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Weekly Report: Week 18-19 2015

[2015年第18〜19週]KDDIが「ダブル定額」などの新規受付終了、ドコモとソフトバンクがIoTでコンソーシアム

Weekly Report: Week 18-19 2015

2015.05.11

Updated by Naohisa Iwamoto on May 11, 2015, 11:30 am JST

大型連休を挟んだ2週間にも、国内では様々なニュースが飛び込んできた。KDDIは新料金プランへのシフトを進め、既存のプラン・サービスの新規受付を順次終了する。TSUTAYAでスマートフォン販売を展開するトーンモバイルの新製品、サービスが発表された。ドコモとソフトバンクが、IoT機器向けのインタフェース技術のコンソーシアムを共同で設立し、普及活動や機能検討を進めるというニュースもあった。

KDDIも新料金プランにシフト、トーンモバイル発進

まずKDDIの料金プラン・サービスの改廃のニュースから。KDDIは、2014年8月13日に提供を開始した新料金プラン「カケホとデジラ」の普及に伴い利用が減少傾向にある既存の料金プラン・サービスを改廃する。2015年7月から順次、新規受付を停止するなどの改廃を始める。新規受付を終了する主な料金プランは、auケータイ、3Gスマートフォン向けの「シンプルコース用プラン」各種や、「フルサポートコース用プラン」各種。データ定額サービスでは、auケータイ、3Gスマートフォン向けの「ダブル定額」「ダブル定額ライト」「パケット割WINスーパー」「パケット割WINミドル」などがある。新規の受付は終了するが、すでにプランやサービスを利用中のユーザーは引き続き利用が可能だ(報道発表資料:料金プラン・サービス等の改廃について)。

フリービットとTSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)などの合弁会社のトーンモバイルは、同社ブランドのスマートフォン「TONE」の提供を5月5日に開始した。

トーンモバイルのスマホ「TONE」、TSUTAYAで5月5日から販売

トーンモバイルが提供するのは、Tのスマホ「TONE」。ハードウエアの基本仕様は従来フリービットが提供していた「PandA」と同等だが、ファームウエアのアップデートなどによりサービスや機能を向上させた。CCCグループとの連携により、基本プランの月額料金にTポイントが付与されるほか、CD、DVDの無料レンタルなどの特典を用意した(関連記事:トーンモバイルのスマホ「TONE」、TSUTAYAで5月5日から販売)。

今後の技術に向けてコンソーシアム設立や国際的なライセンス契約

NTTドコモとソフトバンクモバイルは、「デバイスWebAPIコンソーシアム」を設立した。コンソーシアムでは、複数のウエアラブル機器やIoT機器を一元的に操作するスマートフォンアプリおよびWebアプリの開発を容易するインタフェース技術「GotAPI」の普及活動や機能検討を行う。

ドコモ、ソフトバンクなど、GotAPI普及に向けコンソーシアム設立

「GotAPI」は、ドコモが開発した「デバイスコネクトWebAPI」をベースに国際標準化団体OMA(Open Mobile Alliance)で標準化されたインタフェース技術。コンソーシアムには4月30日時点で携帯電話事業者、機器メーカー、サービス提供会社等、計27社が参加。今後も幅広く機器メーカーやサービス提供会社などへ参加を呼び掛ける(関連記事:ドコモ、ソフトバンクなど、GotAPI普及に向けコンソーシアム設立)。

国立研究開発法人情報通信研究機構(以下NICT)とフィリピン科学技術省情報通信技術局(以下ICTO)は、NICTが開発したTV放送帯ホワイトスペースの有効利用に必要な周波数管理データベース「ホワイトスペースデータベース」をICTOが利用するためのライセンス契約を締結した。

フィリピン政府、公共施設の無線Wi-Fi導入プロジェクトにNICTのホワイトスペースデータベース技術を採用

ICTOは、フィリピン全域の公共スペースなどで無料Wi-Fiによるインターネット接続のインフラ整備(Free Wi-Fiプロジェクト)を計画しており、その中でNICTが開発したホワイトスペースデータベースを活用する(関連記事:フィリピン政府、公共施設の無線Wi-Fi導入プロジェクトにNICTのホワイトスペースデータベース技術を採用)。

