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製薬会社の「いいね」に目を光らせるFDA

2014.07.24

Updated by Kenji Nobukuni on July 24, 2014, 11:30 am UTC

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(cc) Image by Images Money

FDA(アメリカ食品医薬品局)は、ソーシャル・ネットワークやマイクロブログなど双方向メディアと製薬会社の関係に目を光らせている。例えば、製薬会社は自社のAという飲み薬が喉の痛みにも腹痛にも両方に効くと考えていたとする。その際、FDAが用量や副作用などを含めて喉の痛みに対しては承認していても、腹痛については未承認だった場合、製薬会社は腹痛について慎重にならなくてはならない。腹痛に効くとほのめかすだけでルール違反となる。

印刷物やテレビなどの旧来のメディアであれば、未承認の効能については言及してはならないとか、重大な副作用などリスクはすべて明示しなければならないといった比較的単純なルールでOKだったのだが、双方向メディアの時代には、製薬会社のウェブサイトやフェイスブックのページに消費者が質問や意見をどんどん書いてくる。

最近、某社宛てにFDAから警告状が送られた。同社のファイスブックのページで今年の1月、「私はこの18日間、気管支炎だか肺炎だかと戦い続けてきました。できることは何でも試したのですが、御社の子供用咳止めシロップのお蔭で枯れていた声が治り、喉と胸がずっと楽になりました」という書き込みがあり、某社は「いいね(Like)」を押した。

このシロップは医薬品として気管支炎や肺炎への効果などについてFDAの承認を受けていない。消費者からの「嬉しい」コメントに「いいね」と答えれば、某社としてこうした効能があることを認めたことになるし、同じ症状の人が買う可能性もあるからプロモーション的な行為と見なされる。FDAはこの「いいね」はNGだと警告したのだ。

患者からすればほかに効く薬が見つからず、藁にもすがる気持ちでフォーラムなどに公開の質問を投稿することがある訳だが、そこで製薬会社が未承認の効能を肯定するコメントを書き込んでしまうのはアウトだ。薬を承認する制度には効能の評価だけでなく安全性やリスクについての評価も含まれる。

市販薬については、薬剤師に相談したり、用量・効能などの説明をよく読んで正しく使うのが基本で、ソーシャル・メディアで誰かがあの薬はこれにも効くよと安易に発信している情報を鵜呑みにするのは危険だ。

【参照情報】
FDA Cites Supplement Maker Zarbee's for Facebook "Likes"
"Likes" put Zarbee's in FDA crosshairs
Industry Beware?FDA is Watching Tweets and Posts

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信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来