WirelessWire News Technology to implement the future

by Category

インドの携帯電話出荷でサムスンを抜いた地場メーカーMicromax

2014.08.21

Updated by Hitoshi Sato on August 21, 2014, 08:43 am JST

20140821-0.jpg

香港の調査会社Counterpointは2014年8月4日、インドの2014年第2四半期(4~6月)の携帯電話市場で、インドの地場メーカーMicromaxが出荷台数でサムスンを抜いて1位になったことを明らかにした。

インド市場での携帯電話における出荷台数のうち70%はまだフィーチャーフォンである(参考:スマートフォン出荷186%増のインド市場:それでもまだ携帯電話全体の30%程度)。そのため、フィーチャーフォンで売上の多いメーカーは出荷台数上位に入ってくる。実際、スマートフォンの出荷シェアでは、まだサムスンが4分の1を占めている。それでもインドのスマートフォン市場は急速に拡大しており、競争も激しく、世界中のメーカーがインドのスマートフォン市場に端末を投入している。2014年1月に中国レノボによる売却を発表したモトローラは、同社のスマートフォン「Moto X」「Moto G」「Moto E」の売上が好調でインド市場のスマートフォン出荷で4位に入った。この状況がいつまで続くかも注目である。

インドでは、iPhoneのような高価な端末は売れない。サムスンやソニーのようなグローバルメーカーもインド市場に特化したスマートフォンを市場に投入している。現在のインドの携帯電話市場ではサムスンとMicromaxの2強が大きなシェアを占めている。Micromaxは年間約2,500万台の端末を出荷している(参考:インド初のグローバルメーカーを目指すMicromax)。インドではMicromax以外にもKarbonn、Lavaといった地場メーカーが多数存在し、たくさんのスマートフォンを出荷している。

インドのスマートフォン市場はこれからも成長が期待されている。Micromaxをはじめとした地場メーカーの勢いはものすごい。あらゆるところでキャンペーンやテレビによる宣伝を行っている。近いうちにインドの地場メーカーでなく、グローバルメーカーとして台頭してくるであろう。さらにXiaomiやOPPOのような中国の新興メーカーの多くもインド市場に進出し、競争を激化させている。

サムスンがインドのスマートフォン市場でいつまでも首位でいられないかもしれない。また、2014年7月からマイクロソフトの傘下に入ったNokiaは従来からインド全土に販売チャネルを持ちブランド力もあったため、現在でもインドではある程度のシェアを確保しているが、世界的に出荷台数を減少させておりこちらも先行きは不透明だ。インドの携帯電話市場はこれからも激しい競争が予想される。

▼表1:インドの2014年Q2の携帯電話(スマートフォン+フィーチャーフォン)出荷メーカー別シェア
20140821-1.jpg
(Counterpoint発表資料を元に作成)

▼表2:インドの2014年Q2のスマートフォン出荷メーカー別シェア
20140821-2.jpg
(Counterpoint発表資料を元に作成)

▼表3:インドの2014年Q2のフィーチャーフォン出荷メーカー別シェア
20140821-3.jpg
(Counterpoint発表資料を元に作成)

【参考動画】Micromaxのテレビ広告

【関連記事】
ヒューレット・パッカードが狙うインドのスマートフォン市場
まだまだフィーチャーフォンの方が圧倒的に多いインドの携帯電話市場
中国メーカーOPPOも狙うインド市場
インドのスマートフォン「ブランド」でソニーが2位に
成長余地の高いインドのスマートフォン市場に挑むパナソニック

(参照)
Market Monitor Q2 2014:Micromax Becomes the Leading Mobile Phone Brand in India

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。