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[2014年第28週]NTT西がSIMフリースマホ発売、台湾でLTEローミング、レノボがソフトバンクのLTE対応タブレット

2014.07.14

Updated by Naohisa Iwamoto on July 14, 2014, 16:00 pm JST

固定系のサービスを提供してきたNTT西日本が、SIMフリーのスマートフォンを提供するというニュースがあった。SIMフリースマホの提供経路が増えることで、端末とサービスを別々に手配してリーズナブルに利用するという流れが少しずつ本格化していきそうだ。この週はLTEの国際ローミングのトピックが多かった。台湾ではKDDIとソフトバンクモバイルがLTEで国際ローミングできるようになった。レノボの法人向けWindowsタブレットに、ソフトバンクのLTE回線に対応するモデルが登場するというニュースもあった。

NTT西もAscend G6などSIMフリースマホを提供、iPhoneでTVを見られるルーター

まずコンシューマ向けのサービスや製品のニュースから紹介していく。まずNTT西日本のニュースから。NTT西日本は、同社の提供する光ブロードバンドサービス「フレッツ光」が6月30日に800万回線の契約を突破したと発表した。同時に、今後の「スマート光ライフ」の実現に向けた取り組みをアナウンスし、SIMフリーのスマートフォンの販売などの施策を明らかにした。販売するのは、LTEに対応する「Ascend G6-LTE」(ファーウェイ製)と、3Gの「CP-F03a」(コヴィア・ネットワークス製)の2機種。いずれも4.5インチのディスプレイを備えたAndroidスマートフォンだ。また同社のCLUB NTT-West会員のポイントプログラムのポイント対象商品として、iPhone 5s(16GB)SIMフリー、iPhone 5c(16GB)SIMフリーの提供も開始する(関連記事:NTT西日本、SIMフリースマホ「Ascend G6」などを販売、SIMフリーのiPhoneもポイント交換商品に)。

ソフトバンクモバイルは、TVチューナーを内蔵したモバイルルーター「Pocket WiFi SoftBank 304HW」(ファーウェイ・テクノロジーズ製)を7月18日に発売する。専用のアプリケーションをスマートフォンなどにダウンロードすることで、Wi-Fi接続によりテレビを視聴できるようになる。放送波の受信状況により、フルセグとワンセグを自動切り替えで受信する。iPhoneなどテレビ機能を搭載していないスマートフォンやタブレットで、手軽にテレビのコンテンツを楽しめるようになる(関連記事:ソフトバンク、iPhoneでもテレビが見られるTVチューナー付きモバイルルーターを7月18日に発売)。

夏に向けたサービスのニュース。ヤフーは「Yahoo!地図」で、「熱中症情報」の提供を開始した。PC版、アプリ版(iOS、Android)、スマートフォンブラウザ版などで、9月30日まで提供する。天気予報を確認する感覚で、地図上のアイコンによりひと目で熱中症の警戒度合いをチェックできる。日本国内の142カ所の観測地点のデータを、気温や湿度などから算出した熱中症指数をもとにしたアイコンの5段階の色で地図上に警戒度合いを示す
(関連記事:「Yahoo!地図」にアイコンの色でひと目でわかる「熱中症情報」を掲載)。

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天候に関連したものとしては、この時期としては過去最大級の台風8号の接近に伴い、携帯電話各社では災害用伝言板、災害用音声お届けサービスなどの運用を開始したというニュースもあった。台風8号の影響で、各社とも一部の地域で携帯電話サービスが利用できないなどのトラブルも発生した(関連記事:台風8号の接近に伴う災害用伝言板サービス・情報まとめ)。

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台湾などでLTE国際ローミング開始

LTEの国際ローミングのニュースもあった。ソフトバンクモバイルは2014年7月9日、LTEの国際ローミングに関する2つの発表を行った。1つはFDD-LTEの国際ローミングの対象エリアの拡大で、台湾、イタリア、バチカンの3地域を加える。台湾では7月10日から、イタリア、バチカンでは7月11日から利用が可能になった。いずれのエリアでも、海外向けパケット定額サービス「海外パケットし放題」が利用できる。発表時点でソフトバンクモバイルは、台湾向けのLTE国際ローミングは国内初となるとした。

