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虫達のオーケストラが、私たちに知らせるもの。

2014.09.10

Updated by Yoshiko Kano on September 10, 2014, 09:30 am UTC

菊の節句も過ぎ、appleの発表も終わり、今年もあと少しだなぁと遠い目になるタイミングですね。

蚊の羽音と共に、岩に染み入る蝉の臨終間際の鳴き声や、霜夜のさむしろに鳴くコウロギなども、身近な気候になってきました。デング熱の感染がニュースにのぼって以来、蚊が日本の話題の第一線をキープし続けていますね。蚊は越冬するので安心できませんが、急に到来した涼しさで、感染している蚊だけでも、早々にお陀仏してくれることを願ってやみません。

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ところで、私も例年通り多くの蚊に夜毎輸血しながら、辛い日々を過ごして参りました。何よりも嫌いなのは、あの「羽音」。「蚊の鳴くような」という形容詞がありますが、鳴いているわけではないんですよね。しかも実際の羽音は全然消え入りそうではないあたりが不快感をいや増しますね。

何故、蝉やコウロギは古今に渡って好ましく聞かれ、蚊の羽音はネガティブに捉えられてきたのでしょう。

音高の問題でしょうか。蚊の羽音はやけに高く聞こえます。しかし実際には周波数にしてだいたい周波数350-600ヘルツ。NHKの時報が440ヘルツ&880ヘルツと思うと、さほど高くもない音です。雄と雌とが高低差のある周波数で愛のデュエットを奏でているそうです。うえぇ。もうひとつ考えられるとしたら、あの「近い」距離感が不快感の源でしょうか。とはいえ近い方が心地よい音もあるわけで、一概には言えません。

蚊は伝染病の媒介として昔から様々な感染症を引き起こしてきました。「痒い!」では済まされない、今までの数ある病気の記憶が、あの羽音共に我々の遺伝子に記憶され、矢も盾もたまらず逃げ出したくなるのかもしれません。蚊の発する音に対する嫌悪感がシグナルになり、我々はそれを察知し、攻撃を避けるべく、毎夜体をよじるわけですね。

耳に届く振動を「危険信号」「季節の変わり目のサイン」のように意味あるモノとして目を向けるのか、「単なるノイズ」としてゴミ箱に入れてしまうのか。それは受け取り手次第とも言えます。私たちはつい、何かのシグナルを見えるもの「だけ」に依拠してしまいがちですが、目を閉じて伝わってくる違和感や気付きを、情報として、もっと利用してもいいのかもしれません。

そんなわけで、残りの夏の夜は風流に蚊帳をはり、外敵から距離を取って危機を乗り切る作戦と洒落こんでみてはいかがでしょうか。

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かのうよしこ

青山学院大学史学科、東京藝術大学声楽科、京都造形芸術大学ランドスケープデザインコースを卒業。京都造形芸術大学大学院芸術環境専攻(日本庭園分野)修士課程修了。通信キャリアにてカスタマサービス対応並びにコンテンツ企画等の業務に従事、音楽業界にてウェブメディア立ち上げやバックヤードシステム開発、コンサート制作会社での勤務を経て、現在はフリーのヴォーカリスト、ヴォイストレーナー、エディター、ライター。
http://kanoppi.jp