2020年末のモバイルは95億加入へ、トラフィックの増加率は減少傾向に--エリクソンレポート
2014.12.05
Updated by Naohisa Iwamoto on December 5, 2014, 20:45 pm JST
2014.12.05
Updated by Naohisa Iwamoto on December 5, 2014, 20:45 pm JST
エリクソン・ジャパンは2014年12月5日、報道機関向けの説明会を開催し、エリクソンが作成した「エリクソン・モビリティレポート」(2014年11月発行)について解説した。それによると、2020年までにモバイル加入者数は95億に達し、そのうち35億契約がLTE、61億契約がスマートフォンになると予測している。
説明会に登壇したエリクソン・ジャパン チーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO)の藤岡雅宣氏は、「2020年の95億加入のうち、モバイルブロードバンドの加入数は90%に達し、2014年時点では27億のスマートフォン加入は、2016年に過半数に達し、2020年には61億契約に達する。通信方式では、2014年の71億加入の過半数をGSM/EDGEが占めているが、2020年にはW-CDMA/HSPAが主流となり、LTEも35億に達する。2020年には5G(第5世代移動体通信方式)も少しだけ利用が始まっているだろう」と解説した。
▼方式別に見た2020年までのモバイル加入
M2Mの広がりについては、2014年末のセルラー無線アクセスによるM2Mが約2億3000万加入と推定。現状のM2Mのトラフィックデータ量は全体の0.1%で、GSM契約が80%を占めると見る。これが2020年にはセルラー無線アクセスを利用したM2Mだけで8億加入へと増加。2018年には50%が3G/4Gへ移行すると予測する。藤岡氏は「3GPPではリリース12でM2M対応のLTE端末として上り/下りとも1Mbpsのカテゴリー0を規定した。リリース13ではさらにパワーや信号量を減らした規格を作成している。こうした取り組みにより、2020年には3GよりもLTEを使ったM2Mの方が多くなっているのではないか」と今後の見通しを述べた。
世界のモバイルトラフィック量は、2013年第3四半期から2014年第3四半期の伸びが60%に達した。今後の推定では、2014年から2020年に世界のモバイルトラフィック量が8倍の増加を見せるという。「昨年、2013年から2019年のトラフィック量の伸びは10倍と予想していた。トラフィックは伸び続けるものの、"伸び率"は低下する傾向にあることが見えてきた。スマートフォン化が一巡したことが一因と考えられる。年々2倍とも予測されていたトラフィック量の増加には至らないのではないか」(藤岡氏)。
アプリケーションごとのトラフィックの内訳を見ると、2014年にはビデオのトラフィックが約45%であるのに対して、2020年には55%以上にまで伸びると予測する。ビデオのトラフィックそのものは、この期間に10倍に伸びるという。このほか比率が高まると見られるアプリケーションは「SNS」と「暗号化」。藤岡氏は「暗号化は、OTTプレーヤーなどが暗号化してやり取りしているデータトラフィックで、内容がわからない。今後はこうした暗号化されたトラフィックが増える可能性がある」と説明する。
▼アプリケーションごとで見ると「ビデオ」の伸びが大きい
2014年時点のデータトラフィックへのアクセス手段を国別に調べた結果も紹介した。セルラー無線アクセスのトラフィックとWi-Fiのトラフィックの比率を調べたもので、英国ではモバイルトラフィックの81%がWi-Fi、韓国で77%、米国で74%であるのに対して、日本はWi-Fiが65%と突出して低い。「Wi-Fiが混雑していることからWi-Fiをオフにしているユーザーが多いこと、これまで定額制プランでセルラーが利用できたことなどから、Wi-Fiの利用が進んでいない」と藤岡氏は分析する。
もう1つ面白い分析があった。それはモバイルブロードバンドユーザーの接続性向上とそれに対して料金上乗せを許容できるかについての調査結果である。料金の上乗せを許容するとした回答は、「屋外での接続性の向上」よりも「屋内での接続性の向上」が得られる場合に多かった。世界中でこの傾向は変わらず、モバイル機器といえども「人間は屋内にいる時間が約85%と長いため、屋内での接続性向上を進めることがユーザーの体感を高めることがわかった。通信事業者は屋内での接続性向上をないがしろにしてはいけない」(藤岡氏)と語った。
▼モビリティ・レポートの解説をするエリクソン・ジャパン CTOの藤岡氏
【報道発表資料】
・エリクソン・モビリティレポート:2020年までに90%が携帯電話を所有
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