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CEATEC2015で垣間見た未来

CEATEC2015

2015.10.10

Updated by Ryo Shimizu on 10月 10, 2015, 14:20 pm JST

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先日、千葉市美浜区の幕張メッセで開催されたITと家電の見本市、CEATEC(シーテック)で講演する用事があって参加してきました。

今年は東芝、ソニー、日立が不参加を表明するなどの動きがあり、いまひとつ盛り上がりに欠けると言われるCEATECですが、なかなかどうして、大手メーカーの出展が減った分、見どころも多くなったイベントになったと思います。

筆者が訪れたのは最終日である金曜日の午前中。
だいたいめぼしい展示はネット上のニュースでチェック済みだったので効率的に回ることが出来ました。

まず、大きな話題をさらったのは、Seven Dreamersによる世界初、洗濯物を「たたんで収納する」機械の展示です。

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同社によると、画像認識技術とロボティクス技術を応用して洗濯物を適切にたたむことができるのだとか。
生涯のなかで洗濯物をたたむのに費やす時間は9000時間で、これは375日ぶんに相当するのだとか。

そういう話を聞くと、筆者などは脊椎反射的に「え、意外と短くない?」と思うのですが、別の考え方をすると、洗濯物を折りたたむ作業が自動化されれば、その人の寿命が一年伸びたのと同じわけです。

筆者のようなやもめ暮らしは、そもそも洗濯物を畳むという行為そのものが贅沢というか、全自動洗濯機に服をワッと投入して一気に洗って、そのまま取り出して切る、くらいのズボラな人間なのですが、やはり細かいこともキチッとしたいA型人間の多い我が国においては、自動折り畳み機能付き洗濯機というのは一定層の需要があるのだろうなと思うわけです。

どうも機械がとても大きいようなので、当初は民生用というよりも、業務用として発展していくのかもしれませんが、「時代はついにここまで来たか」となかなか感動的な気分になりました。

部屋を片付けてくれる「ホンモノのお掃除ロボット」まであと一歩といったところでしょうか。

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名実ともに世界ナンバーワンのドローンメーカーであるDJIが最新機種を展示する傍ら、iPhone向けのジンバルといった細かい製品まで出してきたことに驚いた業界関係者も多かったようです。

実は映像制作の現場では、DJI製のジンバルというかスタビライザーはけっこう前から使われているらしく、筆者の関わった映像制作の現場でも、使われているのを何度か見たことがあります。

それがiPhone向けになったことで一気に市民権を得ることになると、これは放送用クオリティのものが個人レベルに還元されるということで、かなり侮れない内容なのではないかと思います。

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もうひとつ、印象的だったのは、NHKの技本がシャープと共同研究しているHDR再生可能な8Kテレビに目を引かれる一方、その隣の中国の液晶バネルメーカーであるBOEの10Kディスプレイの展示は大いに驚きました。

ウェディングドレスのメッシュの網目まで解像するという精緻さで、ここまで来るとさすがに高精細テレビが欲しくなって来ました。

ただ、当然、家に10Kテレビがあったとしても、10K映像を作るためのカメラ、編集機器、放送機器、配信規格といったワークフローを解決しなければならないので実際にこうした高精細ディスプレイが一般家庭に入り込んでくるまでにはあと何年も掛かるでしょう。

ディスプレイ技術といえば、シャープのブースに展示されていたFFD(Free Form Dispaly)が印象的でした。円形や台形といった、従来の液晶ではあまり使われてこなかった形状のディスプレイが実現されることで、これまでのディスプレイの概念を突き崩すような商品展開が考えられます。

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円形液晶は、Android Wearなどで既に実用化されていますが、より様々な場面で液晶パネルを使っていけるのではないかという期待感が高まる展示でした。

一部、高級自動車のダッシュボードなどには液晶パネルが採用されるのがトレンドになってきましたが、これが一気に身近になってくるかもしれません。

また、スマートフォンも今は矩形のデザインが一般的ですが、もっと自由な形状になっていくのかもしれません。

今年の展示の中で特に目立ったのはロボット関連の技術です。
先に紹介したSeven Dreamersによる洗濯物自動折り畳みロボット、DJIのドローンはもちろんのこと、OMRONは卓球ロボットを展示。

