WirelessWire News Technology to implement the future

by Category

[2014年第40週]VoLTE標準対応のドコモ新作、iPhoneでおサイフケータイ、コンビニで格安スマホ

2014.10.06

Updated by Naohisa Iwamoto on October 6, 2014, 19:30 pm JST

この週、ドコモの冬春モデルが発表された。16機種というラインアップは、グローバルスマホはもちろん、国産スマホからフィーチャフォン、キッズケータイまでカバーしたもの。こうした幅広いラインアップが顧客に求められているのか、時代が変わっているのか、見極めが難しい段階に来ているようだ。iPhone関連で面白い話題が、iPhoneに装着しておサイフケータイを利用できるようにするジャケットと、「iPhoneを探す」の代行サービス。また、この週も格安SIM、格安スマホに関連したトピックが豊富だった。

ドコモの冬春モデル発表、ソニーやNVIDIAからタブレット

201410061930-1.jpg

まず、NTTドコモが発表した2014-2015冬春モデルの新商品・新サービスの話題から。新製品はスマートフォン7機種、タブレット2機種を含む全16機種。スマートフォンは高品質な音声通話ができるVoLTEに全機種対応。スマートフォンとタブレットは、高音質な音楽を楽しめるハイレゾ音源にも対応する。また、キャリアアグリゲーション(CA)で225Mbpsに対応するモバイルルーター2機種も発表した。発表会で力が入っていたのはサービスで、トレーニング支援サービスの提供やiコンシェルの強化、子供むけの見守りサービスに時間を割いて説明した(関連記事:ドコモが冬春モデル16機種発表、スマホは全機種VoLTE・ハイレゾに対応、サービスも強化

ソニーは、薄型軽量の8インチタブレット「Xperia Z3 Tablet Compact」を国内で発売する。Wi-Fiタイプの小型タブレット。ストレージ容量が32GBの「SGP612JP/W・B」と、16GBの「SGP611JP/W・B」を用意する。重さ270gは8インチクラスで世界最軽量という。防水機能も備え、入浴中でも利用できる。

また、ソニーモバイルコミュニケーションズは、最新スマートフォンの「Xperia Z3」をソフトバンクモバイルからも提供するとアナウンスした。Xperia Z3は、すでにKDDIとNTTドコモが発売を発表している(関連記事:ソニーが「Xperia Z3 Tablet Compact」国内発売、Xperia Z3はソフトバンクも発売

201410061930-2.jpg

ゲーミング用タブレットをNVIDIAが国内で発売する。NVIDIA SHIELDファミリーのAndroidタブレット「SHIELDタブレット」と、「SHIELDワイヤレス・コントローラー」の2モデルが発表された。SHIELDタブレットは8インチディスプレイを備えたボディーに、192個のGPUコアを持つモバイルプロセッサ「NVIDIA Tegra K1」を搭載してゲームに最適化したほか、ワイヤレス・コントローラーと併せて新しいゲームの楽しみ方を提案する。出荷は10月10日から(関連記事:NVIDIA、Tegra K1搭載ゲーミング用タブレット「SHIELDタブレット」を国内発売)。

===

iPhoneでおサイフケータイ、iPhone探しの代行

iPhone向けの興味深いソリューションを2つ紹介する。1つはNTTドコモが開発を発表した「おサイフケータイジャケット01」。iPhoneで「おサイフケータイ」を利用できるようにモバイルFeliCa ICチップを搭載したデバイスで、対応ケース入れてiPhoneに装着することで、おサイフケータイとして利用できる。電子マネー「iD」や、各種ポイントサービス、飛行機の搭乗券などの利用が可能。ただしSuicaなどの交通系サービスへの対応はアナウンスされていない。iPhoneには対応アプリ「おサイフリンク」をインストールし、Bluetoothで接続して利用する。パナソニックモバイルコミュニケーションズが製造する(報道発表資料:「おサイフケータイ ジャケット01」を開発)。

201410061930-3.jpg

もう1つがKDDIとモバイルセキュリティソリューションを提供する米Lookoutとの戦略的提携で始まるサービス。iPhoneおよびauスマートフォン(Android)向けにセキュリティアプリ「Lookout for au」を提供する。「端末捜索」や「警報」、電池が切れる直前の位置情報を記録する「シグナルフレア」の機能を提供。またauスマートパス会員およびauスマートサポート会員は、お客さまセンターのオペレーターが紛失したスマートフォンの位置を検索する、いわゆる「iPhoneを探す」サービスも受けられる(関連記事:KDDIがカスタマーサポートに電話で「iPhoneを探す」サービスなど提供、米Lookout社と戦略提携)。

