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劣悪な労働環境が続くアップルの中国下請工場など - 英BBCが潜入レポート

2014.12.19

Updated by WirelessWire News編集部 on December 19, 2014, 13:48 pm JST

中国にあるアップル(Apple)製品の組み立て工場などの実態を取材したBBCのドキュメンタリーが英国時間18日に放映され、過度の長時間労働や未成年者の就労など、アップルが公約してきている規準とはかけ離れた就労実態が続いているなどと報じられた。これに対し、アップルからは同番組の結論には同意できないなどとする反論のコメントが出されているという。


(BBC「Apple's Broken Promises」)

BBCが放映した「Apple's Broken Promises」というドキュメンタリー(「Panorama」という番組のなかで放映)は、ペガトロン(Pegatron)上海工場の実態を調査したもので、BBCではこの取材調査のために身元を隠したレポーターを従業員として送り込んだという。そして、この調査の結果この工場では、規準を超える長労働時間や、IDカードの没収、たこ部屋同然の宿舎など、アップルが下請け会社に遵守を求めているさまざまな項目についてルール違反がみられたという。さらに、実際に18日連続勤務を強いられたり、最長で1日16時間の連続シフトを経験したレポーターの声や、12人が1室を共有する宿舎で暮らしたという報告などのほか、12時間シフトの休憩中に居眠りをする従業員の姿を撮した映像なども盛り込まれている。

アップルの下請け工場における労働環境の問題は同社製品の人気が高まった2000年代後半から表面化することが多くなり、一時は従業員の相次ぐ自殺や条件改善を求める従業員の騒乱などが大きな話題にもなっていた。これに対し、アップル側では一昨年はじめにトップ就任から間もないティム・クック(Tim Cook)CEOが自らフォクスコン(Foxconn)の工場に足を運ぶなど、この問題の解決に真剣に取り組む姿勢を示していた。またそれと前後して、第三者機関による監査の実施や進捗報告書の公表なども開始していた。

今回のBBC報道に対し、アップルからは「われわれほど公正で安全な労働環境の確立を目指している企業はほかにないと認識している」「われわれはサプライヤー各社と協力しながら至らない部分を正しており、また継続的に大きな改善を実現してきているが、それでもこの取り組みに終わりはないことは承知している」などとするコメントが出されているという。

これとは別に、BBCでは、アップルのサプライチェーンに含まれるインドネシアのスズ鉱山の実態についてもレポートしている。これによると、取材した鉱山のなかにはたとえば砂や泥の壁が崩れ、生き埋めになる可能性もあるような危険な場所で、12歳の子供が素手で鉱石を掘り出すといった例もあったという。

アップルはこの報道に関し、問題とされたバンガ(Bangka)という地域の鉱山では数多くの仲介業者が鉱石の取引に介在するなど事情が複雑としつつ、「自社が批判を避けるために手を引くことは簡単だが、そうすることでこの問題が根本的に改善するわけではない」「自社が関わりながら変化をもたらしていくという決断を下した」などとしているという。

なお、2012年はじめには「This American Way」と歴史のある米ラジオ番組で、マイク・デイジー(Mike Daisey)というアーティストなどに取材したアップルの中国下請け工場の実態に関するレポートが流され、その内容が大きな波紋を呼んでいたが、後にこの話がデイジーのねつ造であることが明らかになり、放送局側が撤回を余儀なくされたという出来事もあった。

【参照情報】
Apple 'failing to protect Chinese factory workers' - BBC
Apple supplier accused of violating worker protections - The Verge
Apple 'failing to protect Chinese factory workers,' claims report - ZDNet
サプライヤー責任 - 労働者の権利と人権 - アップル

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