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IoD:イヌのインターネット

2014.06.13

Updated by Kenji Nobukuni on June 13, 2014, 17:00 pm JST

Whistle Labs
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2015年にイギリスでIoT(モノのインターネット)全国ネットワークがスタートしそうだ。フランスのSigfox社は3G、LTEと高速化が進むセルラー技術とは違って低スループットで低価格な広域(広帯域ではなく)ネットワーク──ウルトラナローバンド(UNB)──の構築にフォーカスしたベンダーで、イギリスの電気通信インフラ会社Arqivaと組み、まずロンドンやバーミンガム、リバプールなど10都市から始めてイギリス全土に展開するという。

既存のセルラー会社のインフラとは全く別の基地局とアンテナを使う。Wi-Fiの2.4GHzや、900MHz、433MHzなど免許不要な周波数帯を利用するが、無線LANは各国で混雑しているので低めの周波数帯が使われるようだ。ターゲットとなるアプリケーションは「スマートシティ」とされているが、低速でも低料金でカバレッジが全国のネットワークがあれば、さまざまな産業で活用されるだろう。1ドルか2ドル程度の安価なチップを搭載したデバイスを開発し、料金も年額で1ドルといった低料金が実現できれば、毎秒100ビット程度の超低速でも十分なアプリケーションはいくらでもあるはずだ。人間の数よりもモノの数の方がずっと多い。

ちなみにイギリスではNeulという会社がテレビ用ホワイトスペースの周波数を使ったM2Mネットワークを法人向けに構築しているが、こちらも携帯会社のインフラ非依存で超低消費電力が売り。ほかにもSenapticというベンチャーがIoT構築計画を発表するなど、ウルトラナローバンドに関する動きが相次いでいる。

話をフランスのSigfoxに戻すと、フランス、イギリスだけでなく狙いはグローバル市場。今年の後半にはシリコンバレーにも進出する。サンフランシスコからサンノゼまでのエリアで、自転車や水道管、自転車、消火栓、煙探知機などなどをインターネットにつなぐ動きが期待されているようだが、例えば、犬の首輪に取り付けて犬の運動量を計測するトラッカーを作っているWhistle社もこの計画を歓迎しているらしい。現在はBluetoothでスマートフォンと連携するアプリだが、広域・低速・超低料金ネットワークと、安価で電池寿命の長い小型軽量の無線チップがあれば、犬がどこへ行っても追いかけることができる。

このほかにも専用のデバイスがBluetoothなどでスマートフォンと同期することで実現しているものは、Fitbitのような運動トラッカーから庭の散水機、忘れ物や迷子防止のタグなど、ここ数年でどんどん増えているから、低料金でも多くのアカウントに定額料金で提供できれば、ウルトラナローバンドが既存の携帯電話サービスの足元をすくう可能性もないとは言えまい。

【参照情報】
Arqiva社のプレスリリース
Sigfox社のウェブサイト
National 'Internet of Things' network to launch in 2015
Dog Collars And Other Gadgets Will Soon Have Their Own Cell Network In The Valley
愛犬を見守るホイッスル

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信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来