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中々の腕前でした。

さらに、村田製作所ブースでは、村田製作所チアリーディング部の特設ステージを用意してステージショウを行っていました。

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これは村田製作所のジャイロセンサーと、超音波センサーなどを駆使して団体行動をとるという極めて高度なロボットです。あまりに高度なことがあまりに簡単にやられているので技術に明るくない人にはいまいち凄さが伝わりにくいのがやや辛いところですが、会場の一番端という不利な立地にも関らず、毎回盛況を呼んでいました。しかしなんとも勿体無い。

しかし会場で最もインパクトの強いロボットといえば、なんといっても、シャープの「ロボホン」でしょう。

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ロボホンは、ロボットクリエイターの高橋智隆氏によるロボット技術と、シャープの携帯電話技術を融合して開発されたロボット型携帯電話で、実物も意外と小さく、これは個人的には絶対買おうと思う逸品に仕上がっていました。

そもそも、高橋さんの作品らしく、非常に顔も立ち姿も可愛いらしく、まるで手塚治虫作品に出てくるような愛らしさとハイテク感の両方を持っています。村田製作所チアリーディング部が、どちらかというと松本零士的なロボットデザインになっていることを考えると、親しみやすさの点ではロボホンは非常に好バランスではないかと思います。

そしてロボホンに搭載されている機能は、人型ロボットとしての基本機能(起き上がる、歩行する、ダンスする)を抑えつつ、さらにカメラによる記念撮影や、内蔵されたピコプロジェクターによる画像の投影、そして背中にタッチスクリーンを内蔵しただけ、というシンプルな構成です。

しかしこれらの機能をフルに連携させ、「そうそう、こういうのでいいんだよ」という必要十分な機能を満たしているのでとりあえず「触ってみたい」「持ち歩いてみたい」と思わせることに成功しているのではないかと思います。

ロボホンをスーツの胸ポケットに入れたり、電話したりという絵そのものはかなり面白いし、さすがに真似するかどうかは微妙ですが、ロボホンを机の上に置いたハンズフリー通話や、記念撮影の機能などは単純に楽しそう、とワクワクさせられました。

ロボホンの発売は来年らしいのですが、なかなか発売を待ちきれない期待の商品です。
一体価格はいくらになるのか?キャリアはソフトバンクなのか?まだ謎は多いのですが、デモンストレーションとしては上々の滑り出しだったのではないでしょうか。

ソフトバンクのロボットといえばペッパーですが、ペッパーがやはり巨大すぎるのと使いこなすのが難しすぎていまいちギークの玩具、という段階をなかなか脱却できないこのタイミングで、実用的な卓上ロボットの投入は「この手があったか」と膝を打つような思いです。

特に凄いのは、冷静に考えると、ロボホンってロボットとしてもそこまで完璧である必要がないわけです。
せいぜい、起き上がる、歩く、ダンスする、手を振る、くらいの機能があれば、卓上のロボットとしては十分で、机の上の障害物を避けたり、机の上から誤って転落したりしても、ロボットとしてはサイズが小さいのでそこまで致命的になりません。また、あんまり賢く見えないのもいい点だと思います。なんでもできそうに見えて実は何も出来ないペッパーと比較すると、そもそも何も出来そうにないという点がロボホンの最大の魅力なのではないかと思います。

これが100万台売れるとかいう世界はなかなか想像しにくいですが、確実に一定層は買う、かつてのW-ZERO3やZaurusのようなスマッシュヒット商品になるのではないかと思います。

一時期存続も危ぶまれていたシャープですが、このタイミングでこういう冒険をしてくるところに日本企業の底力さえ感じました。

というわけで今回のCEATEC、意外と(?)楽しく、期待感の持てるイベントでした。
日本の未来はまだまだ明るいかもしれませんね。

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清水 亮(しみず・りょう)

ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長CEO。1976年新潟県長岡市うまれ。6歳の頃からプログラミングを始め、16歳で3DCGライブラリを開発、以後、リアルタイム3DCG技術者としてのキャリアを歩むが、21歳より米MicrosoftにてDirectXの仕事に携わった後、99年、ドワンゴで携帯電話事業を立上げる。'03年より独立し、現職。'05年独立行政法人IPAより天才プログラマーとして認定される。

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