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米書店B&Nとサムスンの共同ブランドタブレット「Galaxy Tab 4 NOOK」でB&Nの電子書籍事業は回復するのか?

2014.06.16

Updated by Hitoshi Sato on June 16, 2014, 09:47 am UTC

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Image by Mike Mozart (CC-BY)

アメリカの書店チェーン大手のBarnes & Noble(B&N)とサムスンは2014年6月5日、共同ブランドのタブレット「Galaxy Tab 4 NOOK」の開発で提携していくことを発表した。これでB&Nの300万冊以上の書籍や雑誌、新聞が読めるようになる。2014年8月からアメリカのB&N約700店舗とオンラインショップで発売される予定。

「Galaxy Tab4 NOOK」は、サムスンのタブレット(ハードウェア)にB&N独自のファームウェア・ソフトウェアを搭載している。B&Nは2009年からAndroidをベースにした電子書籍リーダー「NOOK」を発売してきたが、同社の電子書籍ビジネスは決して順調ではなかった。2010年8月には電子書籍が不調のため、身売りを検討しているとの報道も流れたこともある。

NOOK関連事業をスピンアウトさせた子会社「NOOK Media」を2012年に設立したが、極めて不調である。2013年6月には、NOOK事業の損失を大幅に低減することを目指し、タブレット端末の生産から撤退し、サードパーティーのメーカーと協力して共同ブランドの端末を展開する方針を明らかにしていた。そして1年が経ち、今回のサムスンとの提携に至った。2013年11月に発表した2014会計年度第2四半期(2013年8~10月)の決算では、をNOOK事業は売上高が1億900万ドル、前年同期比32.2%減少だった。デバイスおよび関連アクセサリーの販売は同41.3%減少、デジタルコンテンツは同21.2%減少だった。当時、B&Nは端末販売台数の減少と平均販売価格の低下を要因として挙げていた。

日本ではあまり馴染みがないB&Nだが、アメリカには約700店舗あるので、よく見かける。Amazonのように電子商取引に特化しているのではなく、リアルな店舗と電子書籍(デジタル)でビジネスを展開している。電子書籍はAmazonの「Kindle」が非常に有名でアメリカや日本だけでなく世界中でも利用者が多い。いつもネットショッピングで利用しているAmazonで電子書籍もついで購入するという人も多いのではないだろうか。

B&Nがサムスンと提携して共同ブランド「Galaxy Tab 4 NOOK」を販売することで、B&Nの電子書籍事業は回復できるのだろうか。NOOKで購入できるコンテンツの多くは、Kindleでも購入できる。Kindleを利用している人がNOOKも購入して併用するということは少ないだろう。そうなると新規のユーザーをどれだけ囲い込めるかにかかってくるのではないだろうか。果たして「Galaxy Tab 4 NOOK」はどのくらい市場に受容されるのだろうか。決して安泰ではないだろう。

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(「Galaxy Tab4 NOOK」)

【参照情報】
Samsung and Barnes & Noble Announce Partnership to Create Co-Branded Tablets

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。