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自動走行ビジネス検討会の中間とりまとめ報告書公表 戦略的協調領域を定めオールジャパンで競争力強化を目指す

Quality assurance in Japanese car industry

2015.06.24

Updated by Asako Itagaki on 6月 24, 2015, 22:34 pm JST

経済産業省と国土交通省は、2015年2月に設置した「自動走行ビジネス検討会」の中間とりまとめ報告書を公表した。現状のままでは日本メーカー・サプライヤーの競争力は低下するとの懸念を示し、事態の打開のために「戦略的協調領域」を定めてオールジャパンで取り組む意向が明らかとなった。

取りまとめでは現状認識として、我が国の自動車メーカー・サプライヤーは早くから自動走行関連技術に取り組み、自動ブレーキシステムや電動パワーステアリングなどの装置において市場をリードしたが、現在は自動走行技術に不可欠なセンサーや「センシング」、「機能安全」、「セキュリティ」、「ネットワーク」といった自動走行の実現において核となる要素技術のIPについては欧州のサプライヤーが優位でありグローバルに実績を積んでいること、また欧州のサプライヤーと緊密に連携した欧州の自動車メーカーにより、自動走行分野においても2000年代後半にはシェアを逆転されたことが示された。その原因としては、欧州のプレイヤーが、マーケティングニーズの先取りや標準化への取り組みにより自らの技術をルールづくりに反映することで競争力を高めてきたことが挙げられている。将来はマイコンをはじめとするさまざまな技術に欧州標準が反映され、さらなる競争力の低下が懸念されている。

こうした状況を打開するための課題として、自動走行の実現に必要な技術を「協調領域」と「競争領域」に戦略的に切り分け、関連業界で共有することが合理的な技術と、大きなブレークスルーが必要な分野については、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)等とも連携しながらテーマを具体化していくことが必要であるとしている。具体的には、「セキュリティ」「機能安全」「人間の研究」「認識・学習アルゴリズム」「試験方法」「基盤データベース」の6分野が協調領域として挙げられている。

▼内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)における「協調領域」(報告書P14より引用)201506-car-1

切り分けの前提となる自動走行の将来像の検討の重要性についても指摘された。2020年頃までの姿については業界である程度共有されているが、2020年以降については各社の見解は様々であり、社会的コンセンサスを取りつつ欧米で進行中のプロジェクトを参考にしながら関係者が強調して新たな事業モデルを模索することが重要であるとして、検討会の下に我が国として自動走行で実現すべき価値やそれを具現化するアプリケーションについて検討を行うためのワーキンググループを設置することが示された。実現すべき価値としては、「安全・安心」「環境・エネルギー」「労働力不足」「自動車利用環境の向上」が、また、それらを具体化するアプリケーションについては「デッドマンシステム」、「トラック隊列走行」、「ラストワンマイル自動走行」、「自動駐車」などが例示されているが、それ以外の価値やアプリケーションも含めて、できるところから検討の対象とする。検討にあたってはIT業界との連携の視点も考慮にいれる。

▼安全運転支援システム・自動走行システムの定義とロードマップ(報告書P15より引用)201506-car-2

▼自動走行の具体的な価値やアプリケーション例(報告書P27より引用)201506-car-3
また、産学連携の促進を目的として、大学・研究機関に期待される機能やそれを実現するための人材や設備のあるべき姿について、大学・研究機関と産業界の対話の場を検討会の下ワーキング・グループとして設置する他、ルール(基準、標準)づくりへの戦略的な取り組みを実現するため、基準・標準横断的な情報共有や戦略検討を行う仕組みについて、経済産業省と国土交通省が共同で、基準・標準の関係機関と連携しながら年内を目処に検討を行う。

 

【発表資料】

「自動走行ビジネス検討会中間とりまとめ報告書」を公表します(経済産業省)

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集長。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2013年春、長年住んだ中目黒を離れて、世界一高い電波塔の近所で下町生活を満喫中。

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