ラオス

ラオスの携帯電話事情 - 2社がLTEサービスを提供中

Mobile Industry of Laos Vol. 2 - 2 operators providing LTE

2015.10.15

Updated by Kazuteru Tamura on 10月 15, 2015, 19:08 pm JST

ラオス人民民主共和国(以下、ラオス)は国際連合によって後発開発途上国に指定されており、2015年10月の時点で後発開発途上国からの卒業は果たせていない。最貧国と表現されることもあり、経済的に脆弱な国の一つに数えられるが、そんなラオスでも複数の移動体通信事業者がLTEサービスを提供している。また、意外に感じるかもしれないが、LTEサービスの開始は東南アジアで3番目と早かった。今後はWiMAXサービスを提供する移動体通信事業者もLTEサービスを導入する計画であり、今回はラオスにおけるLTEサービスについて紹介する。

ラオスでは2社がLTEサービスを提供中

ラオスにおいて携帯電話サービスを提供している移動体通信事業者はEnterprise of Telecommunications Lao (以下、ETL)、Lao Telecommunications (以下、LTC)、Unitelブランドを展開するStar Telecom (以下、Unitel)、Beelineブランドで展開するVimpelCom Lao (以下、Beeline)の4社であり、そのうち2社がLTEサービスを提供している。LTCがラオスで初めてLTEサービスを開始しており、Unitelが2番目にLTEサービスを開始した。BeelineはLTEネットワークを試験的に運用しているものの商用化には至っておらず、2015年10月の時点ではLTCとUnitelの2社が4GとしてLTEサービスを提供している状況である。

▼ラオスで最初にLTEサービスを開始したLTCの本社ビルにはLTCのロゴと基地局が並んでいる。
ラオスで最初にLTEサービスを開始したLTCの本社ビルにはLTCのロゴと基地局が並んでいる。

最初にLTEサービスを開始したLTC

LTCはラオスで最初にLTEサービスを開始した移動体通信事業者である。サービス開始は2012年10月26日で、当時は東南アジアでLTEサービスを提供する国は少なく、シンガポールとフィリピン、そしてラオスの3ヶ国のみであった。LTCはラオスが東南アジアで2番目にLTEサービスを導入した国とアピールすることもあったが、2ヶ月ほどフィリピンの方が早く、正しくはシンガポール、フィリピン、ラオスの順となるため、ラオスが3番目である。

この時期になった理由としては、ラオスでは首都のビエンチャンで2012年11月上旬にアジア欧州会合(ASEM)第9回首脳会合が開催されており、LTEサービスの開始はこれに合わせた。国際的な催しに合わせて新技術や新サービスを披露する事例は世界的に見て決して珍しいことではなく、LTCによるLTEサービスの開始もその一つと考えて差し支えない。

LTCが早期にLTEサービスを開始したことは、隣国タイの通信関係者に衝撃を与えたと言われている。ちなみにLTCはタイのThaicom傘下でシンガポールを拠点とするShenington Investments (以下、SHEN)とラオス政府による合弁企業で、出資比率はSHENが51%、ラオス政府が49%である。タイ企業の系列企業が筆頭株主の移動体通信事業者がタイよりも先にラオスでLTEサービスを開始することになった。

LTCのLTEサービスの周波数はFDD-LTE方式の1.8GHz (Band 3)を採用している。1.8GHz帯は世界のLTEサービスにおいて最も採用されている周波数であり、使用する端末を調達する上で困ることは特にないだろう。LTCはLTEサービスに対応したデータ通信専用端末の販売も手掛けている。

LTEサービスの開始当初は提供エリアがビエンチャンのみで、基地局数は30局と少なかったが、2014年11月には80局まで増やした。2015年3月にはパクセーを含むチャンパサックに提供エリアを拡大し、ようやくビエンチャン以外でもLTEサービスの利用が可能となった。また、2015年8月にはサバナケットにも提供エリアを拡大している。LTEサービスの開始から2年以上も提供エリアはビエンチャンに限定されていたが、2015年3月には競合のUnitelがLTEサービスを開始する計画を発表しており、それを受けて提供エリアの拡大を急いだ模様である。

ビエンチャンでLTCのLTEサービスを試したところ、屋外ではLTEネットワークに接続されていることが多く、ビエンチャンの屋外に限っては提供エリアで不満を感じることは少ないだろう。ただ、屋内ではLTEサービスを利用できないことも多く、今後の改善に期待したいところである。余談ではあるが、ビエンチャンはタイのノンカイと接しており、ノンカイの一部にはLTCの電波が届くため、ノンカイの一部ではLTCのLTEサービスを利用できた。

なお、LTCはLTEサービスのみならず、HSPA+サービスも4Gと呼んでいる。それぞれ4G LTEや4G HSPA+と使い分けることもあるが、単純に4Gと呼ばれることも少なくないため混同しないよう注意が必要である。

