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南アフリカのVodacom:m-pesa モバイルウォレットの利用範囲を拡大

2015.03.10

Updated by Hitoshi Sato on March 10, 2015, 20:43 pm JST

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ジェムアルトは2015年1月21日、南アフリカの通信事業者VodacomがジェムアルトのプリペイドEMVカードを導入することを発表した。本カードは、Vodacomのm-pesaモバイルウォレットサービスを補完するもので、さらに主要な国際決済スキームの認定を受けており、南アフリカ国内のEMV対応決済端末24万台およびATM27,000台以上で利用可能となる。これにより、南アフリカの大手通信事業者であるVodacomのサービスの利用範囲は大幅に拡大される。

ジェムアルトが提供するVodacom向けの既製ソリューションでは、カードのデザイン・生産、自動パッケージング、販売拠点への配送を網羅している。本カードはm-pesaのアカウントにシームレスに連携し、利用者は現金を持ち歩く必要がなく商品やサービスの支払いを自由に行うことができるようになる。

プリペイド市場での成功には効率的な流通ネットワークが必須であるため、m-pesaカードは南アフリカ国内の8,000のVodacom取次店から直接入手可能である。またVodacomのセキュアなシステムへの登録は迅速かつ容易に行えるようになる。

利用者はモバイルウォレットアプリを用いて現在の残高を確認でき、残高が少なくなるとSMS(ショートメッセージ)で通知が届く。さらに、PINで保護されたバーチャル口座であるため、カードの紛失・盗難時も利用者の残高は守られる。

南アフリカだけでなくアフリカ諸国ではm-pesaに代表される携帯電話を活用した送金サービスが非常に多く利用されており、人々の日常生活のインフラになっている。従来は携帯電話のSMS(ショートメッセージ)を用いて、送金後に、送金された人はキオスクにお金を受け取りに行っていた。

今後はこのようにカード式のタイプが主流になるかもしれない。たしかに銀行や一般店舗でも利用できるため、利便性も高い。また現金を持ち歩かなくてよいから安全性も高いだろう。さらに治安の良くない南アフリカは窃盗事件が今でも多いが、カードを盗難されても残高が保証されることから安心して利用できる。m-pesaは人々の日常生活のインフラになっている。今回のサービス拡充によって、従来の現金のやり取りだけから、カードを用いての決済によって人々の生活も大きく変わる可能性がある。

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(出典:ジェムアルト)

Vodacomのm-コマース担当常務執行役員を務めるHerman Singhは、次のように述べている。
「当社はジェムアルトに利便性の高いフルパッケージソリューションを提供していただきました。当社では、m-pesaモバイルウォレットサービスを銀行カードに拡大することで、全く新しい機能を追加することができ、これが南アフリカにおけるm-pesaの成功に極めて重要であると考えています。」

ジェムアルト・アフリカの上席副社長であるThierry Mesnardは、次のように述べている。

「本プロジェクトにより、Vodacomはどこでも利用可能なEMVバンキングカードの大規模な提供に取り組む最初の携帯電話事業者となります。この革新的な展開は、銀行、小売、モバイル通信業界がいかに急速に変化を遂げているかを浮き彫りにしています。ジェムアルトはまさにこの収束型トレンドと技術の中心に位置しており、当社ではさらなる利便性やセキュリティ、幅広い顧客層へのサービスを提供するこの試みを支援することを喜ばしく思います。」

【参考動画】Vodacom m-pesa

【参照情報】
Gemalto prepaid EMV banking cards extend reach of Vodacom m-pesa mobile wallet in South Africa

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。