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2015年第28週

[2015年第28週]次世代通信やIoTで国際的な業務提携、LTEを使うIPトランシーバー

Weekly Report: Week 28 2015

2015.07.14

Updated by Naohisa Iwamoto on July 14, 2015, 12:52 pm JST

大手キャリアによる国際的な業務提携のニュースが続いた。ソフトバンクはファーウェイ、ZTEと次世代移動通信に共同開発を、NTTドコモはGEとIoTソリューションの提供で、それぞれ業務提携を行う。ハードウエアでは、KDDIが法人向けのIPトランシーバー端末にLTE対応モデルを投入することをアナウンスしている。

ソフトバンクはファーウェイ、ZTEと、ドコモはGEと提携

業務提携の話題から確認していこう。ソフトバンクとWireless City Planning(WCP)は、ファーウエイジャパン(華為技術日本)およびZTEジャパンの両社と、次世代移動通信の共同研究開発を進める。「5G」よりも近く実現する4.5Gの技術開発となる見込み。共同研究開発では、数多くのアンテナ素子を集めて高速データ通信を実現する「Massive MIMO」や、周波数利用効率を高めるための技術などを主な対象とする(関連記事:ソフトバンク、ファーウェイおよびZTEと次世代移動通信技術を共同で研究開発)。

GEエナジー・ジャパン(GE)とNTTドコモ(ドコモ)は、IoTソリューションの提供について業務提携に向けた覚書を締結した。業務提携では、GEの産業機器向けワイヤレスルーター「MDS-Orbitプラットフォーム」(Orbit)と、ドコモの通信モジュールを連携させたIoTソリューション提携する。両社の業務提携により、道路や橋梁、プラント、電機・ガス・水道などのインフラ設備を持つ民間企業、自治体は端末から回線、クラウドプラットフォームを含めたIoTソリューションをパッケージとして利用できるようになる(関連記事:GEとドコモがIoT分野で業務提携、端末からクラウドまでパッケージ化して提供)。

LTE対応の業務用無線端末を提供へ、ドコモがSIMロックの条件変更

端末関連のニュースもあった。KDDIは、一斉通報など業務用途に向けた通信機器として、LTE対応の製品を投入する。IPトランシーバー「IP500H」、IP無線機「IP-T10」で、アイコムおよびインフォメーションタスクフォースを通じて9月から提供する。両機種は無線免許が不要で通信が可能で、LTEに対応することで800MHz帯のプラチナバンドの場合は人口カバー率99%超のエリアを確保できる(報道発表資料:国内初! LTEに対応したIPトランシーバーおよびIP無線機を提供開始)。

ソフトバンクはY!mobileブランドで、5.5インチのフルHD液晶を搭載した狭額縁のスマートフォン「AQUOS CRYSTAL Y」(シャープ製)の販売を開始した。ワンセグ、おサイフケータイに対応するほか、シーンに応じてスマートフォンが話しかけてくる「エモパー」を搭載する。ハードウエアとしては、2014年12月にSoftBankブランドで提供している「AQUOS CRYSTAL X」と同等で、これをY!mobileのより安い料金体系でも利用できるようにした(報道発表資料:Y!mobile、「AQUOS CRYSTAL Y」を本日より販売開始)。

SIMロックが使いやすくなるか。NTTドコモは、SIMロック解除の受付条件を一部変更し、7月13日から適用を始めた。「新規機種の購入日」から6カ月間は一律でSIMロック解除ができなかった従来の条件に対して、条件の変更によって「前回のSIMロック解除」から6カ月が経過すればSIMロック解除できるようになる(関連記事:SIMロック解除がしやすく、ドコモが条件を一部変更)。

アロマディフューザーもビーコン対応、富士山山頂の訪日客向けWi-Fi

そのほか、この1週間のトピックを見ていこう。欧州大手アロマディフューザーブランドの「Naeo」が、アロマディフューザーにアプリックスIPホールディングスの「お知らせビーコン」を搭載する。両社は、お知らせビーコンの利用でエッセンシャルオイルなどの拡販につなげ、レベニューシェアする契約を締結した。お知らせビーコンを搭載したアロマディフューザーのユーザーは、スマートフォンのタイマーと連動してアロマの香りで目覚めたり、スケジュール帳と連動して香りで客を迎えたりするといったことが可能になる(報道発表資料:欧州大手アロマディフューザーブランドが当社ビーコン製品「お知らせビーコン」を採用 )。

KDDIとワイヤ・アンド・ワイヤレス(以下、Wi2)は、富士山山頂、および御殿場口新五合目 で、訪日外国人観光客が無償で利用可能な公衆Wi-Fiサービスを7月10日から順次提供を開始した。新サービスは「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」に対応しているため、アプリをダウンロードして利用規約に同意した訪日外国人観光客は、自動的にWi-Fiに接続して通信が可能になる。富士山山頂などでの訪日外国人向けのWi-Fiサービスは、NTTドコモもこの7月10日提供を始めている(報道発表資料:富士山で訪日外国人向け無償Wi-Fiを提供!)。

キングソフトは、名刺認識・管理アプリ「CAMCARD」(キャムカード)の無料版である「CAMCARD Lite」を、名刺登録枚数無制限で提供を開始した。CAMCARD LiteはCAMCARDの無料版で、これまでは登録枚数の上限を200枚に制限していた。7月9日以降は、ユーザー登録を行ってログインしたユーザーに対しては、名刺登録枚数の上限を廃止する(関連記事:キングソフト、無料版の名刺管理アプリ「CAMCARD Lite」で登録枚数の制限を廃止)。

NTTドコモは、試用期間として無料で提供中の「あんしんナンバーチェック」を2015年7月15日に正式版として、月額使用料200円で提供する。McAfeeの検知技術とトビラシステムズのデータベースを活用して、不審な電話番号からの着信を危険度別に4つの色にわけて画面表示する。設定により、警告ではなく着信拒否することも可能だ(報道発表資料:「あんしんナンバーチェック」を提供開始)。

最後に、シニア世代の携帯電話端末利用状況の調査結果を紹介する。MMD研究所は、60歳以上のいわゆる「シニア世代」の携帯電話端末の利用状況を調査した結果を発表した。シニア世代のスマートフォン所有率は27.8%で、スマートフォン利用者が切り替えの決め手としたのは「インターネット機能」「画面の大きさ」だということが明らかになった。一方、フィーチャーフォンを利用していると回答したシニア世代の中では、58.8%が4年以上にわたり同じ携帯電話端末を利用していた(関連記事:シニア世代、ネット機能や画面の大きさがスマホ購入の決め手--MMD研究所)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。