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端末は着る時代

Gaget is meant to be worn

2015.06.17

Updated by Eri Hosokawa on 6月 17, 2015, 12:37 pm JST

Google Glassの発表から‘ウェアラブル’という言葉が世間一般に浸透したものの、顕在化しないマーケットに加えて、デザイン性の欠落が市場人気の低迷に繋がっている。要は見た目がオタクすぎるのだ。大手テック企業のインテル(Intel)やサムスン(Samsung)はファッションブランドとのコラボでデザイン改革を試みたものの、身につけることを促すに至らなかった。

ウェアラブルは本来、服を着るような感覚で身につけられるべきものだ。しかし、デザインを改良したところで端末は端末に過ぎないのであれば、デザイン改革に時間を費やす意味はあるのだろうか。そんな途方もないことを考えるきっかけとなったのが、デバイスがデザインの一部となるTシャツを展開するTシャツ専門ブランドinink(以下、インインク)だ。

インインクのコンセプトは“Tシャツを遊ぶ”。スマホや音楽再生プレーヤーを入れられるクリアポケットがついた「ポケット遊びシリーズ」をはじめ、反射板を使ってデザインに光を取り入れた「反射遊びシリーズ」、ウレタン樹脂をつかった立体的なデザインの「液体遊びシリーズ」などを展開している。‘端末を着る’という大げさな響きとは正反対に、デザインのシンプルさに好感が持てる。

「ウェアラブルというキーワードを意識したことはなかったけれど、ある意味ウェアラブルかもしれませんね」と、ポケット遊びシリーズについて語るブランド設立者兼デザイナーの井上薫氏。カバンを持たず、あらゆるものをジーンズのポケットに突っ込むことで、ポケットに穴があいてしまう。そんな問題意識からポケット遊びシリーズが生まれたのだという。

ウェアラブル端末が世間一般に定着しないのも、誰しもが共感できる問題意識を持てていないことが要因なのではないだろうか。行動は問題意識からしか生まれない。ただ‘便利’というだけではユーザーは納得しないのだ。服を着ると同時に端末も着られる「お得感」こそ、ユーザーが‘ウェアラブル’に求める重要な要素なのかもしれない。

最後に「ウェアラブル端末のデザインはどうあるべきか?」と聞いてみた。井上氏は「レトロでアナログなデザインのほうが好きなので、今のウィアラブル端末は僕にとっては未来チックすぎます。端末だと分からないほど、アナログなデザインのウェアラブルが出たら欲しいです。コンピューターも'木製'のものが欲しいです」と、共感できる答えが返ってきた。木製のコンピューターという響きに、なぜか無性に惹かれた。

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細川 依里(ほそかわ・えり)

1986年大阪府大阪市生まれ。映画「天使にラブソングを2」をきっかけに外国に憧れを抱き、15歳で渡米。高校はユタ州、大学はカリフォルニア州立大学にてグラフィックデザインを専攻。在学中にはフリーマガジンのインターンシップを経験。帰国後、女性ファション誌に編集者として携わる。趣味:ファッション、旅行、映画鑑賞。