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国家IT戦略がIoTに注力すべき理由

Why National IT strategy must focus on IoT

2016.11.30

Updated by Mayumi Tanimoto on 11月 30, 2016, 23:53 pm JST

IoTが注目されて久しくなりますが、気になるのは各国政府がIoTを国家IT戦略にどのように位置付けているかですが、まだ具体的な施策を述べている国は少ないようです。

しかしIoTに関しては、従来のITインフラやインタ=ネット関連施策よりも、政府が担う役割は大きいためIoTは国家IT戦略の柱として扱う必要があります。

その理由はいくつかありますが、第一にIoTの普及は国民の生産性に大きく関わる点です。日本のメディアを見ていると、IoTは単に消費者向けのデバイスがちょっと便利になるだけのようなイメージで、生産性に関わる部分は強調されませんが、実はこれは国の経済にとってもっとも重要なことの一つです。

生産性向上の恩恵を最も受けるのは、業務利用の部分です。機械同士が通信することにより、情報が自動的に収集され、例えばより効率的な経路が割り出されたり、リソース(人・物・金・時間)が適切に配分されたり、改修のタイミングを人力に頼らずに知ることができるようになり、業務が効率化されます。交通、輸送、農業、エネルギーといった分野では劇的な変化が期待できますが、消費者的に見ると若干地味な世界です。

一気に普及するのであれば、国の生産性の向上に貢献する可能性が大変高いので、そもそもホワイトカラーの生産性が大変低い上に、消費高齢化で生産者人口を失う日本のような国にとっては大変重要なので、日本こそIoTを国家戦略としてもっと重要に考えなければなりません。

第二に、IoTの普及には標準の策定と調整が必須ですが、民間企業だけではなく、行政も一緒になって取り組む必要がある点です。特に国際的競争力を維持するには、民間企業だけではなく政府によるロビーイングや国際レベルでの調整も不可欠であり、これは国家IT戦略の要として重要視する必要があります。

第三に、IoTの普及はその国のIT力の未来を担っていると行っても差し支えないので、インフラへの投資が必須です。通信インフラそのものだけではなく、機械同士の通信に使われる電波帯域の見直しも必須であり、これは戦略に盛り込まれる必要があります。

第4に重要なのは、公共IT投資を通してIoTを迅速に普及させる必要がある点です。挑戦的なプロジェクトや認知度の向上に貢献するようなサービスを公共が導入し、IoTの普及を推進していくことで市場の底上げが必要です。

残念ながら日本政府が発表した世界最先端 IT 国家創造宣言は、マイナンバーの普及や、政府における情報システム利用に注力しており、IoTに普及に関する具体的な戦略が見えてきません。またIoT普及のための電波帯域見直しや、公共投資を通してどのようにIoTを普及させるかという具体案も見えてこないのが残念なところです。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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