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東大先端研などが学習に困難のある児童生徒をICTでサポートする「DO-IT School」研究報告書を公開

2014.04.17

Updated by Asako Itagaki on April 17, 2014, 20:27 pm UTC

東京大学先端科学技術研究センター(東大先端研)、日本マイクロソフト、エデュアスは、学習に困難のある児童生徒の学校での生活をICTでサポートする「DO-IT School」プロジェクトの実証研究事例をまとめた「DO-IT School」研究報告書を「Do-IT Japan」ウェブサイト上で公開した。

「Do-IT School」は、特別支援教育におけるICT機器利活用の可能性追求を目的に、全国から協力教員・指導者を募集し、「ディスクレシア プログラム」「OAK プログラム」の2つのプログラムで、2013年6月から2014年3月にかけて実証研究を行った。

ディスクレシア プログラムは、読み書きに困難のある児童生徒をWindows 8 タブレットなどの利活用でサポートする。報告書では、学習障がいにより、紙のテストでは読むのに時間がかかったり、読み飛ばしたり、間違えて読んだりしてしまうといった困難がある児童に対して、Microsoft Surface Proのアクセシビリティ機能を活用することで、正答率が向上し、学習意欲が向上した事例など、5事例が紹介されている。

OAK プログラムでは、肢体不自由などの理由により、通常の方法では能動的活動や意思表出に困難のある児童生徒に対し、「Kinect for Windows」を顔や手のわずかな動きを感知するセンサーとして活用し、サポートする。OAK(Observation Access with Kinect)は、Kinect for Windowsでとらえた動きを可視化したり、スイッチ操作に変換できたりするシステム。報告書では、従来は把握が難しかった重度重複障がいや発話障がいのある児童生徒の動きをOAKで誰でも分かる形で示すことにより、今まで気づかなかった子供の意思に気づける可能性など、12事例が紹介されている。

▼OAKの紹介動画

DO-IT Japanプログラムは,全国から選抜された障がいのある,あるいは病気を抱えた小中高校生,大学生の高等教育への進学とその後の就労への移行を支援することで,将来の社会のリーダーとなる人材を養成することを目的としたプログラム。障がいについての理解を深めること,テクノロジーの活用を中心とした障がいに対する環境調整の方法を知ること,障がいと必要な合理的配慮について周囲へ適切に説明する方法(セルフ・アドボカシー)を学ぶこと ,リーダーシップに関する経験や,将来の自立した生活と学習に関する経験を積むこと等,さまざまなプログラムが提供される。

DO-IT Schoolは、DO-IT Japanのリソースに加え、協力企業各社が持つリソースを活用し、障がいのある児童生徒・学生たちの社会参加を支援・促進する独自のプログラムを展開するための枠組み。東大先端研、日本マイクロソフト、エデュアスは、今後も「DO-IT School」プロジェクトを通じて得られた研究成果と知見をウェブやセミナーなどで公表することで、学習や生活に困難のある児童生徒の教育におけるICT利活用を推進する。

また、東大先端研は、ソフトバンクグループと共に、情報端末活用による障がいのある子どもたちの学習・生活支援についての実証研究プロジェクト「魔法のプロジェクト」を2009年から継続している。2014年度は障がいのある子供達が携帯情報端末を日常生活で強力な武器として活用していく事をテーマとした「魔法のワンドプロジェクト」を実施している。

【関連情報】
DO-IT School 2013成果報告書
DO-IT Japan
魔法のプロジェクト

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。