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ツィッター(Twitter)の共同創業者で現在は暫定CEOを務めるジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏が、同社の正式なCEOとして任命されたことが米国時間5日に明らかになった。同氏はやはり自らが立ち上げたモバイル決済関連のベンチャー、スクウェア(Square)との「CEO兼務」になるという。

ユーザー数の伸び悩みなどを指摘され、投資家筋からの風当たりが強まっていたツィッターでは、同社の株式上場を成功させたディック・コストロ(Dick Costolo)氏が7月はじめにCEOの座を退き、これを受けて同社取締役会は後継CEO探しのための委員会を設けて候補者の選定を進めていた。また中継ぎの経営責任者には、過去にCEOを務めた経験もある共同創業者のドーシー氏が暫定CEOとして就任していた。候補者選定委員会では一時「次のCEOには専任者を」などとして、正式なCEOへの就任に意欲を示していたドーシー氏のCEO兼務を認めない可能性も示唆していたが、暫定CEO就任以降にドーシー氏が示した経営手腕を評価し、結局同氏に経営の舵取りを任せることにしたという。

またドーシー氏の正式CEO任命と合わせて、これまで営業面の責任者を務めてきたアダム・ベイン(Adam Bain)氏のCOO昇格や、コストロ氏の取締役辞任も発表されている。さらに、ドーシー氏のCEO就任に伴って空席となる会長の後任探しの作業が進んでいることなども発表されている。

いっぽう、ドーシー氏が一時ツイッターを離れていた時期に立ち上げたスクウェアでは、7月下旬に株式公開の申請を米証券取引委員会(SEC)に行っていたことが報じられていた。このことから、ドーシー氏はさっそくツイッターの経営テコ入れならびにスクウェアの株式上場というふたつの大きな課題に直面することになる。

NYTimesによると、ツィッターは今年第2四半期の月間ユーザー数が約3億1600万人で、フェイスブック(Facebook)をはじめとする他のソーシャルメディアやメッセージサービスから大きく水を明けられている。また例えば外部開発者との関係修復やサービスのデザインの変更、ツィートと連動する購買ボタンの導入など、これまでさまざまな施策が講じてきているが、いずれも決定的な打開策には至っていない。また最近ではドーシー氏主導で、同サービスの特徴である140字の文字数制限を取り除く案も検討されていることなども報じられているが、これらの施策の効果についてもまだ未知数といった状況だ。

そのいっぽうで、暫定CEOとしてツィッターに復帰したドーシー氏が以前とは大きく経営方法を改めたことから、ツィッターでは有能な人材の定着率が高まっているといった話も、発表の前日に公開されていたRe/codeでは報じられている。また同記事によると、スクウェアではCFOのサラ・フライア氏(Sarah Friar、元ゴールドマン・サックス)、営業責任者のフランソワーズ・ブロウアー氏(Francoise Brougher、元グーグル)、製品開発・エンジニアリング責任者のアリッサ・ヘンリー氏(Alyssa Henry、元アマゾンAWS)という3人の幹部への大幅な権限移譲が進んでおり、ドーシー氏が日常業務に関与しなくても支障を来さない状態ができあがっているという。その点を踏まえてRe/codeでは、スクウェアで株式公開後の経営が順調に推移するようであれば、ドーシー氏がCEOの座をいずれかの幹部に譲り、ツィッターの業務に軸足をシフトさせる可能性も充分に考えられるなどと指摘している。

【参照情報】
Twitter Names Jack Dorsey Chief Executive - NYTimes
Twitter Names Co-Founder Jack Dorsey CEO - WSJ
Twitter Names Dorsey Permanent CEO, to Remain CEO of Square - Bloomberg
Twitter names Jack Dorsey as permanent CEO - The Verge
Three Questions for Square Now That Jack Dorsey Is Officially Working Part Time - Re/code
Why Jack Dorsey Is Ready to Save Twitter - Re/code

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