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[2014年第32週]ソフトバンクは増収減益、スマホ料金は「高い」、KDDIが離れた家族もスマートバリューの対象に

2014.08.11

Updated by Naohisa Iwamoto on August 11, 2014, 12:00 pm JST

この週は、大手3キャリアでは最後となったソフトバンクの決算説明会が開催された。ソフトバンクの2015年3月期(2014年4月〜2015年3月)の第1四半期の決算は増収減益だった。連結の売上高は前年同期比126%増、すなわち約2.3倍となる1兆9922億円となった、一方、営業利益は同16%減の3376億円だった。これは前年同期にガンホー子会社化に伴う一時益などが含まれていたためで、一時益を除くと35%増だったと説明する。純利益も前年同期比68%減の776億円だが、一時益などを除くと前年同期比90%増になるという。国内ではモバイル営業利益が2079億円とボーダフォンから買収後に8倍に伸びたことを説明。海外では米スプリントが業績反転し、今後も引き続きネットワーク品質の改善に注力することで顧客獲得増につなげるという。
(報道発表資料:2015年3月期 第1四半期 決算説明会

スマホ料金は「高い」、格安SIM・格安スマホが攻勢

毎週、複数のニュースが飛び交うようになった格安SIM・格安スマホ関連の話題から。MMD研究所は、「スマートフォンの通話、利用料金に関する調査」の結果を発表した。大手キャリアから音声定額を含む新しい料金プランの提供が始まり、格安SIMや格安スマホの認知が広がる中で、スマートフォン利用料金の状況を調査したものだ。調査結果によると、回答者が月々に支払っているスマートフォンの料金の平均は6514円で、適正だと思う月額料金は平均4045円だった。「適正」と思う金額よりも支払いのほうが約2500円上回っている現状が明らかになった(関連記事:スマホの平均利用料金は月額約6500円、適正と思う金額と2500円の乖離--MMD研究所)。

そうした中、低料金で使えるスマートフォンサービスfreebit mobileを提供するフリービットは、独自のスマートフォン「PandA」に5.5インチ画面を搭載した最新モデルの投入を開始した。最新の3rdLotは、従来の5インチから5.5インチへとディスプレイの大型化が図られたほか、バッテリー容量も2ndLotの1.25倍に当たる2500mAhへと増加した。CPUは1.3GHzのクアッドコア、4GBのROM、1GBのRAM、800万画素のカメラを搭載する。また、東京・渋谷に首都圏初となる旗艦店舗「ATELIER」もオープンし、首都圏でのfreebit mobileの展開を図る(関連記事:freebit mobile、5.5インチ画面の「PandA」を発売、渋谷に旗艦店舗「ATELIER」をオープン)。

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初心者向けの取り組みもある。NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、初心者向けの格安SIMとスマートフォンのセットを月額2780円からの料金で提供する。特徴は、初期設定や操作方法などを相談できる「電話サポート」サービスが付属すること。初心者に安心の「セキュリティー機能」と、64GBまでデータ保存ができる「クラウド機能」も付属する。「OCN モバイル ONE」(50MB/日コース)と、4.7インチのLTE対応スマートフォン「LG G2 mini LG-D620J」(LG Electronics製)をセットにして、月額2780円(25カ月目以降は月額1400円)で利用できる。上級者で電話サポートやセキュリティー機能、クラウド機能が不要な場合は月額2280円(25カ月目以降は月額900円)で利用することも可能だ(報道発表資料:スマホデビューに最適な格安スマホが登場!丁寧な「電話サポート」と「OCN モバイル ONE」が付いて月額2,780円で販売開始)。

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KDDI、新料金プラン開始に向けた施策を続々

KDDIは新料金プラン「カケホとデジラ」が8月13日に提供開始されることを受けて、各種の施策を打ち出している。1つが固定通信サービスとauスマートフォンをセットにすることで最大月額1410円を割引く「auスマートバリュー」の加入対象を拡大すること。これまで対象だった「同一姓・同一住所の家族」に加え、「別住所に暮らす50歳以上の家族」も申込めるようになる。新料金プランでは、auケータイでも「電話カケ放題プラン(ケータイ・データ付)」に加入するとauスマートバリューの対象になるため、離れて暮らす両親のauケータイも割引料金で利用できるようになる(報道発表資料:離れて暮らすご家族も一緒に割引!「auスマートバリュー」加入対象の拡大等について)。

auスマートバリューの加入対象イメージ
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また、新料金「カケホとデジラ」の受付開始に合わせ、「デジラ」スタートキャンペーンも実施する。これは、5GB以上のプランを利用した場合に、最大2カ月は1つ下のプランの料金で使えるようにするもの。月額5000円の5GBのプランの場合は、キャンペーンの適用により4200円で利用できる。さらに、「データ定額サービス」の各プランのデータ容量を20%増量する「auからのデータギフトキャンペーン」も8月13日に提供を開始する(報道発表資料:今なら「データ定額5/8/10/13」の大容量プランが断然おトク!8月13日開始「デジラ」スタートキャンペーンの実施について)。

