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米HBO、ネット単独のストリーミング配信サービスを来年開始へ

2014.10.16

Updated by WirelessWire News編集部 on October 16, 2014, 10:34 am JST

人気ドラマ『Game of Thrones』など数々の映像コンテンツを持つHBOーー米タイム・ワーナー(Time Warner)傘下の大手テレビチャネルーーが、来年にもネット経由のストリーミング配信サービスを開始するという。

同社のリチャード・プレプラー(Richard Plepler)CEOが15日(米国時間)に明らかにしたところによると、この新サービスは有料のケーブルテレビや衛星放送などに加入していないネットユーザーでも加入・視聴可能なものになるという。米国では現在、ブロードバンド(経由のネット接続)サービスに加入しながら、有料テレビ・サービスには加入していない世帯の数が約1000万世帯に達しており、HBOでは新たなネット配信サービスを通じて、これらの潜在視聴者にリーチしたい考え。

HBOはすでにモバイル端末ユーザーなどに向けたウェブ経由のコンテンツ配信サービス「HBO GO」を提供しているが、これは基本的にケーブルテレビや衛星テレビの既存加入者を前提としたもの。同社では単独のネット配信(OTT)サービスに長らく慎重な姿勢をとってきていたが、ネット映像配信最大手のネットフリックス(Netflix)が一昨年の『House of Cards』を手始めにオリジナル作品の製作・配信を積極的に進めてきていることや、ケーブル/衛生テレビとは契約せず、代わりに有料のオンライン・ストリーミングサービスに加入している世帯が約500万世帯に達していることなどから、従来の方針を改めることにしたようだ。

HBOはESPNーーウォルト・ディズニー(Walt Disney)傘下の大手スポーツチャネルーーなどと並んで、ケーブル/衛生テレビ事業者にとっては加入者離れ(いわゆる「ケーブルカッター」の流れ)を食い止める大きな材料のひとつとされていた。そのESPNも、先ごろ発表したNBA(北米プロバスケットボール・リーグ)との新たな放映権契約のなかで、2016年以降にウェブ専用のストリーミング・サービス(試合のライブ中継を含む)を開始する権利を獲得したことが伝えられていた。

これらの有力映像コンテンツが「ウェブ解禁」になることで、コムキャスト(Comcast)やディレクTV(DirecTV)などでは加入者離れにつながる可能性もある。ただし、コムキャストなどのケーブル事業者でテレビ放送に代わってブロードバンド(ISP)サービスの比重が高まっていることや、ディレクTVがAT&Tへの売却計画を進めていることなども考えあわせると、こうしたウェブ映像配信の流れの拡大が即座にマイナスの影響につながるとは一概に言い切れない部分もある。

なお、この話題をとりあげたRe/codeでは、HBOがスカンジナビア諸国で実験的に進めているウェブ単独のコンテンツ配信サービスに触れ、同サービスの開始以降に従来のケーブルテレビ視聴契約数も増加した、と記している(ウェブ配信サービスの加入件数は7月時点で約38万件)。この結果を受けて、HBOは米国でもケーブル加入者のいっそうの増加に取り組んでいく考えだという。

【参照情報】
HBO Says It's Going to Start Selling on the Web Next Year - Re/code
HBO is finally going to let you watch its shows without cable - The Verge
HBO to Offer Stand-Alone Web Subscription in U.S. Next Year - Bloomberg
HBO to Offer Standalone Streaming Service Next Year - AdAge

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