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海外用レンタルWi-Fiを羽田空港で無人受け取り、グローバルWiFiのIoTサービスを体験

2016.04.26

Updated by Naohisa Iwamoto on 4月 26, 2016, 20:39 pm JST

海外旅行や出張でお世話になることが多い、海外用レンタルWi-Fiルーター。しかし、何かと忙しい出発前に、空港のレンタルサービス事業者のカウンター前で、列に並んで端末を受け取るのはできれば避けたいもの。フライトの時間に余裕がなかったりすると、出発前のカウンターの行列だけ精神的に疲れてしまったりする。

▼羽田空港の国際線ターミナル(京急羽田空港国際線ターミナル駅2階)に設置されたグローバルWiFiの「スマートピックアップ」20160426_global001

海外用Wi-Fiルーターを借りる人が、そうしたストレスから解放されるサービスが、羽田空港国際線ターミナルで始まった。海外用レンタルWi-Fiルーターサービスの「グローバルWiFi」など通信事業を手掛けるビジョンが提供を始めた、スマート受取ボックス「スマートピックアップ」がそれだ。4月25日にリニューアルオープンしたグローバルWiFi羽田空港店で、提供を開始したスマートピックアップを実際に体験することができた。

メールのQRコードをかざすだけの簡単操作

スマートピックアップは、マンションなどで使われる宅配ボックスと同様のロッカーを使って、レンタルする海外用のWi-Fiルーターを無人で受け取れるサービス。モノの動きと情報の動きを連携して管理するIoTソリューションの一種で、エスキュービズム・テクノロジーが開発した「スマート宅配BOX」を利用している。

理屈はさておき、実際にスマートピックアップを体験してみた。体験では、グローバルWiFiに申し込んだとの想定で、筆者には「ロッカー受取手配完了」のメールが届いた。このメールには、スマートピックアップのロッカーの鍵となるQRコードが含まれている。実際にスマートピックアップに申し込んだ場合と同じフォーマットのメールとのことだ。

▼メールに記載されたQRコードをスマートフォン画面に表示20160426_global002

グローバルWiFi羽田空港店は、国際線ターミナルの到着ロビー階(2階)にある。店舗の有人カウンターの右側面の壁に、スマートピックアップのロッカーが配置されている形だ。ロッカーは、同時に2人の利用者が使えるように、「A」と「B」の2つのブロックに分けられている。「A」「B」それぞれ46のロッカーがあり、合計で92のロッカーでサービスが提供できる。

▼「A」「B」の指定にしたがってリーダーにQRコードをかざす20160426_global003

「A」「B」それぞれのロッカーの中央には、QRコードのリーダーが配置されている。利用者は手元に届いた「ロッカー受取手配完了」メールで指示された「A」または「B」のロッカーを選び、QRコードをリーダーにかざすだけ。すると、ロッカーが解錠されて、Wi-Fiルーターを収めたレンタル用のポーチが目の前に現れる。このポーチをそのまま渡航先に連れ出せば、現地でインターネット接続が可能になる。

▼自分宛てのWi-Fiルーターが入ったロッカーの扉が開く20160426_global004

今回は説明を聞きながら、さらに写真を撮影しながらだったので、1分ばかりはかかっただろうか。しかし、操作はQRコードをリーダーにかざすだけなので、スマートピックアップのロッカーの前に立つ際にメールをスマートフォンに表示させておけば、ものの数秒でWi-Fiルーターのピックアップが可能だと思われる。

▼ロッカーから取り出したポーチには、海外用のWi-Fiルーターが入っている20160426_global005

有人カウンターで本人確認や、説明を受けたりしている人の後ろにできた列に並ぶことを思えば、1人あたりの所要時間は大幅に短縮できそうだ。スマートピックアップのロッカーに列ができてしまっても、QRコードをかざして開いたロッカーからWi-Fiルーターを取り出すだけなので回転は早いだろう。ユーザーには、自分が予約したWi-Fiルーターを短時間のうちに的確に手にする新しい価値を提供できる。出発前にWi-Fiルーターを借りるという空港での一手間が、ストレスでなくなると感じた。

混雑時の待ち時間短縮に加えオペレーションの効率化も狙う

ビジョンがこうしたスマートピックアップの仕組みを取り入れたのは、混雑時の利用客のストレス軽減が第一の目的。羽田空港の国際線ターミナルでは、深夜や早朝に出発便が集中するため、有人カウンターでWi-Fiルーターのピックアップを待つ行列ができることも多い。スマートピックアップの導入により無人で短時間にWi-Fiルーターの貸出が完了すれば、顧客満足度の向上につなげられるとの考えだ。

ビジョンとしてのメリットもある。スマートピックアップは無人で稼働するため、店舗オペレーションの効率化につながるのだ。慣れたリピーター客の対応がスマートピックアップで完結すれば、その分の時間を初めてのグローバルWiFi利用者やインバウンド客への国内用ルーターの貸出に割くことができる。

▼有人カウンターのすぐ脇に設置されたスマートピックアップのロッカー。有人のきめ細かい対応と無人のスピーディーな対応を、両立させる配置だ20160426_global006

システムとしては、ビジョンのグローバルWiFiの受付システムと、エスキュービズム・テクノロジーのスマート宅配BOXの管理システムを連携して、スマートピックアップを実現している。グローバルWiFiでスマートピックアップの申し込みがあった時点で、利用日や日数、渡航先、ルーターの種類などの情報がスマート宅配BOXの管理システムに受け渡される。スマート宅配BOXのシステムでは、その時点でロッカーの予約をするとともに、ロッカーの鍵となるQRコードを発行する。これがメールで利用者に届けられる。

一方で、予約のあったWi-Fiルーターをスマートピックアップのロッカーに届けるためのバックヤードの仕組みも同時に動く。渡航先ごとに異なるWi-Fiルーターを、確実に申し込みのあった顧客に届ける必要があるためだ。バックヤードでもQRコードを鍵として利用し、貸し出す商品とQRコードを印刷した伝票をセットにして羽田空港店へ運搬する。QRコードをスマートピックアップのリーダーにかざすとロッカーが開くのは利用者への貸出時と同じ。予約されたロッカーだけが開くので、難しいオペレーションが不要で商品の配送が完了する。

ビジョンでは今後、羽田空港を含む国内の主要6空港へのスマートピックアップの配置を推進するという。実際に体験してみて、海外への出発前のストレスが、これで軽減されるだろうという感触を得ただけに、利用できる空港が広がるのは利用者にとって喜ばしいことになりそう。

一方、宅配ボックスをIoTのデバイスとして使うスマート宅配BOXを提供するエスキュービズム・テクノロジーでも、グローバルWi-Fiのスマートピックアップの事例をきっかけにスマート宅配BOXの利用拡大を狙う。例えば、インバウンド客が全国各地で商品や土産を購入した際に、最終的な出発空港のスマート宅配BOXに商品や土産を届けておき、スマートフォンに表示させたQRコードをかざすだけで手軽にピックアップできるようなサービスが想定できるという。利用者にはIoTやバックヤードのシステムを意識させないで、バーチャルな世界の情報とリアルな世界の物流などを組み合わせるIoTソリューションの1つの形が、羽田空港の一角から具体化してきているようだ。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。

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