INTEROPで「あなたの声は男です」と判定されてみた

"I am a woman with a man voice." As of today, it is official

2015.06.29

Updated by Yoshiko Kano on 6月 29, 2015, 13:30 pm JST

interop2015_voice1

「あ、解析結果でましたね。23.2%ーー」
「普通、女性だと60%以上が出るんでしたっけ?」
「そうですね、30%以下はだいたい男性なのでーー」

・・・というわけで、INTEROP TOKYO 2015で男声認定されてきました、かのうです。

話者の声の「女らしさ」をデータ解析、結果をパーセンテージで表示することにより、その声が客観的に「女らしいかどうか」判定できるプログラミングを、東京大学 峯松研究室ブースがプレゼンしていました。

以前、声のトーンの高低とヒロイン像を対比させた『ヒロインの新旧対決、決め手は「高い声」vs「低い声」!?』という記事を書きました。ここでは「ヒロイン」という女性像の変化が、声の高さで表されているという実例を挙げたのですが、今回の命題はそこから更に広いところ『女/男らしい声って、なに?』というところに据えられているわけですね。

この判定機では、日本人大学生18人が、111名分の音声データを聴取し、「これは女らしいと感じる」「これは男でしょ」とプロットした音声データを元に、『女声度スコア』を作成。それを元に、話者の音声ファイルを判定するという方法をとっているそうです。判定には「声色」「音高」の2つの点に着目し、このふたつの判定を統合することで、女声度を推定しているそうです。

この判定機で、万年低音スピーカーのかのうは晴れて(?)男声認定されました。が、実質はおそらくヴィオラがC線だけ使って喋ってるようなものなので、『男声らしいか』と問われると、厳密には「不足」のいたすところ、と思わざるを得ません。とはいえ、幼少期より電話口で男声に間違えられた事案は数限りなし、不便も被ってきた実績がありますので、判定機としては充分機能していると言えるでしょう。

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*東京大学 峯松研究室より資料提供

この『女声度推定機』を、生活の中で必要としている人たちが居ます。体の性と心の性が一致せず、男性から女性への性別移行を望んでいる方々にとって、身体の女性化が進んでも自動的に女声化してくれない「声」はちょっとくせ者。これをどう「自然」に聞こえるようにするか、という時に、こういう客観的判断ツールを利用しながら「女声化訓練」するのが有効とのこと。

例えばチェロやホルン。こういう低音域が魅力の楽器で高音を出すことは結構技術が必要です。またキレイに出すことができても「ああ高い楽器が出してるんじゃ無くて、低い楽器が頑張って(?)出してるんだな」というような音色になります(それが魅力でわざわざ作曲家が音を書いたりもするのですが)。これが「音高」だけに着目した状態。

「声色」に着目するということは、「音色」も変化させようということです。そもそもチェロだったものを、ヴィオラのような音色にする、かなり頑張ってヴァイオリンのような音色にする、ということ。これはもう、全く違う楽器にする、ということに他ならないわけですから、「エイやッ」という何かが必要なのは想像に難くないわけです。

実際に女声化訓練を受けた方から、目の前で「男声→女声」のbefore/afterを聴かせて頂きましたが、訓練されると自然に聞こえるモノなんだなと思うと同時に、コレは結構難しそうだという印象でした。具体的に言えば、声帯ではなく声道に着目するということになりますが、これを使うにはかなり喉の器官を意識的に動かさなければ出来なさそうです。

この峯松研究室では、こちらの技術を用いたアプリ開発とメンテナンスのパートナーとなってくれる企業さんを募集しているとのこと。社会福祉としてはもちろんですが、声というメディアが与える影響を可視化してくれるこの研究、今後も楽しみにウォッチしたいと思います。

※記事冒頭写真は、INTEROP2015ブースで行っていた「女声度推定機」デモ解析結果画面。

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かのうよしこ

青山学院大学史学科、東京藝術大学声楽科、京都造形芸術大学ランドスケープデザインコースを卒業。京都造形芸術大学大学院芸術環境専攻(日本庭園分野)修士課程修了。通信キャリアにてカスタマサービス対応並びにコンテンツ企画等の業務に従事、音楽業界にてウェブメディア立ち上げやバックヤードシステム開発、コンサート制作会社での勤務を経て、現在はフリーのヴォーカリスト、ヴォイストレーナー、エディター、ライター。
http://kanoppi.jp

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