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日本人は空気ばかり読んでいるからグローバルなサービスを産み出せない理由

2014.05.20

Updated by Mayumi Tanimoto on May 20, 2014, 03:20 am UTC

ちょっとまえにニューヨークで子育てに取り組んでおられる @nynutsさんが、日本の小学生用の国語の教科書に「空気の読み方」を教える演習問題があることを発見しました。@nynutsさんのツイートに対する反応をTogetterにまとめたものが以下です。

小学4年生の国語の教科書で「空気の読み方」教える?
http://togetter.com/li/662428

すごいですね、ワタクシ大人ですけど感覚がずれてますから、どういう風に答えたら良いのか不明です。

この反応で面白いのが、海外在住組は「こりゃわけがわからん」「どうやって教えるんだ」「この設問の意味はなんなの?」と言っており、日本にずっといる方は「これは素晴らしいノンバーバルコミュニケーション(言語にたよらないコミュニケーション)の課題だ」と絶賛している点です。

また、一部の方は、「空気読みなんて日本の外にもあるからこういう訓練は大事だ」と言っておられます。このまとめを元にこんなコラムを書いておられる方もおりますね。

もちろん日本の外にも「空気を読む」「間をとる」というノンバーバルコミュニケーションはあるわけですが、日本ほど、細かく細かく人様の行動を観察し、相手を怒らせない様に気を使う、というのはありません。もっと大雑把です。

@nynutsさんが住んでおられるアメリカや、カナダ、イギリス、オーストラリアの様な土地は、様々な人種や宗教の人が住んでいるので、人の多様性、考え方の多様性が日本とは比べ物になりません。相手が自分の行動を読んでくれる、空気を読んでくれるということは期待できないので、言葉で主張できるかどうかが成功するかどうかのキモになります。ですから、こういう土地では幼少時から、主張する、相手を説き伏せる、というテクニックを学ぶわけです。

これは実は、ITやテレコム業界でも大変大事なことです。多国籍プロジェクトに関わったことがある方はよくおわかりだと思いますが、メンバーが世界各地に散らばり、言葉も宗教も商習慣も異なるチームでは

私はこう思う
この製品はここがこうだから成功しない
この市場ではこのように売る込むべきだ。なぜなら...

と、自分の意見を、口頭や文書で明確に主張できなければ物事は動きません。そもそもメンバーが物理的に同じ場所にいないことは普通ですから、相手の顔色なんて読めません。商習慣も違えばジェスチャーだって違う。気の使い方も食べるものも違う。飲み方だって違う。

つまり、

この人を怒らせてはならないから差し障りのないことをいっておこう
いまこの人はこう考えているかも
私の思ってることはみんな理解してくれているわ

と、日本国内でしか通用しないルールにのとって、空気ばかり呼んだり、人様のご機嫌伺いばかりしている様な人は、プロジェクトを先に動かせません。

そして、物理的に異なる場所にいる人々を力強く説得することなんてできないのです。

これは実際ワタクシが実務で目撃してきたことです。日本にどっぷりの管理者やエンジニアは、異なる文化や商習慣の人々を、口頭や文書で説得することができません。話し言葉も文書も日本風の曖昧な表現たっぷり。話す時は相手が自分の言いたいことを推測してくれるという甘えがあるので、はっきりと結論を言いません。いい年をした大の大人が、まるで頭の弱い小学生の様な表現しかできないわけです。人に批判されたり、議論になるのが怖い腰抜けなので、自分の意見をハッキリ主張することができないのです。

その結果、発言してナンボの土地の人々は「あいつは無能」「あいつは何もいわない」「あんな奴の指令には従いたくない」「あいつの知能は低い」と言い始めます。

プロジェクトは先に進まず、メンバーの士気は下がります。日本側は期待する結果を得られないことを、他の国の人々の知能が低いからだと吐き捨てて、大金だけが消えて行きます。「知能が低い」「あいつらが悪い」という日本人が発する悪口を、廊下やトイレや飲み会で耳にした関係者は激怒します。それが口コミでどんどん広がり、チームの人間関係はさらに悪化します。

こんな状況では、世界中の優秀な企画マンや営業マン、エンジニアを巻き込んで、様々な国の人々がわくわくするようなサービスや製品を開発するのは不可能に決まっています。

ワタクシは、こういう日本国内のルールにどっぷりとつかり、空気を読むことばかりに長けた日本人が多い理由が、海外進出で失敗したり、グローバルな製品やサービスを産み出せない原因の一つだと考えています。

日本は少子高齢化社会です。この先どんどん厳しい状況に直面することは目に見えています。生活レベルを維持したいなら、外からお金を稼いでくる必要がますます必要になるかもしれません。

そんな状況なのに、小さな子供に日本のルールに沿って「空気を読みなさい」と教えることが正しいことなのかどうか、我が国の教科書執筆者や保護者はよく考えるべきかもしれません。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。