WirelessWire News Technology to implement the future

by Category

日本の男が女を助けないのはブラック企業が大きな顔をしている理由と同じ

2014.10.06

Updated by Mayumi Tanimoto on October 6, 2014, 22:11 pm JST

週末にネットを巡回しておりましたら、以下の様な記事を発見しました。日本ではいまだにベビーカー論争をやっておりますが、いまだにこんな野蛮人的なことを大手雑誌のサイトに書きなぐって大きな顔をしている男性がいる様です。暗闇で怒った女性達にボコボコにされなくてラッキーですねとしか言う他ありません。

日本男子は、なぜベビーカー女子を助けないのか

さらに、日本の男は忙しいから助けないのは仕方ないと擁護している女性もいる様です。日本の女性はなんと優しくてお人好しなのか。欧州でルーザーの嫁になってしまい、働きずくめでボロボロになっている日本人女性が後を絶たない理由がよくわかります。

男がベビーカー女子を助けない2つの理由

また出羽の守トークと言われるのは承知で書きますが、イギリスでもイタリアでもフランスでもスペインでも、公共交通機関や町中のベビーカーが邪魔だ、助けるべきかどうか、なんてことは議論にすらなりませんし、話題にもなりません。

困っている人がいたらさっと助ける。以上です。難しいことではありません。

周囲が助ければ電車もバスも定時にでられるし(それじゃなくても遅れますので)、子供も泣かないし、乗客と親が喧嘩になることもありませんので、良いことしかありません。誰だって赤ん坊だったし、年を取ったら足腰が立たなくなり車椅子になることもあるし、病気や事故だっていつなるかわかりません。そこはまあお互い様ということです。

助けない様な人間、特に男はどんな扱いを受けるか。周囲から鬼畜呼ばわりです。怒られます。怒鳴られます。「おい、そこのメイト、そこのご婦人を助けてやりな!」なんて声がかかります。声をかけるのは、体中に刺青が入った体格の良いお兄さんだったり、スーツ姿のインド系だたり、杖をついたお婆さんだったり、色々です。

杖をついている人に「ちょっとそこのあなた助けてくれるかしら。私腰が痛くてたっていられないのよ。あなたは健康なのよね!」と席を譲らない男が怒鳴られることもあります。寝ていれば叩いて起こします。こういう光景をワタクシは何度もみています。怒鳴られる方はそれはそれは恥ずかしい思いをします。ですから、優先席にはなるべく座らない様にするし、先に席を譲るし、ベビーカーも助けるのです。

怒鳴るのは年寄りだけではありません。若い女性だっていました。ここの女性はとても強いのです。そして自分にハンディがあっても強いのです。子連れだって強いのです。権利や倫理的に正しいことははっきりと主張します。主張するから助けてもらえるのです。

日本の健康な男性が優先席で足を広げて座っている理由、体が不自由な人やベビーカーを助けない理由、赤子を連れた母親に嫌がらせをしても何もいわれない理由は、誰にも怒られないからです。仕事が大変だからとか、心に余裕がないからではありません。怒られないから立場が弱い人を舐めているだけなのです。

女だって働いています。体が不自由だったりどこかが常に痛かったりして、一年中苦しい思いをしている人も大勢います。多分その苦しみは、その辺のパチンコしか趣味がない低能サラリーマンの何万倍です。

モラルを守らない人は怒鳴られて恥をかかされます。ここでは女性も強いので、列に並ばない人間を怒ります。嫌がらせされたら男性を殴ることもあります。知能のある人なら法律を使って戦います。女性は男性のベビーシッターではありません。仕事が大変だから、精神的に辛いのよね、と中年のやぐされサラリーマンを赤子の様にあやす理由は一ミリもないのです。フワフワのスカートや、人為的に染めた髪の毛や、ジェルネイルよりも、モラルのない人間を徹底的にやりこめることが女子力です。

大きな顔をしている男性は何かに似ています。それは日本のブラック企業と同じです。ブラック企業の経営者は報復されないからやりたい放題なのです。モラルを逸脱しても何の制裁も受けません。声を上げて非難する人達も多くはありません。

ブラック企業が蔓延する理由も、ベビーカーで外出する親の肩身が狭いのも、根本的な原因は同じなのです。私達を苦しめているのは、結局、怒る勇気も正義感もない自分なのです。

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。