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マイナンバー制度の認知度は上昇するが期待は低下、内閣府が世論調査結果を公表

2015.09.04

Updated by Asako Itagaki on September 4, 2015, 08:57 am JST

9月3日にマイナンバー法(正式名称:行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)の改正案が成立した。同日、内閣府は「マイナンバー(社会保障・税番号)制度に関する世論調査」を公表した。調査は2015年7月23日から8月2日にかけて実施したもので、マイナンバー制度の認知度や懸念点、期待などについて聞いている。

マイナンバー制度の認知については「内容まで知っていた」が43.5%(2015年1月調査では28.3%)、「内容までは知らなかったが、言葉は聞いたことがある」が46.8%(同43.0%)、「知らなかった」が9.8%(同28.6%)となっており、1月調査時点に比べて認知、理解度が上昇している。

マイナンバー制度に関する懸念として「最も不安に思うこと」としては、「マイナンバーや個人情報の不正利用により被害にあうおそれがあること」が38.0%(同32.3%)と最も多くなった。懸念事項があると回答した人に対してどのような対応が必要だとおもうかという問いに対しては、「社会保障と税などに関する記録など個人情報を、いつ、誰が、なぜ見たのかを確認できる仕組み」が43.1%(同43.7%)、「政府から独立した強い権限を持つ第三者機関による監視」が43.0%(同49.8%)などとなっている。

2016年1月から発行が始まる個人番号カードについては、メリットの認知度について調べたが、メリットについては「知っていたことはない」が41.3%、「わからない」が3.4%と45%近くが認識していない。現時点において「個人番号カードの取得を希望する」人は24.3%、「希望しない」人は25.8%に対し、「現時点では未定」「わからない」とする人が合計49.9%と半数に達している。

マイナンバー制度に対する期待としては、「社会保障、税、災害対策に関する行政事務で添付書類が減るなど手続きが簡単になる」が38.7%(2015年1月調査では51.4%)、「個人番号カード1枚で健康保険証など複数の機能をもたせることができるようになる」が32.9%(同38.2%)、「社会保障の不正受給や税の不正還付を防ぐことができるようになる」が27.5%(同33.0%)などとなっている。期待する項目がいずれも減少しているが、一方で「特に期待することはない」という回答が前回調査の23.3%から31.2%に増加している。

2015年1月の調査と比較すると、「マイナンバー制度」についての認知度は上がっているものの、国民生活に対する具体的なメリットの認知や期待はむしろ下がっている。また、同時に運用が開始される法人番号については、「知らなかった」が76.4%とまだまだ認知されていない。

改正マイナンバー法は、マイナンバー制度の利用範囲を金融や医療の分野に広げることを目的としており、金融機関に対して個人の預金情報をマイナンバーで検索できるように管理することを義務付ける。また、法律に基づく予防接種履歴の管理やメタボ検診などの特定健康診査の結果などをマイナンバーとひもづけることで、市区町村や健康保険組合が情報を共有できるようにする。ただし年金に関しては、日本年金機構の個人情報漏洩事件を受け、同機構がマイナンバーを扱う時期を当初案の2015年1月から最大で1年5ヶ月、マイナンバー制度と基礎年金番号をひもづける時期を2017年1月から最大11ヶ月遅らせる。また、一体審査されていた改正個人情報保護法も同時に可決されている。

 

【参照情報】
「マイナンバー(社会保障・税番号)制度に関する世論調査」の概要(平成27年9月3日、内閣府)

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。

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