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台湾で始まったLTEサービス - 中華電信はOPPOのスマートフォンも販売開始

2014.09.26

Updated by Kazuteru Tamura on September 26, 2014, 17:00 pm UTC

台湾では2014年5月下旬以降に移動体通信事業者各社が相次いでLTEサービスを開始した。台湾最大の移動体通信事業者である中華電信(Chunghwa Telecom)が2014年5月29日、遠傳電信(FarEasTone Telecommunications)が2014年6月3日、台湾大哥大(Taiwan Mobile)が2014年6月4日、台湾之星電信(Taiwan Star Telecom)が2014年8月25日よりLTEサービスを提供している。台湾では中華電信、遠傳電信、台湾大哥大、台湾之星のほかに、亞太電信(Asia Pacific Telecom Group)や國碁電子(Ambit Microsystems)もLTE用の周波数を保有している。6社がLTE用の周波数を保有する中で、今回は台湾で初めてLTEサービスを開始した中華電信にフォーカスを当てる。

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台湾で最初にLTEサービスを開始

中華電信は台湾で最初にLTEサービスを開始した移動体通信事業者である。当初は2014年7月に開始する予定を表明していたが、LTEサービスの提供に関するライセンスが2014年4月30日付けで交付されたことを受けて、予定を前倒しでLTEサービスを開始したのである。中華電信がLTEサービスを開始したことを皮切りに、同時にライセンスを交付されていた遠傳電信や台湾大哥大も続いてLTEサービスを開始することになった。

▼半分Samsung GALAXY S5のハイブリッドダウンロードの宣伝になっているが、販売店にはLTEサービスの体験スペースを設けているところもある。
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▼LTEサービスの体験スペースには屋内基地局を設置して、速度が出るような環境を整えている。理論値は下り112.5Mbpsであるが、通信速度を測定すると110Mbps以上も出た。
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周波数オークションの勝者はサービス提供で有利に

中華電信はLTE用の周波数として1.8GHz帯(Band 3)における25MHz幅と900MHz帯(Band 8)における10MHz幅を保有しているが、サービス開始時点では1.8GHz帯の15MHz幅を使用している。

中華電信が保有する1.8GHz帯は連続した25MHz幅ではなく、15MHz幅と10MHz幅に分かれているが、15MHz幅の方の周波数は現有事業者がない未使用の周波数であるため、すぐにLTEサービスで使うことができた。一方で、1.8GHz帯の10MHz幅と900MHz帯は中華電信自身がGSM方式で利用している。GSM方式のライセンスが切れる2017年6月以降に利用可能となるが、早期にGSM方式を終了する判断をすればLTE方式に転用する時期も前倒しとなる見通しである。

LTE用の周波数の割り当ては周波数オークションを経ており、中華電信以外の事業者は700MHz帯(Band 28)と遠傳電信の1.8GHz帯の一部を除き、現有の事業者が自社ではない周波数を獲得しているため、現ライセンス保有事業者のライセンス期限まで利用開始を待たなくてはいけない。中華電信は現有の事業者が存在しない周波数と現有する事業者が中華電信自身の周波数を獲得することで、早期のLTE方式への転用なども見据えた選択をしたと考えられる。中華電信は周波数オークションで最も費用を費やしたが、自社にとって扱いやすい周波数を獲得することに成功したと言えるだろう。

また、中華電信が選択した1.8GHz帯と900MHz帯のLTEに対応した既存の端末は非常に多い。特に、メインの周波数帯として利用する1.8GHz帯はLTE用の周波数としては世界で最もメジャーであるため、中華電信のLTEサービスで利用できる端末は多い。また、1.8GHz帯をメインとすることから、900MHz帯のLTEに非対応の端末も投入している。

最近でこそ700MHz帯のLTEに対応した端末も増えてきているが、メジャーな周波数を使用する中華電信はLTEサービスの開始直後から他社よりも豊富なラインナップを提供することができたのである。台湾最大の移動体通信事業者でもある中華電信は、周波数オークションの段階から強さを見せつけていたのだ。周波数オークションの勝者であることは言うまでもない。

▼台北市内にある中華電信の販売店。
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OPPOと提携してLTEスマートフォンの取り扱いを開始

中華電信が販売を手掛けるLTE対応スマートフォンとして特に注目したいのが広東欧珀移動通信(以下、OPPO)のスマートフォンである。OPPOは中華電信がLTEサービスを開始してからおよそ半月後に台湾市場に参入した。台湾市場に参入した直後から中華電信と提携し、複数のOPPO製スマートフォンを台湾で展開している。中華電信の販売店にはOPPOの専用スペースが設けられていたり、OPPOの広告が掲示されていたりと、OPPOのスマートフォンの販売に注力していることが分かる。

中華電信がOPPOのスマートフォンをこのように大きく取り扱う理由は、先述の通り両社が提携しているからだ。中国・東莞市に本社を置くOPPOはグローバル展開を強化しており、特に東南アジアや南アジアなどアジア太平洋地域における新規参入を加速している。そのグローバル展開の一環で、OPPOは台湾市場への参入を果たしたが、台湾市場では移動体通信事業者と提携して販路を確保する狙いがあった。中華電信はLTEサービスにおいて1.8GHz帯をメインの周波数として使うことや、台湾最大の移動体通信事業者であることから、OPPOとしては中華電信と提携することが最も条件が良かったのである。

中華電信のLTEサービスがメジャーな周波数であることは、OPPO以外のメーカーにとっても中華電信に端末を投入しやすくなるということだ。そのため、中華電信が取り扱うスマートフォンのラインナップは豊富なものとなっている。グローバルで展開するスマートフォンメーカーはもちろんのこと、BenQなど地元・台湾のリーズナブルなスマートフォンなども販売しており、OPPOとしてはライバルが多い環境であることも事実だ。

台湾がLTEの時代に突入してからはASUSTeK ComputerやInFocusのリーズナブルなLTE対応スマートフォンが攻勢を強めており、競争が激化することは必至である。それだけに、今後も中華電信はもとより新時代を迎えた台湾のスマートフォン戦争を注視したい。

▼中華電信の販売店に貼られているOPPOの広告。OPPO Find 7はOPPOのフラッグシップである。
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▼中華電信の販売店内にあるOPPOの専用スペース。OPPOのスマートフォンに力を入れていることが分かる。
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▼中華電信の店頭に置かれたカートにはAcer、ASUSTeK Computer、BenQ、HTC、FoxconnグループのFIH Mobileが開発するInFocusなど台湾勢の比較的リーズナブルなLTE対応スマートフォンが並ぶ。
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田村 和輝(たむら・かずてる)

滋賀県守山市生まれ。国内外の移動体通信及び端末に関する最新情報を収集し、記事を執筆する。端末や電波を求めて海外にも足を運ぶ。国内外のプレスカンファレンスに参加実績があり、旅行で北朝鮮を訪れた際には日本人初となる現地のスマートフォンを購入。各種SNSにて情報を発信中。