提携で広がるサービス、コミュニケーション、ヘルスケアからスマートハウスまで

提携によってサービスの拡大や質の向上を目指す動きも相次いだ。日本郵政グループ、米IBM、米アップルの3社は、日本の高齢者向けサービスで提携した。サービスは端末としてiPadを使い、Facetime、メッセージ、メール、写真、iCloudなどのアップル標準のアプリで遠隔地にいる家族とのコミュニケーションを支援する。また、IBMグローバル・ビジネス・サービスが開発した専用アプリで、薬を飲む時間や運動、ダイエットのお知らせや、コミュニティ活動、食料雑貨の買い物支援、就業支援などの各種サービスを提供する。日本郵政は、2015年度下半期から同社の「みまもりサービス」と連携して実証実験を行い、2020年までに国内の400万人から500万人規模の利用者への提供を目指す(関連記事:日本郵政グループがIBM、アップルとiPadを使った高齢者支援事業で提携)。

NTTドコモとルネサンスは、ヘルスケアサービスに向けた業務提携に合意した。ドコモの身体・健康に関するデータを管理・活用するプラットフォーム事業と、ルネサンスのフィットネスクラブを連携したサービスを提供する。業務提携により、フィットネスクラブの施設などで行う運動のデータと、モバイルやウエアラブル機器による日常生活の活動記録を連携させて、利用者の健康状態を日々のデータから把握できるようになる。このデータを基にして、インストラクターや管理栄養士が利用者ごとに運動や健康へのアドバイスを行える(関連記事:ドコモとルネサンスが協業、日常の活動とフィットネスクラブの運動を一元管理)。

ソフトバンクは、家電量販店最大手のヤマダ電機と業務資本提携を行う。資本業務提携により、両社の連携をこれまで以上に強固でスピーディーにすることが狙い。具体的には、ヤマダ電機の店舗網を活用した移動通信サービスや携帯電話、アクセサリーなどの販売力の強化と、スマートハウスなど新市場の創造を目的とする(関連記事:ソフトバンクがヤマダ電機と提携、通信サービスから住宅事業まで広くシナジー目指す)。

ドコモのサービスが「d」に統一、UQ WiMAXは1000万契約

このほか、この2週間のトピックを紹介する。NTTドコモは、ドコモのサービスブランドの名称を「d」を冠したわかりやすい名称に統一すると発表した。今回、名称を変更するのはポイントの「ドコモポイント」、会員プログラムの「ドコモプレミアクラブ」、クレジットサービスの「DCMX」、顧客IDの「docomo ID」。それぞれ「dポイント」「dポイントクラブ」「dカード」「dアカウント」となり、わかりやすさが増す。「中期目標に向けた新たな取り組み」のパートナー戦略に対応した施策だ(関連記事:ドコモ、「+d」展開に伴い、ポイントや会員などの名称を「d」に統一)。

UQコミュニケーションズは、既存のWiMAX機器を利用しているユーザーに向けて、WiMAX 2+への機種変更を促すキャンペーン「ギガヤバ移住計画」の一環として、割引料金の提供を開始した。通常は月額4380円かかるが、対象者は月額3696円で2年間WiMAX 2+を利用できる。割引料金の提供と同時に公開した同社代表取締役社長 野坂章雄氏の動画では、「9月末までにキャリアアグリゲーションによる220Mbpsの全国エリア化を完成させる予定」とした(関連記事:UQがWiMAX 2+に割引料金、9月末のCA 220Mbps全国エリア化に向け移行促進)。

そのUQコミュニケーションズは、UQ WiMAXサービスの累計契約数が2015年4月30日に1000万件を突破したと発表した。2009年に開業し、モバイルルーターなどの需要で契約を伸ばしてきたが、2014年5月以降はKDDIのauスマートフォンにWiMAX 2+が搭載されたことで、契約数を大きく伸ばすことにつながった(報道発表資料:UQ WiMAXサービスの累計契約数が1,000万件を突破)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。