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メーカー化するリテール

2014.10.30

Updated by Satoshi Watanabe on October 30, 2014, 21:28 pm JST

スーパーコンビニからドラッグストアなどのリテール分野で、メーカー化の動きが着実な流れとして強まっている。分かりやすくはPB(プライベートブランド)ラインナップの増加であるが、これは、大手コンビニチェーンの店に入ると一目で分かるようにここ何年もの動きとして進んできたものである。
ざっと店内を見回しても、
・おにぎりお弁当など
・パン類
・ベーシックなおやつからデザート
・紙パックからペットボトルまでベーシックな飲料
あたりについては、どこも軒並み。その他調味料から生活雑貨、冷凍食品などチェーンによって進捗度合いや手を伸ばしている分野が多少異なれども基本的な動きとしては共通している。
PBというのはNB(ナショナルブランド)がある前提で、「ナショナルブランドにあるような付加価値ワンポイント機能はないですが、ベーシックなところは押さえていて値段的にはぐっと押さえてるからお得ですよ」というのが基本的なポジションとなる。
いや、そうだった、というのがもはや正しくなってきている。
最大手のセブンイレブンの動きが分かりやすいが、セブンゴールドシリーズに代表される、ワンランク上のプレミアムゾーンを各商品群で揃え始めている。
消費者の反応を見ていても、好みはもちろんあれども大手メーカーの基幹商品に勝るとも劣らない、場合によってはそれ以上の評価を受けている商品が多数ある。
単にラインナップ強化を進めるのではなく、プロダクトレベルでのブランド強化を意識しているのが分かりやすいのがファンケルと共同で進めている化粧品カテゴリーへの本格参入である。
化粧品分野は、ちふれやDHCなど、コストバランスの良さを売りにしたブランドが既にあるため、PB的な攻め方がこれまで無かった訳ではない。また、業態的にはSPCになるが、無印良品の化粧品関係のラインナップも類似のポジションにあると考えてよい。
■ 市場/ユーザー理解と企画能力を軸に
メーカーと流通の業界間競走として捉えると、製品付加価値、製品企画力をメーカーと流通間で争っていることになる。つまり、製造技術、生産能力側に強みを持つメーカーと、チャネル支配力を持ち、ユーザー側に近い流通のどちらが有利に事を運べるかということになるが、日用品に近い分野を中心として流通側の方が上手く立ち回るようになってきている。
テクノロジー的にこの動きを解釈すると、POSからビッグデータに競争ルールが変化して、との語られ方が業界的な定番フレーズとして良くされるが、それだけで説明しようとするのはやや弱く見える。
全ての商品分野でそう、というのではないが、SPC業態の伸びも見るとユーザーに近いところで製品企画を行いチャネル展開に適切に反映させているところが上手く回せている。書店や家電など、企画生産から流通までが産業側の事由でデッドロックしてしまっているところは調子の悪いケースを見つけやすい。
流通とメーカーという区分けで物事を考える、産業構造を考えることそのものがもしかすると、そろそろ古くなってるのかもしれない、というのがこのところ考えていることである。

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渡辺 聡(わたなべ・さとし)

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任助教。神戸大学法学部(行政学・法社会学専攻)卒。NECソフトを経てインターネットビジネスの世界へ。独立後、個人事務所を設立を経て、08年にクロサカタツヤ氏と共同で株式会社企(くわだて)を設立。大手事業会社からインターネット企業までの事業戦略、経営の立て直し、テクノロジー課題の解決、マーケティング全般の見直しなど幅広くコンサルティングサービスを提供している。主な著書・監修に『マーケティング2.0』『アルファブロガー』(ともに翔泳社)など多数。

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