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ワイヤレスゲートとFONが提携、Wi-Fiスポット収益化への取り組み発表

2015.03.19

Updated by Asako Itagaki on March 19, 2015, 17:53 pm JST

ワイヤレスゲートは、コミュニティWi-Fi「FON」を運営するFon Wireless Ltd.(以下FON)と、その日本法人株式会社フォン・ジャパンと、日本のWi-Fiインフラ拡充に向けた取り組みを開始する。また、Wi-Fiスポット収益化の取り組みとして、移動販売車向けプラットフォーム「M-Store Platform」にFONルーターを活用した移動販売者向けのWi-Fi環境構築支援を提供する。

▼Wi-Fiスポットを核に経済活動を創出する
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FONルーター購入で世界1,400万カ所のWi-Fiスポットが無料利用可能に

201503191700-fon.jpg3月19日より、ヨドバシカメラにて、FONルーター「Fonera mini」(写真)の販売を開始する。自宅にFonera miniを設置したワイヤレスゲート会員は、ワイヤレスゲートが提供する国内約40,000カ所のWi-Fiスポットに加え、FON会員としてFONが保有する世界1,400万カ所以上の「FON」Wi-Fiスポットも無料で利用できるようになる。

また、2020年の東京オリンピックを見据え、訪日外国人などが多く訪れる観光地などにもFON Wi-Fiルーター活用によるWi-Fiエリア拡充を行う。現在日本国内にあるFON Wi-Fiスポットは約100万カ所だが、これを2020年までにさらに20万カ所増やすことを目指す。

訪日外国人にブランド訴求力のある「FON」

FONは「自宅のWi-Fiスポットを互いにシェアすることでどこでもWi-Fiが無料で利用できるというシェアリングモデルに特化したWi-Fiオペレーターで、1,400万カ所を超えるWi-Fiスポットを保有する。

2012年のロンドンオリンピックでは英国の大手通信事業者であるブリティッシュテレコムと提携して、オリンピック会場周辺のWi-Fi環境を整備した実績を持ち、2016年のリオデジャネイロオリンピックでもブラジルの通信事業者Oiと提携してWi-Fi環境整備の構想を持つ。「FONはWi-Fiの国際ブランドとして優位性があり、訪日外国人の方に安心して使えるWi-Fiとして利用していただきたいと考えています」(株式会社ワイヤレスマーケティング・ラボ 代表取締役 原田実氏)と述べた。

移動店舗のために「水・電気・Wi-Fi」を提供

また、Wi-Fiスポット収益化の取り組みとして、株式会社アンデコが展開する移動販売者向けプラットフォーム「M-Store Platform」にFonera miniを活用して移動販売車のWi-Fi環境構築をサポートする。M-Store Platformはキッチンカーなどを活用した移動販売者に水と電気をワンストップで提供するソリューション。これにFonera miniを加えることで、販売者は顧客向けに付加価値としてのWi-Fiサービス提供や、スタッフによるWi-Fi利用が可能となる。

▼3月14日~18日に仙台市で開催された防災産業展で展示されたM-Store Platform。赤いユニットから電気、青いユニットから水が供給され、コーヒーがふるまわれた。
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また、キッチンカーやカートなどのIoT化が可能となる。M-Store Platformの設置場所開拓やWi-Fiインフラ管理・運用は、株式会社バディネットと共同で手掛ける。ワイヤレスゲートは、この取り組みを飲食や物販などのスモールビジネスをサポートする「ロケーションコマース・アライアンス」として推進する。

法人向けサービスでWi-Fiスポット収益化とビッグデータ活用に取り組む

201503191700-3.jpg説明会では、ワイヤレスゲートの池田武弘代表取締役CEOから、今後のワイヤレスゲートの取り組みの方向性についても説明があった。

同社はこれまでデータヘビーな個人ユーザー向けにWi-Fi、WiMAX、LTEなどさまざまな技術を使って快適な通信をMVNOモデルで提供することにより事業拡大を図ってきた。今後は従来の総合MVNOとしての事業に加えて、これまでに培った通信ネットワークを効率的に運用するための知見を活かし、サービスを法人向けに拡張する意向である。

▼事業領域のマッピング
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本日の発表については、FONとの提携によるWi-Fiスポット数増加については「日本ではWi-Fiスポットがあまりない、もしくはあったとしても使いにくいので、この問題を解決するためにFONとの提携は大きな力になる」と期待を寄せた。また、「Wi-Fiスポットがインターネットへの接続だけでなくリアルビジネスのプラットフォーム化することで、地方創生などの課題解決に寄与すると考える。アンデコとの協業によるリアルコマース向けWi-Fiインフラ事業についてはその一つであり、M2MやIoTについても今後拡大すると考えている」と述べた。

Wi-Fiスポットの収益化の取り組みとしては、ビッグデータの活用も視野にいれる。既に銀座や秋葉原で提供しているWi-Fi環境を通して、人の動きや滞留などの行動を分析するマーケティングデータを提供しており、今後はM-Store Platformに設置したルーターから得られる「人の流れ」関連のデータを収集解析することでビッグデータ活用に取り組む。

【関連サイト】
株式会社ワイヤレスゲート
フォン・ジャパン

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。