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テレコム・マレーシアのメッセンジャーアプリ「HyppMe」

2014.09.08

Updated by Hitoshi Sato on September 8, 2014, 00:36 am JST

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マレーシアで固定網やブロードバンドを提供している通信事業者テレコム・マレーシア(TM)は2014年6月からメッセンジャーアプリ「HyppME」の提供を行っている。

従来のメッセンジャーアプリ、いわゆるLINEやWeChat、WhatsAPPと基本機能は同じである。アプリ間での無料通話、テキストメッセージ、写真や絵文字、動画などの送信が可能である。
「HyppMe」の特徴としてはテレコム・マレーシアの固定電話にも無料で通話ができる。テレコム・マレーシア以外の電話には1分0.08リンギットで通話が可能である。また1通0.05リンギットでSMS(ショートメッセージ)の送信もできる。

サービス提供が開始されてから、まだ2か月であるため、クアラルンプールを中心に多くのキャンペーンを実施している。メッセンジャーアプリは多くのユーザーを集めて、それらのユーザーを基盤として事業を展開していかなくてはならない。マレーシアではテレコム・マレーシアの「HyppMe」以外にも、携帯電話事業者があらゆる所で、プリペイドSIMカードの安売りキャンペーンを行っている。そのような携帯電話のプリペイドSIMカードは「Talk is Cheap(通話が安い)」をウリにしているが、「HyppMe」は「Talk is Free(通話は無料)」を差別化として訴求している。

テレコム・マレーシアの固定電話への通話が無料であることも特徴の1つではあるが、そもそもマレーシアでは固定電話の普及率は高くないから、利用者にとって大きなメリットではない。そして現在のマレーシアでは既にWeChat、WhatsApp、LINEといった既存のメッセンジャーアプリが多く利用されている。またFacebookも広く普及しており、Facebook messengerもコミュニケーション・ツールとして多く利用されている。競争が非常に厳しい市場である。このようなメジャーなメッセンジャーアプリ以外にも多くのメッセンジャーアプリはたくさん存在している。テレコム・マレーシアの「HyppMe」もこれから多くの差別化となるサービスを投入しないと見向きもされなくなってしまうだろう。どのような差別化をしてくるのだろうか、楽しみである。

テレコム・マレーシアはかつての独占企業であるが、今ではこのような新サービスを投入しており、2014年上半期収益は昨年同期の8.0%増の54億4,000万リンギット(17億2996万ドル)だった。インターネット事業及びその他電気通信サービスが好調であったことが貢献し、営業利益は4.4%増、6億5,570万リンギット。 税前利益も24.9%増加の5億8,900万リンギットだった。

▼クアラルンプールでの「HyppMe」キャンペーン
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【参考動画】

【参照情報】
「HyppMe」

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。