フランスの通信事業者Orangeは2014年3月に翻訳アプリ「Translator4sms」をリリースした。受信したショートメッセージ(SMS)を自身が利用している携帯電話の言語に応じて翻訳してくれる。これだけであれば、あまり新しさはない。翻訳アプリは、もう既に多くのアプリが世界中で登場している。日本でもNTTドコモが「メール翻訳コンシェル」というサービスを提供している。
Orangeが提供する「Translator4sms」が新しいのは、略文字のテキストも翻訳することだ。例えば、以下のテキスト略文字、なんと書いているのだろうか。
"Hi M&D, I 8 b4 I went out. C U l8ter"
これは、
"Hi Mum & Dad, I ate before I went out. See you later."
の意味である。
欧米やアジアなどアルファベット文化圏で生活している人々、特に若者はこのようにテキストでの略文字のメッセージをよく送信している。しかし両親の世代やアルファベットでの略文字に慣れていない人にとっては読解不能なことが多い。
若者にとっては常識であっても、「C U l8ter」なんてふつうに「See you later」って送ればいいじゃないか!しかも最近の携帯電話には文字の入力予測機能が付いているのだから!と思ってしまう人も多いだろう。入力予測機能が搭載されていても、いまだに略文字のテキストは減少していない。アルファベット圏の若者の1つのファッションなのであろうか。
このようなテキスト略文字はSMSだけでなくLINEやWhatsAppのようなメッセンジャーアプリでも多用されているので、それらの翻訳も行えれば、さらなる利用者拡大につながるのではないだろうか。
現在、略文字を使っている若者らは老成しても、略文字を使い続けるのだろうか。
【参照情報】
・Orangeリリース
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登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。