[2014年第50週]「au VoLTE」サービス開始、「UQ mobile」も2GBで980円から、「03」で通話できるスマホ
2014.12.16
Updated by Naohisa Iwamoto on December 16, 2014, 11:30 am JST
2014.12.16
Updated by Naohisa Iwamoto on December 16, 2014, 11:30 am JST
KDDIの「au VoLTE」が、対応端末を発売した12月12日に同時に始まった。ソフトバンクモバイルも、12月13日に予約受付を開始した「AQUOS CRYSTAL X」の発売と同時にVoLTEを開始するとアナウンス。ついに3キャリアがそろってVoLTEサービスを提供することになる。いわゆる格安SIMのニュースの勢いが師走になっても衰えない。この週はKDDIバリューイネイブラーによる「UQ mobile」の開始、日本通信の「03スマホ」、そしてキヤノンマーケティングジャパンの法人向けサービス参入が相次いだ。
▼「isai VL(イサイ ブイエル)」と「URBANO (アルバーノ)」
KDDIは12月12日に、新サービス「au VoLTE」に対応し、LTEのキャリアアグリゲーションやWiMAX 2+も利用できるスマートフォン「isai VL」(LG Electronics製)、「URBANO」(京セラ製)を発売した。これらの両機種の発売とともに、au VoLTEのサービスを開始した。au VoLTEは、高音質な通話が可能なだけでなく、画面や位置、カメラ画像などをお互いに共有できる「シンクコール」の機能を備え、新しい通話体験を提供する(報道発表資料:LTEの最新技術が全部入りのauオリジナルスマートフォン「isai VL(イサイ ブイエル)」と「URBANO (アルバーノ)」の発売について)。
au VoLTEの提供にともない、電波改善ツールとして提供している宅内用小型基地局の「auフェムトセル」に、au VoLTE対応の「auフェムトセル(VoLTE)」を追加した。auフェムトセルは、自宅の固定回線に接続してスマートフォンなどの通話エリアを形成する装置。au VoLTE対応のスマートフォンは既存の3G方式の通信に対応しておらず、新しいVoLTE対応のフェムトセルが必要になる(報道発表資料:VoLTEに対応した宅内用小型基地局「auフェムトセル (VoLTE)」の提供開始について)。
一方、ソフトバンクモバイルは、「VoLTE」(Voice over LTE)による音声通話サービスを「AQUOS CRYSTAL X」の発売に合わせて開始すると発表した。「SoftBank 4G LTE」(FDD-LTE)のエリアで提供する。「VoLTE」サービスにより、高音質なHD Voice対応の音声通話が可能になるほか、発着信の時間短縮、通話中に高速データ通信が可能になるといった特徴を備える。ソフトバンクモバイルでは、VoLTEに加えて、従来型の3Gの音声通話でも高音質な通話ができる「HD Voice(3G)」の提供を開始する。VoLTEおよびHD Voice(3G)に対応するAQUOS CRYSTAL Xは、12月13日に予約受付を開始する。発売日は明らかにしていない。また、発売済みの「AQUOS CRYSTAL」も2014年12月以降のソフトウエア後進でVoLTEとHD Voice(3G)に対応する計画だ(関連記事:ソフトバンク、12月13日予約開始の「AQUOS CRYSTAL X」発売に合わせて「VoLTE」サービスを開始)。
NTTドコモは他社に先駆けて6月24日にVoLTEのサービスを開始している。KDDIがVoLTEサービス開始し、ソフトバンクモバイルも提供まで秒読みになってきたことで、一気に国内の音声通信もVoLTE時代に以降しそうだ。
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いわゆる格安SIMの世界が、毎週のように新しい動きを見せている。KDDIのネットワークを使ったMVNOを支援するKDDIバリューイネイブラーは、auの4G LTEに対応したMVNOサービス「UQ mobile」を2014年12月18日に開始し、家電量販店などでパッケージを販売する。
料金プランは4種類。下り最大150Mbpsの高速データ通信が月間2GBまでできる「データ高速プラン」(月額980円)、「データ高速+音声通話プラン」(月額1680円)、送受信ともに300kbps(キャンペーン期間は500kbps)に限られるが使い放題にできる「データ無制限プラン」(月額1980円)、「データ無制限+音声通話プラン」(月額2680円)だ。いずれもテザリング、SMSの機能が標準でサポートされている。SIM単体のほか、セットで提供するスマートフォンとして「KC-01」(京セラ製)と「LG G3 Beat」(LG Electronics製)も用意する(関連記事:KDDI子会社、au 4G LTE対応のMVNOサービス「UQ mobile」を開始、2GB月額980円から)
