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アレルギー物質の存在を教えてくれるカナリア

2014.10.06

Updated by Kenji Nobukuni on October 6, 2014, 19:00 pm JST

6SensorLabs
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食品アレルギーの人々にとってレストランでの食事は難しい。オーナーやシェフと仲良くなれば、材料からアレルギー疾患の原因となる素材を外して調理してもらうことができるだろうが、加工品を加熱しているだけのチェーン店では、原材料をどこまで把握していてくれているかは疑わしい。言葉の通じない異国でも、食材をいちいちたずねて安全な食べ物を探すのは簡単ではないだろう。

サンフランシスコのスタートアップ、6SensorLabs社は、食物の中のアレルギー物質を誰でも簡単にチェックできるデバイスを作ろうとしている。まず対象としたのはグルテン(麩質)。小麦や大麦などに含まれるたんぱく質の一種で、代表的なアレルゲンの一つだ。

デバイスは来春発売予定で150ドル程度となるらしい。交換が必要な検査機の部分の価格は未定。測定手法について詳細は明らかにされていないが、使い捨てのユニットが必要なようだ。モバイル・アプリと連動することで、将来的にはレストランのメニューなどを調べた結果を他の人々と共有することで、「グルテン・フリー・マップ」を作成する構想もある。

デバイスはCanary(カナリア)と名づけられている。炭鉱などで空気の悪化をいち早く知るために炭坑夫らは鳥かごに入れたカナリアを持ち込んだそうだが、そこから取った名前なのだろう。

カナリアの前にもアレルゲン検出にスマートフォンを利用しようという試みがあった。カ
リフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)のiTubeは、iPhoneなどスマホのカメラを利用して食品の中のアレルゲンを検出しようという装置。2012年12月に発表されたが、市販されたという情報は見当たらない。カナリアの6SensorLabs社は、9月になってVCなどから4百万ドルの資金調達に成功していて、製品開発を加速しているそうだ。

【参照情報】
6SensorLabs社のウェブサイト
6SensorLabs raises $4M for connected gluten sensor
スマートフォン装着型のアレルゲン分析キット

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信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来

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