もう1つは中国のChina Mobile Communications(チャイナモバイル)のユーザーに向けた国内でのLTEネットワークの提供。チャイナモバイルの7億8000万を超えるユーザーが対応機種を持って来日すれば、LTE高速通信が利用できるようになる(関連記事:ソフトバンク、台湾でLTE国際ローミング開始、チャイナモバイル利用者に国内でLTE提供も)。

China Mobile Limited - Operation Data
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一方、KDDIは2014年7月10日、国際ローミングサービス「グローバルパスポート」で、台湾とベルギーにおけるLTE高速データ通信サービスの提供を開始した。台湾ではChunghwa Telecom、ベルギーではProximusが対象となる事業者で、いずれのエリアのLTE通信も「海外ダブル定額」の対象となる。KDDIのサービス開始により、台湾向けのLTE国際ローミングサービスは、実際にはソフトバンクモバイルとKDDIの両社が7月10日の同日開始することにとなった。なお、NTTドコモは7月14日時点で台湾向けのLTE国際ローミングサービスを提供していない(関連記事:KDDI、台湾とベルギーでLTE国際ローミングを提供)。

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レノボがLTE回線対応のタブレット、ビッグローブはエプソンのスマートグラス向けアプリマーケット構築

このほかの主なトピックを紹介する。レノボ・ジャパンとソフトバンクモバイル、ソフトバンク コマース&サービスは、ソフトバンクモバイルの高速データ通信サービス「SoftBank 4G LTE」と「SoftBank 4G」に対応した10.1インチ液晶搭載のタブレット「ThinkPad 10 for SoftBank」(レノボ社製)を開発した。2014年9月中旬以降にソフトバンクの法人向け販売チャネルを経由して提供する。通信は受信時最大100Mbps。CPUはAtom Z3795プロセッサーを搭載、OSはWindows 8.1 Pro Update 64bit。「ThinkPad Tablet ペン」による操作や指紋認証機能を備え、厚さ8.95mm、重さ610gの薄型軽量ボディーを実現した(報道発表資料:高速データ通信LTE対応「ThinkPad 10 for SoftBank」を開発)。

BIGLOBEがエプソンのスマートグラス向けアプリマーケット「MOVERIO Apps Market」を連携して構築
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ビッグローブは、セイコーエプソン(エプソン)が6月30日に国内で発売したAndroid搭載スマートグラス「MOVERIO」に向けたアプリマーケット「MOVERIO Apps Market」を、エプソンと連携して構築したと発表した。ビッグローブが提供するアプリ配信基盤のクラウド構築パッケージサービス「BIGLOBE Contents Director」を活用したもの。BIGLOBE Contents Directorの基本機能であるコンテンツの不正コピー防止やセキュアな会員管理機能を核に、BIGLOBEのアプリマーケット構築ノウハウを組み合わせることで、「MOVERIO Apps Market」のスピーディーな構築に貢献したという(報道発表資料:BIGLOBEがエプソンのスマートグラス向けアプリマーケット「MOVERIO Apps Market」を連携して構築)。

アプリックスIPホールディングスは、同社が提供するBeaconソリューションのMyBeacon Proシリーズに、「MyBeacon Pro USB給電型」を加えて発売した。USB給電ができることで設置後の電池交換などの保守・運用負担を大幅に軽減できる。壁や棚、天井などに簡単に直接取り付けられるフランジ付きタイプも用意する。価格はフランジなしタイプが10台同梱された「スタータパック」で1万5000円(税別、送料別)となる(報道発表資料:電池交換不要の「MyBeacon Pro USB給電型」発売開始 〜 壁、天井などに簡単に直接取り付けられるフランジ付きタイプもラインナップ 〜)。

昨年の第28週のできごと

・スマホ出荷が好調、しかし今後のスマホ移行は鈍化?
・緊急地震速報に「地震です」の音声、ソフトバンクのスプリント子会社化完了
・音楽、登山などエンターテインメントを楽しむ

[2013年第28週]スマホ出荷が好調、緊急地震速報は音声でお知らせ、MINIデザインのスピーカー登場

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。