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[2014年第21週]外洋の船上に基地局、若年層ほど高いスマホ率、プリモバイルに新端末

2014.05.27

Updated by Naohisa Iwamoto on May 27, 2014, 10:00 am JST

KDDIは海上保安庁と、災害時の通信確保のための船上基地局開設の実験を行った。陸上が被災していても、外洋の海上から電波を飛ばして通信を確保できることを確認した。興味深い調査の結果が2つあった。1つはキャリアの設備投資で、今後は減少傾向あるとのこと。もう1つはユーザー調査で、若年層ほどスマートフォン比率が高いことがよくわかる。ヤフーによるイー・アクセスの買収の取りやめ、「歩きスマホ」対策アプリ、プリモバイルの新製品など、ソフトバンクグループの話題もあった。

災害時には海上から電波、CAスタートなどKDDIが技術面で攻勢

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まずKDDIグループの技術関連の話題から見ていこう。KDDIと海上保安庁は、「携帯電話基地局の船上開設に向けた実証実験」を実施し、その内容を報告する説明会を開催した。5月22日に実施した実証実験では、高さ約100mの高台上から沖合3kmを移動中の船舶上に設置した2GHz帯用基地局(cdma2000 1x)に接続し、良好な音声通話ができることを確認した。海上保安庁の巡視船「さつま」の船上に携帯電話基地局を設置し、海上から電波を発射してのエリア復旧が可能であることを確認できた。震災や津波などの被災で沿岸部への陸路からのアプローチが困難な場合の対策として想定する。今回の実験は、2012年11月に広島県呉市で実施した実験後の課題として掲げられていた「異なる周波数帯・アンテナ指向性での効果比較」「波の荒い外洋での安定稼働」「高台での避難場所に対する実用性の確認」を確認するものとなる(関連記事:KDDIと海上保安庁、外洋における船上基地局実証実験の説明会を開催)。

また、KDDIは2014年5月21日に、複数の周波数帯の帯域を同時に使って通信する「キャリアアグリゲーション」(CA)のサービスを開始した。同日時点では、2014年夏モデルとして5月15日に発売された「GALAXY S5 SCL23」が対象。ソフトウエアアップデートにより対応が完了し、CAによる受信時最大150Mbpsのサービスを利用できるようになった。auの夏モデルの製品のうちGALAXY S5以外の発売は5月21日のCAサービス開始以降となり、製品発売時点からCAの利用ができる(関連記事:KDDI、キャリアアグリゲーション(CA)を開始、GALAXY S5がアップデートで対応)。

KDDI研究所の国際標準への取り組みの発表もあった。同社が国際標準化を進めてきた基地局向けデータ圧縮方式が、欧州電気通信標準化機構(ETSI)で仕様化が進められている基地局向け信号インタフェースの国際標準規格に採用された。モバイル通信の高速化に有効な、基地局間の高度な協調動作を可能とするC-RAN構成は、基地局向けエントランス回線のトラフィックが従来の約16倍にもなることから、その大幅な削減が課題となっていた。KDDI研究所が開発した技術は、LTE-Advancedの信号波形の特徴を利用することで、LTE-Advancedの通信品質を維持したまま、基地局向けエントランス回線を流れるトラフィックを50%削減できる。この技術はLTE信号にも適用可能という(関連記事:ETSIの国際標準規格にKDDI研究所提案のデータ圧縮方式が採用)。

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キャリアの設備投資は減少へ、スマホ比率は10代後半で8割超

市場の調査・統計関連のニュースを2つ紹介する。1つはIT分野専門の調査会社MCAが実施した通信キャリアの設備投資に関する調査結果だ。それによると、2013年度の設備投資総額は2兆7500億円と推計されるが、今後主要3グループの設備投資額は、基地局投資が一段落することや、各グループ内でのネットワーク統合化の成果、NFVなどのネットワーク仮想化の影響を受けて減少傾向にあると予想している(関連記事:通信キャリアの設備投資、2013年度の2兆7500億円から今後は減少傾向に--MCA調べ)。

もう1つは、MMD研究所が実施した、スマートフォンなどのユーザーを対象にした定点調査。フィーチャーフォンまたはスマホを所有している15歳以上の男女、3万993人を対象に「2014年4月携帯端末購入に関する定点調査」を実施した。その結果、スマートフォン所有率は56.5%となり、2012年5月の39.5%から2年余りで17ポイント増加した。年齢別では、若年層になるほどスマートフォンの所有率が高く、15歳〜19歳の層では84.5%がスマートフォンを利用、一方60歳以上のそうではスマートフォンの所有は27.5%にとどまる。利用しているキャリアを尋ねた結果では、NTTドコモが42.1%、KDDI(au)が32.6%、ソフトバンクモバイルが22.8%と順当に3大キャリアがシェアを確保している。話題のMVNOは、各社をまとめても全体の0.6%と、1%に満たない現状が明らかになった(報道発表資料:2014年4月スマートフォン所有率は56.5%、10代の所有率は84.5%)。

