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ウィキメディア財団、米NSAを提訴 - 監視プログラムの中止を要求

2015.03.11

Updated by WirelessWire News編集部 on March 11, 2015, 13:58 pm JST

「Wikipedia」を運営する米ウィキメディア財団(Wikimedia Foundation)が現地時間10日、米国家安全保障局(NSA)と米司法省(DOJ)を相手取り、NSAによる広範な監視プログラムの中止を求める訴えを起こしたという。

ウィキメディア財団は、今回の提訴の目的について、世界中のWikipediaユーザーの権利を守るためにNSAによる監視プログラムを中止に追い込むこととしている。また同訴訟には、米自由人権協会(American Civil Liberties Union、ACLU)など8つの組織も原告側に加わっているという。

ウィキメディア財団が今回の訴訟で問題としている点のひとつは、NSAが2008年に制定された外国情報監視法(Foreign Intelligence Surveillance Act、FISA)を利用して、インターネットのバックボーン部分に対する監視活動を行っているという点。FISAでは「非米国市民("non-U.S. persons")」が関わる通信の収集が「対外的な諜報に関する情報("foreign intelligence information")」の場合に限って認められているが、この対象の定義が曖昧であることや、NSAによる監視活動の実態がFAAで認められた範疇を大きく逸脱していること、さらにNSAの監視行為が言論や集会の自由を保障した米憲法修正第1条や、不合理な捜索や押収に対する安全の保障を定めた同修正第4条を侵害しているともウィキメディア側では主張している。

今回の提訴について、「 Wikipedia」創始者のジミー・ウェールズ(Jimmy Wales)氏とウィキメディア財団幹部のリラ・トレチコヴ(Lila Tretikov)氏は、NYTimesに掲載した寄稿記事のなかで、2011年の「アラブの春」の際にCIAがエジプト政府とつながるスパイ組織と情報共有を行っていた例を挙げながら、こうした行為がWikipedia投稿者に記事の公開・編集を躊躇させる懸念材料にもなり得るなどと指摘している。

【参照情報】
Wikimedia v. NSA: Wikimedia Foundation files suit against NSA to challenge upstream mass surveillance - Wikimedia
Stop Spying on Wikipedia Users - NYTimes
Wikipedia is suing the NSA over mass internet surveillance - The Verge

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