ドコモは富士山頂で「docomo Wi-Fi」

NTTドコモは、送受信時最大72.2Mbpsの公衆Wi-Fiサービス「docomo Wi-Fi」を、2014年8月8日に富士山頂で提供開始した。ドコモは富士山頂と登山道、登山口、山小屋で、受信時最大75MbpsのLTEサービス「Xi」を提供しているが、富士山頂にある3カ所の山小屋に「docomo Wi-Fi」のアクセスポイントを新たに設置し、Wi-Fi環境を提供することでさらにスムーズなデータ通信環境を提供する(報道発表資料:公衆Wi-Fiサービス「docomo Wi-Fi」を富士山頂で提供開始)。

またNTTドコモは、LTEの国際ローミングについても2つのアナウンスをしている。1つは、海外でもLTEを利用できるLTE国際ローミングアウトの対象国・地域の拡大。2014年8月7日にグアム、8月22日にタイを追加し、合計15の国・地域でサービスを提供する。もう1つは、海外の携帯電話事業者の契約者が来日した場合のLTE国際ローミングインで、8月22日からイタリアおよびバチカンを追加し、2014年5月以降に追加された中国を含めて、合計16カ国に拡大する(サービスページ:LTE国際ローミングサービス(ローミングアウト)、ローミングパートナー(ローミングイン))。

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テレビ連動O2O2Oからスクラップブックまでサービス

このほか、この週に発表されたモバイル関連のサービスを紹介する。まず名古屋テレビ放送(以下、メ〜テレ)とKDDIが提供する「O2O2O」実験について。メ〜テレの地上波データ放送とスマートフォン向けのアプリを連動させて実証実験を開始する。O2O2Oとは、オンエアー・ツー・オンライン・ツー・オフラインのことで、テレビ放送をきっかけに、スマートフォンやインターネットを介して、リアル店舗における購買行動などを促す。テレビのスピーカーが出す音波でクーポン情報を送る技術には、KDDI研究所が開発した音波通信技術「サウンドビット」を活用した(関連記事:メ〜テレとKDDI、テレビから音波でスマホにクーポンを送る「O2O2O」実験を開始)。

NTTコミュニケーションズは、企業向けに提供している安否確認サービス「Biz安否確認/一斉通報」で、スマートフォン向けのアプリの提供を始めた。これまで電話、メールによる一斉通報機能を提供していたが、スマートフォンアプリを加えることで電話やメールがつながりにくいときの連絡手段の確保や、安否確認連絡の到達率向上などを狙う。日本語に加えて英語表示も可能で、外国人の従業員などの安否確認にも利用できる。GPSなどの位置情報機能を活用し、緊急時に位置情報を自動的に登録することもできる(関連記事:NTT Com、「Biz安否確認/一斉通報」にスマホアプリを提供し、安否状況の確認を確実に)。

企業向けのサービスをもう1つ。富士通は、無線LAN(Wi-Fi)環境をクラウドの活用により集中管理・運用できるようにするソリューション「FUJITSU Managed Infrastructure Service FENICSⅡ ビジネスWi-Fiサービス」(以下、ビジネスWi-Fiサービス)の提供を開始した。拠点のレンタルアクセスポイントを、富士通データセンターの管理基盤から遠隔監視し、電波環境の安定化や万が一の問題発生時の対策につなげる。またデバイス証明書認証を併用することでセキュリティーも高められる(関連記事:富士通、セキュリティーと利便性を両立したWi-Fi環境をクラウドで提供するビジネスソリューション)。

最後はエンドユーザー向けのサービス。ピンタレスト・ジャパンは、同社が提供するデジタルスクラップブックサービス「ピンタレスト」(Pinterest)に、利用者同士がコミュニケーションできる「メッセージ機能」を追加した。ピンをピンタレストのユーザーに送った後に、対話をピンタレストの中で継続できるようになった。ピンタレストがサービスを提供しているすべての言語が対象となるという(関連記事:ピンタレスト、「ピン」を付けた画像について語り合える「メッセージ機能」を追加)。

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昨年の第32週のできごと

・夏のキャンペーン、Surface RTのキャッシュバック、スマホや携帯買取
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・ドコモ純増、シニア向け新ジャンル端末、MOTO Xが国内発売?

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。