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[2015年47週]IoTのセキュリティ、スマホの契約前後にギャップ、介護タクシーにIP無線機
2015.11.25
Updated by Naohisa Iwamoto on November 25, 2015, 11:02 am JST
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2015.11.25
Updated by Naohisa Iwamoto on November 25, 2015, 11:02 am JST
多方面のニュースがあった1週間だった。技術的側面では、IoT機器のセキュリティ確保や、山間部の水位監視の低コスト化、信号音通信技術による情報配信など、新しいソリューションのニュースが続々とあった。サービス面では、トーンモバイルの新サービスと新端末の発表、市場面ではスマートフォンの契約内容や利用状況の把握に関する調査の発表、またキャリアの展開では介護タクシーへのIP無線機の導入やApple SIMへの対応などトピックが盛りだくさんだ。
まず技術関連のトピックから見ていこう。ユビキタスは、IoT機器(IoTデバイス)に組み込まれるデバイス固有の証明書や電子鍵情報などの秘匿データを保護して、セキュアなIoTを実現するセキュアドIoTデバイスソリューション 「Ubiquitous Securus」を提供する「Ubiquitous Securus」は、デバイス上の秘匿データを管理するソフトウエアと同社のクラウドプラットフォームサービス「dalchymia」とを連携させて、データを保護するもの。IoTデバイスで求められるセキュリティに対して、導入、企画、開発、製造からメンテナンスまで総合的なソフトウエアとサポートを提供する(報道発表資料:ユビキタス社、セキュアドIoTデバイスソリューション「Ubiquitous Securus」を11月17日に発表)。
日本電業工作(以下、DENGYO)は、携帯電話のエリア外の山間部などで水位監視を可能にする「Mu センサ 自然環境監視システム」(以下、Mu センサ)を開発した。従来システムではカバーできなかったエリアでも水位のワイヤレスセンシングが可能になり、自然災害発生時の対策に効果が期待できる。DENGYOでは、太陽光パネルと長距離無線を利用したワンパッケージ化により、1日で設置が可能で、従来システムに比べてコストを10分の1以下に抑えられるとしている(関連記事:低コストで迅速に山間部の水位監視を開始できるセンサーシステム、DENGYOが開発
)。
コンピューター・ビジネスとKDDIは共同で、KDDI研究所の信号音通信技術を活用した情報配信プラットフォーム「サウンドインサイト」を開発した。これは、表示したい情報 (URL) を短い信号音に乗せて、専用アプリを搭載したスマートフォンに情報を表示させるプラットフォーム。空港、駅、電車、バスなどに設置されたスピーカーから発するアナウンスやブザー音、メロディ音などを、スマートフォンで受信するだけで情報を受け取れる。「サウンドインサイト」は、国内で初めて可聴域と非可聴域の双方の信号音に対応したシステムで、信号音を意識させずに情報をプッシュすることが可能になった(報道発表資料国内初! 可聴&非可聴の信号音に対応した情報配信プラットフォーム「サウンドインサイト」を提供開始)。
サービス、端末関連のニュースでは、CCCとフリービットの合弁会社でモバイル通信サービスを提供するトーンモバイルの「TONE」の新サービス、新端末の発表のトピックがあった。
新端末「TONE m15」と、アップデートするサービスの双方が連携して、快適性や安心感を強調するものだ。新サービスではLTEへの対応のほか、セキュリティ対策や安心して利用できるためのサービスを拡充。新端末のm15は5.5インチHDディスプレイを搭載し、LTE、NFCへの対応など機能を高めながら薄型軽量化を実現した(関連記事:TONE、安心・安全の機能を高めた新サービス、LTE対応の新端末「m15」も)。
健康推進に力。ソフトバンク、健康コーポレーション(以下健康CP)、RIZAP(ライザップ)の3社は、IT・通信およびヘルスケア領域を中心とする分野で、新ビジネスモデルを創造する協業体制を構築することで合意した。RIZAPはパーソナルトレーニングジム「RIZAP」の運営会社。健康CPはその親会社で美容・健康に関する商品開発・販売を行っている。RIZAPの運動指導、栄養指導などのノウハウ、健康CPのマーケティング力、ソフトバンクのIT・通信技術を組み合わせて人々の健康増進に貢献することを目的として締結する(関連記事:ソフトバンクとRIZAP、ウェアラブルデバイスや新ビジネスモデル共同開発で合意)。
