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モバイル決済のスクウェア、複数の大手企業に事業売却を打診(WSJ報道)

2014.04.22

Updated by WirelessWire News編集部 on April 22, 2014, 12:13 pm JST

モバイル決済サービスを手掛けるスクエア(Square)が、グーグル(Google)、アップル(Apple)、イーベイ(eBay)などに接触し、事業売却の可能性を打診していたとする情報筋の話が米国時間21日にWSJで報じられた。スクエアからはこの報道内容を否定する声明も出されているが、これまで急成長を続けてきたとされる同社の勢いに陰りが生じている可能性も浮上している同社の勢いがーーー可能性も取り沙汰されている

WSJでは、スクウェアの経営状況について、2013年の赤字額がおよそ1億ドルと前年に比べて大きく拡大したことや、年間経費が収入を約1億1000万ドルも上回ったことなどを挙げ、その結果粗利率が21%と前年の27%から大きく低下したと指摘。さらに、同社が過去4回の資金調達で集めた3億4000万ドルのうちすでに半分以上がなくなっていることや、現在の状況が続くと今年後半には「万一の場合の備え」として確保してある資金に手を付けなくてはならなくなるとする幹部の話なども記されている。なお、この関連でスクウェアが今月に、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)など合わせて5つの銀行から、1億ドル超の融資を受けたことも紹介されている。

また、スクウェアが昨年、株式公開(IPO)の可能性をゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどの大手投資銀行に打診したものの、結局これがうまくまとまらず今のところ棚上げ状態になっていることや、今年になって同社関係者が株式を譲渡した際に基準となった評価額が52億ドルとなっていたとする話なども記されている。

スクウェアが取り扱った決済金額は昨年に年間200億ドルを超え、同社には手数料として5億5000万ドル程度の収入がもたらされたとされる。ただし、この売上の約5分の4がビザ(Visa)やマスターカード(MasterCard)への手数料支払いなどに充てられているほか、鳴り物入りで発表したスターバックス(Starbucks)との提携で、少なくとも2000万ドルの赤字を出した失ったとする話も記されている。スクウェアでは通常決済金額の2.75%を手数料として受けとっているが、スターバックスとの場合にはこの割合が2%強に押さえられていることなどが影響したという。いっぽう、より高い利益率が見込める付帯サービスやハードウェア分野などへの多角化がどの程度進んでいるかは不明。

WSJでは3人の情報筋の話として、スクウェアとグーグルとの協議が今年に入って再開されたとしているが、スクウェアは声明のなかでこれを否定しているという。

グーグルは「Google Play」経由などで「Google Wallet」のユーザーを増やしているものの、マーチャント側への普及が進んでいないとされる。それに対し、スクウェアのほうは、マーチャント向けのカードリーダーなどの製品は普及が進んでいるのに対し、モバイル端末ユーザー向けのアプリなどはいまひとつとされる。そのことから、グーグルとスクウェアとが組み合わされば互いの弱点を補完できるとする見方もあるという。

またWSJでは、スクウェアがイーベイ(eBay)傘下のペイパル(Pay Pal)やアップル(Apple)にも身売り話を持ちかけたものの、いずれもあまり進展しなかったという情報筋の話もされている。


[Square Weights Possible Sale: Report - Bloomberg TV]

【参照情報】
Mobile-Payments Startup Square Discusses Possible Sale - WSJ
For Square, Making Money Remains a Challenge - WSJ
Square denies sell-out plans; all eyes on the dicey-looking financials - ZDNet

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