未来へ向けて、翻訳、組み込み、ネットワークインフラの取り組み

201410061930-4.jpg

技術に関連した話題を3つ主お買いする。NTTドコモは、合弁会社「みらい翻訳」設立について、韓国のSYSTRAN INTERNATIONAL(以下シストラン)、フュートレックと合弁契約を締結した。新会社では、「はなして翻訳」の提供実績を持つドコモ、翻訳ソフトウエア業界最大手のシストラン、音声認識・翻訳システムの開発に実績を持つフュートレックの3社が協力し、さらに情報通信研究機構(NICST)の多言語翻訳エンジン、NTTの日本語解析処理にもとづく機械翻訳技術も併せて活用することで、世界最高レベルの機械翻訳精度を目指した機械翻訳技術、ソフトウエアを開発する(関連記事:ドコモ、機械翻訳技術の開発・サービス提供を行う合弁会社「みらい翻訳」を設立)。

KDDIは、組み込み開発者やWeb開発者に向けたクリエイティブプラットフォームとして、Firefox OSをベースとした開発ボード「Open Web Board」と、アプリケーション開発ツール「Gluin」を開発した。Web技術による機器間連携のプログラミングの開発に役立てる。KDDIはOpen Web Boardを、10月下旬以降にKDDIが開催する開発者向けイベントで無償提供し、Gluinと併せて利用できる環境を整える(関連記事:KDDI、Firefox OSベースの開発ボードを提供し機器間連携プログラミングを推進)。

エリクソン・ジャパンは、屋内設置型の小型の新ピコ基地局や、ネットワーク機器に導入を進める新しいソフトウエアモデルなどについて解説した。新しいピコ基地局「RBS6402」は、2.8リットルと小容量で設置の自由度が高い。2つのRFモジュールと1つのWi-Fiモジュールを利用でき、最大で20MHzの帯域幅を使って300MbpsのLTE通信を実現するほか、キャリアアグリゲーション(CA)にも対応する。また最新版の「ネットワークソフトウェア15A」をリリースする。主な強化点としては、超小型スモールセル「エリクソンRadio Dotシステム」のサポート、複数のセル間で同じセルIDを利用してスムーズにエリアを拡張できる「Combined Cell」の対応などが挙げられる(関連記事:エリクソン・ジャパン、CA対応の新ピコ基地局やネットワークの新ソフトを解説)。

===

今週の格安SIM・格安スマホ──スマホのコンビニ購入が可能に

毎週のニュースが飛び込んでくるようになった格安SIM・格安スマホ。今週は3つのトピックを紹介する。1つはコンビニでも格安スマホが買えるようになったニュースだ。ミニストップは、国内のミニストップ全店舗でイオンが販売する格安スマホ「イオンスマホ LTE」の取り扱いを開始する。利用者は、ミニストップ店舗で代金を支払い「BIGLOBE SIMパッケージ」を購入し、パッケージ内の案内に従って回線契約を締結する。すると3〜5日でイオンスマホとSIMが自宅に配送される仕組みだ。ミニストップでは一括払いになり、イオンスマホとSIMのセットで3万4920円(税抜き)。別途、月額の通信サービス費用が1650円と、通話料が必要になる(報道発表資料:コンビニエンスストア初! 人気の格安スマートフォン第3弾「イオンスマホ LTE」 ミニストップ全店で取り扱い開始)。

2つ目は、U-NEXTが、同社のモバイル通信サービス「U-mobile」や、映像配信サービス「U-NEXT」などを実際に体験し、サービスの契約やデバイスの購入ができる実店舗「U-NEXT ストア」を東京都港区の南青山に開設したニュース。実店舗で実際の端末やサービスを体感し、購入までできるようにすることで、これまでリーチできなかった利用者層にも格安SIMや映像・音楽配信サービスの利用を広げたい考えだ(報道発表資料:話題の格安スマートフォンや、映像配信サービスなどが体験・購入できる『U-NEXT ストア』南青山に10/1 GRAND OPEN

▼U-NEXTが南青山の交差点に開設した「U-NEXTストア」
201410061930-5.jpg

最後が、格安SIMのデータ量の増加の話題。NTTコミュニケーションズは、格安SIMの代表的サービス「OCN モバイル ONE」の主要4コースのデータ通信容量を10月1日から増量した。月額900円の「50MB/日コース」は「70MB/日コース」に、月額1380円の「80MB/日コース」は「100MB/日コース」に、月額1100円の「1GB/月コース」は新しい「2GB/月コース」に、月額1450円の従来の「2GB/月コース」は「4GB/月コース」に名称を変更。名称の通りに高速データ通信の容量を増量した。インターネットイニシアティブの「IIJmio」がデータ量の増量を発表して以降、同グループのハイホーの「hi-ho」も増量に追従。月額1000円前後のエントリープランのデータ量水準が、従来の月間1GBから2GBへと引き上げられてきた(報道発表資料:「OCN モバイル ONE」主要4コースで通信容量を大幅拡大 料金据え置きで、日次コースは+20MB、月次コースは倍増に)。

昨年の第40週のできごと

・KDDIは150Mbps対応スマホなど7機種、UQはWiMAX 2+始動
・ソフトバンクは厳選4モデル、イーモバと連携
・大規模災害に対応する技術を実証実験、ツイッター分析をスマホから

[2013年第40週]au、ソフトバンクの冬モデルは? ドコモなど大規模災害時の通信確保の実験

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。