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AT&T、ネット動画配信サービスを計画 - ネットフリックスに対抗、5億ドルを投資

2014.04.23

Updated by WirelessWire News編集部 on April 23, 2014, 13:31 pm JST

米大手通信事業者のAT&Tが、インターネット経由の動画配信サービス事業に本格参入する。同社は米国時間22日、元ニューズ・コープ(News Corp.)ナンバー2のピーター・チャーニン(Peter Chernin)氏が率いるメディア関連企業チャーニン・グループ(Chernin Group)とこのための合弁会社を設立することを発表。両社の出資金額は5億ドル以上になるとBloombergは伝えている。

BloombergはAT&T幹部の話として、新しいJVがインターネット経由のテレビ番組配信に加え、ビデオオンデマンド(VOD)サービスや視聴者の好みに合わせたキュレーション型のサービスなどを手がける予定としている。またこの話を採り上げたVarietyでは、チャーニン・グループが過半数の株式を保有するアニメ配信サービスのクランチロール(Crunchyroll)をこのJVに提供するなどと記している。

AT&Tとチャーニン・グループは昨年、フールー(Hulu)の獲得で手を組んだことがあったが、フールーを保有するディズニー(Walt Disney)、21世紀フォックス(21st Century Fox)、NBCユニバーサル(NBCUniversal)の3社が結局売却を見送ったことから、この試みは不成功に終わっていた。

「Over-The-Top TV」(OTT)と呼ばれるネット経由のテレビ配信サービス分野では、最大手のネットフリックス(Netflix)が独自番組の製作にも乗り出して影響力を拡大するなか、アマゾン(Amazon)やマイクロソフト(Microsoft)などでもネットフリックスに追従する動きを見せている。いっぽう、通信キャリア側ではベライゾン・コミュニケーションズ(Verizon Communications)が、レッドボックス(Redbox)と提携して動画ストリーミングサービスを提供しているほか、今年1月にはインテル(Intel)が計画を進めていたネットTV関連事業(仮称「OnCue」)を買収し、事業の拡大を進めている。また、衛星テレビ分野で第2位のディッシュ・ネットワーク(Dish Network)も先月、ディズニーとOTT関連の契約を結んでいた。さらに、ソニー(Sony)やアップル(Apple)などもそれぞれOTT参入を目指して、コンテンツを保有するメディア企業各社と交渉を進めているとされている。

AT&Tは現在、米国の一部の地域で有料テレビサービス「U-verse」を提供しているが、OTTサービスが実現した場合、従来の地理的な制約を超えてテレビ関連サービスを提供できる可能性がある。またチャーニン・グループでは、動画コンテンツの配信に関し、無線・有線ブロードバンドの両分野で有力なAT&Tの力を期待できるメリットがある。

なお、AT&Tらの新しいサービスは年内に開始の予定だという。

【参照情報】
AT&T, Chernin Plan $500 Million Online-TV Service by Year-End - Bloomberg
AT&T creates $500M joint venture for a Netflix-style TV service - GigaOM
AT&T, Chernin Group Invest $500 Million in Over-the-Top Video Venture - Variety
Netflix still sucks on AT&T, and now AT&T plans to offer Netflix clone - Ars Technica

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