Beacon活用のソリューションが広がる

201405271000-2.jpg毎週のように目にするようになったBeaconについての話題もチェックしておこう。まず、Beacon関連の商品を積極的に展開しているアプリックスIPホールディングスの動向から。1つ目が、異なる通信方式に対応したBluetooth Smart(Bluetooth Low Energy)の通信モジュールを2つ搭載したBeaconの開発。Beaconとしての利用と、センサー取得情報や電子認証に対応するための利用が同時にできるようになる(報道発表資料:通信モジュールを2つ搭載した世界初のBeaconを開発)。

2つ目は、タッチ式のBeacon「MyBeacon touch」の開発。これはBeaconの電波を制御し、10cm以内に近づいたときだけデータを受信するようにした。NFCに対応しないiPhoneなどに向けて、タッチ式のサービスを導入できる(関連記事:世界初のタッチ式Beacon「MyBeacon touch」を開発)。

3つ目が、コントロール用の端子を備えた電子回路基板型の「MyBeacon Fun(MB005)」の提供。センサーやスイッチをつないでオリジナル製品やサービスを手軽に作れる。1台から1000円で提供する。こうした製品の市場投入で、Beaconの利用範囲が一段と広がりそうだ(関連記事:誰でもオリジナルのセンサー連携Beaconが作れる 電子回路基板型「MyBeacon Fun」を税込・送料込1,000円でネット通販開始 )。

こうした中、Beacon利用の試みも進んでいる。関西テレビが5月23日深夜0時50分から放送した「ジャルやるっ!」の新コーナー「ジャル大センター試験」で、Beaconモジュールを使ったゲームを実施した街のあちこちにiBeaconに対応したBeaconモジュールを仕掛け、iPadをBeaconモジュールの入ったボックスに近づけると、問題が表示されるという仕組み。iBeaconを使ったレーダーアプリの開発は、ブリリアントサービスが協力した。

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ドコモの新料金は好調な出だし、ヤフーはイー・アクセス買収を中止

このほか、この週の主なトピックを紹介していく。NTTドコモは、6月1日に提供を始める新料金プラン「カケホーダイプラン&パケあえる」の基本プラン「カケホーダイプラン/データプラン」の事前予約件数が予約開始5日間で50万件を突破したことを明らかにした。新料金プランの事前予約は5月15日から開始しており。5月31日までに予約すると、6月利用分から新料金プランが適用される(関連記事:ドコモの新料金、事前予約件数が予約開始5日で50万件を突破)。

その後NTTドコモは、「カケホーダイプラン&パケあえる」が予約開始10日間で100万件を突破、5月25日には120万件を超えたことをアナウンスしている。

大型買収の中止のニュースもあった。ヤフーは、3月27日に発表したヤフーによるイー・アクセス株式の取得について、これを中止すると発表した。子会社化の発表後もヤフーとソフトバンクで協議を重ねた結果、5月19日のヤフー取締役会で株式取得を中止することを決議したという。理由としてヤフーでは、「ヤフーがイー・アクセスを子会社化して自らインフラを手がけるよりも、ヤフーはサービス、イー・アクセスはインフラというそれぞれの強みを生かした協業の形で事業を進めていくことが望ましいとの結論に至」ったとしている(関連記事:ヤフー、イー・アクセスの子会社化を中止、「協業が望ましい」と判断)。

201405271000-3.jpgソフトバンクモバイルの話題を2つ紹介する。1つは歩きスマホ防止対策で、Androidアプリ「STOP歩きスマホ」の提供を始めた。スマートフォンの画面を見ながら歩行すると、利用者が歩行中であることをアプリ側で検知し、警告画面を表示する。警告画面が表示されている間はスマートフォンの操作ができなくなる。歩きスマホ防止を目的とした機能は、NTTドコモが2013年12月に「あんしんモード」アプリに「歩きスマホ防止機能」を追加することで提供している(関連記事:ソフトバンク、歩きスマホ防止アプリ「STOP歩きスマホ」を提供)。

もう1つは、プリペイドサービス「プリモバイル」向け新機種「SoftBank 301Z」(ZTE製)の発売。手のひらに収まるコンパクトボディーで重さは約85gと軽量。「プラチナバンド(900MHz帯)」、「緊急速報メール」に対応するほか、専用ボタンで簡単に起動できる200万画素カメラや、1100mAhのバッテリーを搭載し、日常の利用に十分な機能と性能を備えるという(報道発表資料:手のひらサイズの「プリモバイル」向け新機種「301Z」を6月6日より発売)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。