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グーグル(Google)が米国時間7日、モバイル端末でのウェブページの表示高速化を目指す新たな取り組み「Accelerated Mobile Pages(AMP)Project」を発表。また、これを可能にする「AMP HTML」というフレームワークをオープンソースとして公開することを明らかにした。

AMPの取り組みは、動画やアニメーション、グラフィックなどのリッチコンテンツや広告を含むウェプページを瞬間的に表示することをねらいとするもの。グーグルにでは、プラットフォームの違いに関係なく、携帯電話やタブレットなどさまざまなモバイル端末でコンテンツの高速表示を実現したい考えだという。

「AMP HTML」はウェブサイトの軽量版を作るためのフレームワークとされ、グーグルでは今後「Google News」などの自社サービスに「AMP HTML」を導入していく考えだという。またツイッター(Twitter)、ピンタレスト(Pinterest)、ワードプレス(WordPress.com)、ガーディアン(The Guardian)、ワシントンポスト(The Washington Post)、バズフィード(BuzzFeed)、ボックスメディア(Vox Media)、朝日新聞、毎日新聞など約30の媒体やサービスがAMP HTMLを導入予定であることも明らかにされている。

ウェブページの表示高速化をねらった取り組みとしては、フェイスブック(Facebook)が今年前半に開始した「Instant Articles」がある。またアップル(Apple)でも新たに発表した「Apple News」で同様の取り組みを進める考えとされている。いずれのアプローチもモバイル端末アプリを前提とするもので、またパブリッシャーにとってはそれぞれ専用のフォーマットを用いる必要もあることなどから、ユーザーの囲い込みやオープンなウェブの分断化を危惧する声なども一部にみられる。

ウェブ・コンテンツへのアクセスの主流がスマートフォン経由のものへとシフトするなか、アップルが9月にリリースした「iOS 9」で外部開発者による「Safari」ブラウザ用アドブロッカーの配布を認めたことをきっかけに、広告やビーコンといったコンテンツ以外の要素が原因で生じる「ページ表示速度の遅さ」に対する関心が改めて高まっている。またグーグルはいまだにウェブページに表示する広告からの売上に収入の大半を依存しているため、モバイル端末でのユーザーの「ブラウザ離れ」は同社の経営の根幹に大きな影響を及ぼす可能性がある。

Googleのブログによると、AMPの仕組みは、外部媒体で公開されたウェブページをグーグルのクラウドにいったんキャシュしてユーザーが高速で見られるようにするというもの。同社ではこのキャッシュサーバーを公開し、だれでも無料で使えるようにしていく考えと記している。また広告については「AMP HTMLはいずれのアドネットワーク(の配信する広告)にも対応する」とされているが、「ユーザー経験を損なわない限りにおいて」という但し書きもみられ、具体的にどんな広告商品がこの規準に抵触するかなどに関する詳しい説明は見当たらない。

【参照情報】
Introducing the Accelerated Mobile Pages Project, for a faster, open mobile web - Google
Google Unveils “AMP” — Its Answer to Facebook’s Instant Articles - Re/code
Google has a new plan to speed up the mobile web - The Verge

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