日本通信は、東京23区の市外局番である「03」から始まる電話番号を使いながら、スマートフォンとして全国どこにいても発着信ができるサービス「03スマホ」の提供を開始した。24回割賦の端末代を含み月額3980円(税別、以下同)で提供する。通話料金は1分20円で、月額料金に1200円分の無料通話が含まれる。同社は「03スマホ」を固定電話網と携帯網の融合(FMC:Fixed Mobile Convergence)の戦略の第一ステップと位置付けている。先行販売は「03スマホ G2 mini 3GBプラン」の名称で提供し、スマートフォン端末としては「LG G2 mini」を採用する。限定1000台で、12月13日に受付を開始、12月17日から順次出荷する(関連記事:日本通信、「03」で発着信できる「03スマホ」サービスを開始、第1弾は端末代込み月額3980円で提供)。
法人向けのMVNOでも新しい動きがあった。キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)の法人市場に向けたLTEデータ通信SIMの参入だ。モバイルデータ通信サービスの拡充により、モバイルソリューションビジネスの拡大につなげたい考えという。インターネットイニシアティブ(IIJ)をMVNE(Mobile Virtual Network Enabler)として協業し、NTTドコモのLTE回線を利用した通信サービスを提供する。今後はWi-Fiルーターやパソコン、スマートフォン、タブレットにSIMを組み込んだセットモデルの展開も計画する(関連記事:キヤノンMJ、IIJをMVNEにした法人向けLTEデータ通信サービスを提供開始)。
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このほか、この週のおもなトピックをピックアップする。メリテックは、同社の無線ネットワーク測定ツール「Sigma-ML」に、NECが開発した通信速度推定技術を搭載した「Sigma-ML スループット推定機能」を開発した。「Sigma-ML」は、携帯電話ネットワーク基地局の品質を測定するAndroidスマートフォン向けのアプリである。これまで、Sigma-MLを使った通信速度測定には大容量データの転送が必要で、測定のために大きな通信負荷がかかり、時間も必要だった。今回、NECが開発した通信速度推定技術を使うことで、従来の180分の1という少ないデータの転送をするだけで、通信速度を1秒以内に推定できる。この技術を搭載した「Sigma-ML スループット推定機能」を使用すると、通信速度測定のスピードアップやネットワーク負荷軽減が見込める(報道発表資料:NECの速度推定技術を搭載した『Sigma-ML スループット推定機能』を開発)。
NTTドコモは、対面型翻訳サービス「はなして翻訳-Jspeak」のキャリアフリー化を行った。はなして翻訳-Jspeakは、スマートフォンやタブレットで日本語と外国語の間の会話を可能にするサービス。日本語と、英語や中国語など10カ国語都の間での翻訳を行う。キャリアフリー対応により、ドコモの回線契約がない日本国内のスマートフォン利用者もサービスを使えるようになり、外国語によるコミュニケーションを楽しめる。料金は1週間利用プラン(100円)と月額利用プラン(300円)の2種類を用意する(報道発表資料:「はなして翻訳-Jspeak」のキャリアフリー対応について)。
ソフトバンクモバイルは、7インチディスプレイを搭載したLTE対応Androidタブレット「GALAXY Tab4」(サムスン電子製)を12月19日に発売する。ソフトバンクモバイルとして一般向けのAndroidタブレットを販売するのは初めてのこと。GALAXY Tab4は7インチのWXGA(1280×800ドット)液晶をディスプレイに採用した小型のタブレット。9.2mmの薄さ、278gの軽量さで、片手でも十分使用できるコンパクトサイズに仕立てた。通信はソフトバンクの4G LTEに対応する(関連記事:ソフトバンク、同社の一般向け初のAndroidタブレット「GALAXY Tab4」を発売)。
最後に、スマートフォンのセキュリティーに対する意識調査を紹介する。MMD研究所が実施した調査で、スマートフォンに対する不安としては「故障」が50.3%で最多、次いで「ウィルス感染」が46.5%、「不安は感じない」は16.9%だった。スマートフォンのセキュリティー対策として実施しているのは、「パスワードや指紋認証などによる画面ロックの設定」が46.2%と半数近くで、「無料セキュリティアプリのインストール」は22.6%と回答者の4分の1以下にとどまった。セキュリティー対策を講じていない理由は「対策方法が分からないから」と「対策の必要性を感じないから」がそれぞれ4割前後を占めた(報道発表資料:スマートフォンのセキュリティ対策、「パスワードや指紋認証などによる画面ロックの設定」は46.2% 「無料セキュリティアプリのインストール」は22.6%)。
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登録はこちら日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。