。人口約6,600万のタイで3,000万のLINEユーザーが存在しているとのことである。

バンコクでは若者を中心にほとんどの人がスマートフォンを利用しており、そのコミュニケーションのプラットフォームは、かつてのSMS(ショートメッセージ)からメッセンジャーアプリに移行している。1通いくらという料金が発生するSMSよりも無料でダウンロードして利用できるメッセンジャーアプリの人気が高い。さらにスタンプや写真が送付したり、仲の良い友人同士でグループトークできるのも人気の要因である。

▼大学構内などではWi-Fiが完備されており、多くの若者らがメッセンジャーアプリでやりとりををしている。チュラロンコーン大学にて。
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▼バンコクの鉄道BTSの中ではほとんどの人がスマートフォンを操作している。日本と同じ光景である。
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タイで大人気の「LINE」

特にLINEのスタンプでお馴染みのブラウン、コニー、ムーン、ジェームズといったキャラクターが大人気で、それらを使ったビルボードや菓子などのパッケージをよく見かける。まさにLINEが日常の生活の中に溶け込んでいる風景である。

2014年2月にLINEは、LINE同士の無料通話だけでなく、固定電話や携帯電話にも通話ができる「LINE電話」のサービス提供開始を発表した。同サービスは、日本、米国、メキシコ、スペイン、タイ、フィリピンの6カ国でサービスを始める。タイでもLINEから固定電話、携帯電話へ通話ができるようになる。

▼バンコクの通信事業者Trueの店舗内にもLINEのキャラクターのビルボードがある。2014年1月に撮影したので「HAPPY NEW YEAR」
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また、2013年にはタイでは以下のLINEのCMが話題になった。これはタイで行われた「LINEエピソード募集キャンペーン」に集まった、素晴らしいエピソードから選ばれた1つのエピソードがCMになったものである。こういうセンチメンタルな内容のCMが受けるのも仏教国であるタイだからこそかもしれない。

【参考動画】タイでのLINEの広告「Closer」(日本語字幕付き)
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もう一つのタイで人気メッセンジャーアプリ「WeChat」

LINEに次いでタイで利用されているのは中国のメッセンジャーアプリ「WeChat」である。WeChatにはLINEのように特定のキャラクターがいて、それらの人気にあやかることができない。そのためかどうかは定かではないが、WeChatはタイでは人気サッカー選手のメッシを起用したテレビ広告を多く流している。

LINEもWeChatも、無料でダウンロードして、アプリ間同士で無料の通話、テキストメッセージのやりとりが可能である。メッセージのやり取りだけであれば、LINEとWeChatに大きな差異はない。

両社ともに、タイではユーザー獲得のためにテレビ広告やビルボード、ステッカーなどで積極的に宣伝を行っている。LINEの方がかわいいキャラクターがいて、リアルな様々なところで目につくことから、優位なのかもしれない。そのせいか現時点ではタイではLINEの方がWeChatよりも人気があるようだが、今後はどうなるのかは誰にもわからない。

▼バンコクの鉄道BTS内で多く流れているメッシを起用したWeChatのCM
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▼バンコクの鉄道BTS がWeChatでも情報発信していることをアピールしている。バンコクの鉄道BTSの改札にて。
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【参考動画】メッシを起用したタイでのWeChatのCM
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ボーダレスになっていくメッセンジャーアプリと日本のキャラクター

タイでは日本のアニメや漫画のキャラクターが大人気である。日本のドラマやポップミュージックなどもタイ語に訳されて、動画サイトに多くアップされているのを見かける。タイの若者らにとって、日本の最新のドラマや流行のアイドル、音楽のように「日本を意識するもの」もあれば、ドラえもんやドラゴンボールなど現在のタイの若者にとっては生まれたときから存在しているため「日本という意識がないもの」もある。その中に「LINE」のスタンプでお馴染みのブラウン、コニー、ムーン、ジェームズといったキャラクターもタイの社会に根付いてきているように見受ける。タイの若者の多くは「LINE」が日本のメッセンジャーアプリという意識はあまりない。「WeChat」が中国のメッセンジャーアプリという意識もない(メッシがCMをしているので、中国の雰囲気は全くないのだろう)。

メッセンジャーアプリはどこの国で登場したサービスという意識がなくとも利用できるボーダレスなサービスになっている。そしてボーダレスだからこそ、世界中で受け入れられるのであろう。

▼タイの路上雑貨店での「ドラえもん」のティッシュ。
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▼「ハローキティ」のキャラクターで宣伝を行っている。「ハローキティ」も昔からタイの社会では人気があり、日本のものという意識はあまりない。
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【参考動画】タイのテレビで紹介されたAKB48。
タイにはジャカルタのJKT48のような姉妹グループはないが、タイの若者の多くはAKB48を知っている。
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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。