また、ソフトバンクは、SoftBank、Y!mobileブランドの一部の携帯電話端末に向けて、「迷惑電話ブロック」サービスを開始すると発表した。対応機種の発売に合わせて提供を始める。今回はフィーチャーフォンタイプの端末に向けたサービスとして提供する。着信時のブロックだけでなく、不審な電話番号への発信の際にも端末が振動するなどでリスクを知らせる(関連記事:「迷惑電話ブロック」をSoftBank、Y!mobileの携帯電話向けに開始、発信時の警告も)。
調査のニュースを2つ紹介する。MMD研究所は、スマートフォン所有者を対象に「スマートフォンに関する意識調査」を実施し、結果を公表した。それによると、月々のデータ通信使用量をキャリアユーザーの21.5%が把握していないことがわかった。2GB未満との回答も23.9%に上った。契約時の契約内容の把握についても、キャリアユーザーの29.7%、格安SIMユーザーの14.3%が「内容を理解できていなかった」と回答。その結果、5割以上がスマートフォン契約前後で何らかのギャップがあったと回答し、キャリアユーザーは「月々の利用料金が思ったより高かった」(39.9%)、格安SIMユーザーは「契約したデータ通信プラン(上限)が多過ぎた」(18.5%)が最多という結果だった。複雑な料金、支払いの体系などにより、通信事業者と利用者の間でコミュニケーションが必ずしも上手くいっていないことが浮き彫りにされた調査結果だ(報道発表資料:5割以上がスマートフォン契約前後で何らかのギャップがあったと回答)。
もう1つはジーエフケー マーケティングサービス ジャパン(GfK ジャパン)が実施した、スマートフォン販売動向およびスマートフォンの使用実態調査の結果。SIMロック解除やSIMフリー端末の認知率などの結果を発表した。SIMロック解除、およびSIMフリースマートフォンの認知度は「名前だけは聞いたことがある」を含め76%に上る。SIMフリースマートフォンの割合は2015年でスマートフォン販売台数の2%で、本格化は2017年後半を見込んでいる(報道発表資料:「スマートフォンの販売動向と利用実態調査」 - SIMフリースマートフォンはスマートフォン販売の2%へ)。
キャリアのこの週のトピックを紹介する。ソフトバンクは西菱電機と連携し、日本最大の介護タクシーの全国組織である一般社団法人 日本福祉医療輸送機構(以下、JWMTO(ジェウント):Japan Welfare Medical Transport Organization)向けに、ハンディ型業務用IP無線機「SoftBank 301SJ」(西菱電機製)を納入する。「SoftBank 301SJ」はハンディ型の業務用IP無線機で、ソフトバンクのエリア内で通信・音声通話が可能なほか、プレストークやGPSによるトラッキング、動態管理などの需要にも対応する。JWMTOは、約2200の事業者を有する日本最大の介護タクシーの全国組織で、加盟する事業者やドライバーに「SoftBank 301SJ」を導入・携帯することで、サービスの質の向上が期待できる(報道発表資料:ハンディ型の業務用IP無線機「SoftBank 301SJ」を日本最大の介護タクシー全国組織へ納入)。
KDDIは、Apple SIMに対応した「LTEデータプリペイド」の提供を開始した。Apple SIMをセットしたiPadを持参して来日した訪日外国人は、国内向けのSIMカードを購入することなく、iPad上でプリペイドプランの契約が可能となる。日本国内でauのモバイルネットワークによるデータ通信サービスを手軽に利用できる。対応機種は、「iPad Pro Wi-Fi+Cellularモデル」「iPad Air 2 Wi-Fi+Cellularモデル」「iPad mini 4 Wi-Fi+Cellularモデル」「iPad mini 3 Wi-Fi+Cellularモデル」(報道発表資料:日本初、auの「LTEデータプリペイド」がiPad向けApple SIMに対応)。
NTTドコモは、海外の移動通信事業者に向けたコンサルティングサービスを開始した。国内で得たノウハウや技術を生かし、海外のネットワークの通信品質向上に貢献したい考え。ネットワークのコンサルティングサービスの第一弾は、フィリピンの移動通信事業者であるSMART COMMUNICATIONSに提供する。フィリピンのメトロポリタン・マニラ地区にあるビル群の品質測定と屋内無線品質改善に関するコンサルティングを受注した(関連記事:ドコモがコンサルサービスに進出、ノウハウや技術を海外事業者の通信品質改善に)。
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