▼LTCの本社に併設されている旗艦店では4G LTEをアピールしている。
LTCの本社に併設されている旗艦店では4G LTEをアピールしている。

▼LTCは中国の華為技術(Huawei Technologies)の通信設備を採用しており、LTCのロゴに加えて華為技術のロゴも確認できる。
LTCは中国の華為技術(Huawei Technologies)の通信設備を採用しており、LTCのロゴに加えて華為技術のロゴも確認できる。

▼LTCのLTEサービスはプリペイドSIMカードで容易に利用可能で、開通が完了すればすぐにLTEネットワークに接続した。
LTCのLTEサービスはプリペイドSIMカードで容易に利用可能で、開通が完了すればすぐにLTEネットワークに接続した。

▼LTCのLTEネットワークに接続した状態で通信速度を測定してみた。
LTCのLTEネットワークに接続した状態で通信速度を測定してみた。

ラオスで2番目にLTEサービスを開始したUnitel

LTCによるLTEサービスの開始から2年以上も遅れて、2015年5月下旬にUnitelがLTEサービスを4Gとして開始した。当初は2015年4月中にLTEサービスを開始する計画を明らかにしていたが、予定より少し遅れての開始となった。

サービス開始は遅くなったものの、Unitelは提供エリアで優位性を確保することで、巻き返しを図っている。2015年10月時点におけるLTEサービスの提供エリアはLTCがビエンチャン、チャンパサック、サバナケットの3都市に対して、Unitelはビエンチャン、チャンパサック、サバナケット、ルアンパバーンの4都市となっている。

周波数はLTCと同じくFDD-LTE方式の1.8GHz帯を採用している。LTEサービスを開始したことに伴って、LTEサービスに対応したデータ通信専用端末の販売も開始している。

▼Unitelの本社そばに位置する旗艦店。
Unitelの本社そばに位置する旗艦店。

▼UnitelはLTEサービスの開始前から4Gをアピールしていた。
UnitelはLTEサービスの開始前から4Gをアピールしていた。

ラオスで初めてLTEネットワークを構築したBeeline

2015年10月時点でLTEの商用サービスを提供していないBeelineだが、LTCがサービスを開始するよりも早い2012年4月にはラオスでLTEネットワークのデモンストレーションを披露し、ラオスで最初にLTEネットワークを構築したことをアピールしていた。

2015年4月にビエンチャンを訪問した際はBeelineの本社付近に限定してLTEネットワークを運用していることが確認できた。FDD-LTE方式の1.8GHz帯を使用しており、商用化に向けた試験を継続している模様である。なお、BeelineはHSPA+サービスを4Gと呼ぶこともあるが、LTEサービスではないためこちらも注意しておきたい。

▼Beelineの本社ビルにはBeelineの看板が確認できる。
Beelineの本社ビルにはBeelineの看板が確認できる。

LTEサービスを導入予定のPlanet Computers

ラオスでは携帯電話サービスを提供する移動体通信事業者以外に、Planet ComputersもLTEサービスを提供する計画がある。Planet Computersは4GとしてWiMAXサービスを提供しており、WiMAXサービスはビエンチャンのみを提供エリアとして展開している。

将来的にはLTEサービスを導入する予定としており、LTEサービスの導入に向けて試験中であることを認めている。開始時期は2015年末から2016年を目指すとしているが、あくまでも目標であり具体的な商用化の時期など未定とのことである。

▼Planet Computersの本社が入るビルの前にはPlanet Computersが入居することが案内されている。
Planet Computersの本社が入るビルの前にはPlanet Computersが入居することが案内されている。

▼Planet Computersの本社が入るビル。
Planet Computersの本社が入るビル。

LTEサービスの本格化に期待

ラオスではLTCがLTEサービスを導入してからしばらくは提供エリアがビエンチャンのみに限られるなど、決してLTEサービスの展開は積極的と言える状況ではなかった。しかし、UnitelがLTEサービスを開始する計画を明らかにしてからLTCは提供エリアの拡大を急いでおり、ようやくLTCがLTEサービスの展開を強化している。当初の予定より少し遅れたもののUnitelがLTEサービスを開始したことで、2社がLTEサービスで競争する環境となり、今後はLTEサービスの提供エリアがこれまで以上に急速に広がる可能性が高い。

また、BeelineやPlanet ComputersはLTEサービスを導入する計画を明らかにしており、この2社までLTEサービスを導入すればETLも競争力を確保するためにLTEサービスの導入は避けられないだろう。

早期にLTEサービスを導入したラオスであるが、のんびりとしたラオスを表しているかのように移動体通信業界の市場は盛り上がりに欠けていると言わざるを得ない。ようやく複数の移動体通信事業者がLTEサービスを提供する市場となり他の事業者も参入する方針であるため、今後はこれまで以上に各移動体通信事業者がLTEサービスの展開を本格化することに期待したい。

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田村 和輝(たむら・かずてる)

滋賀県守山市生まれ。国内外の移動体通信及び端末に関する最新情報を収集し、記事を執筆する。端末や電波を求めて海外にも足を運ぶ。国内外のプレスカンファレンスに参加実績があり、旅行で北朝鮮を訪れた際には日本人初となる現地のスマートフォンを購入。各種SNSにて情報を発信中。