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EU米国間の新たなセーフハーバー協定の締結に向けて、対立点などが明らかになってきた。各ニュースの詳細については、原文のリンクを参照されたい。

法律・規制

欧米間の対立はこれまで繰り返されてきたものだが、テロが相次いでいる状況下のため強い発言となっている。

米司法長官がEUのデータ保護政策を批判、テロ対策に多国間の情報共有は不可欠と発言
U.S. Attorney General Lynch chides European decisions to restrict data sharing
米司法長官が、EUの新しいデータ保護法によって、テロ対策が後退するとの警告を発した。同長官は、環大西洋地域のテロや犯罪対策において同盟国間の素早い情報共有は不可欠で、オバマ政権のプライバシー保護への努力を無視しているとも発言。また、これまでに米国はテロ対策のための45の国と情報共有条約を結んでおり、この条約に基づいて4千件のテロリストに関する情報をインターポールに提供したとしている。

新たなセーフハーバー締結に向けて、EU側からの条件が見えてきた。

EU司法委員、新セーフハーバーにはEU側から効力停止できる項目が含まれるだろうと発言
EU can suspend new data transfer pact with U.S. if worried about privacy: Official
EUのエウロヴァ司法委員が、欧米間の新たなセーフハーバー条約の締結に先立ち、EU側が米国の法的枠組みが不十分だと判断した場合は、条約を一次停止する権利が盛り込まれることを明らかにした。新条約が1月の合意に向けて交渉中だが、米国が安全保障目的でのデータアクセスについて譲歩をしないとみられている。

新たなセーフハーバー締結に向けてのハードルが明らかになってきた。

米国EU間の新たなデータ移転条約の成否は、米国上院での関連法案成立に掛かることに
It’s Senate’s Move for EU-US Data Transfers
米国では新たなセーフハーバ締結のために、米国政府機関が個人情報を誤用したり、法執行目的で米国へ移転された個人情報へEU市民がアクセスや修正を拒否されたりした場合、法的救済を求めることができる「EU米国データ保護包括協定」が検討されている。この条約実現のためには、「Judicial Redress Act(法的救済法)」の成立が不可欠だが、同法案は現在、上院司法委員会において議論の途上にある。

セーフハーバーの早期締結に向けて、各方面から上院にプレッシャーが掛けられている模様。

米国におけるEU市民のプライバシー保護法案が2016年へ審議が持ち越し
Senate Judiciary delays data privacy bill
上院司法委員会は、EU市民が米国ないで、自らの個人情報が誤用(悪用)された場合に訴訟を起こす権利を与える新法の審議を進めている。同法は、EU米国間の新たなセーフハーバー協定には不可欠となっているが、成立は1月以降に持ち越される見込み。コンピュータ・通信業協会は水曜、上院に対し「アメリカ人は既にEUでこれらの権利を持っている。そして同様なルールで報いることは信頼を修復するために正当であり必要でもある」と同法の素早い審議を要請した。

ビジネス

事業の継続性を意識するならば、プライバシー保護を念頭にユーザーと直接相対すべきと言うアドバイス。

企業はセーフハーバーに頼らず、プライバシー・バイ・デザインを実現する技術でサービスを設計すべき
Evaluating the demise of ‘Safe Harbour’: what next for privacy and consent?
セーフハーバー無効化によって、米国企業は欧州での事業継続のために対応を迫られた。しかし、企業がプライバシー対策をセーフハーバーに依存することの危険性は以前から指摘されており、企業は今後の当局の動向を注視して長期的な対策を取らなければならない。その有力な方法がUser-Managed Accessである。IDマネジメントとプライバシーコントロールが融合したもので、プライバシー・バイ・デザインに基づいたサービス設計を実現する枠組みである。

保険はIoTと結びつくことで、新たな可能性を開こうとしているが、それは消費者にとってどれほどのメリットがあるのだろうか。

データの収集を企てる保険会社、契約者を詳細に分類し効率的な商品の開発を狙う
Les donnees personnelles, mine d'or pour les assureurs
保険会社が自動車の運転診断、健康アドバイスのアプリを提供しており、契約者はこれらのアプリが収集する個人データと引き替えに、保険料の割引きを受けられる。保険会社は多くのデータを集めることで、人々の傾向を分析し、セグメントを細かく分けた保険商品の開発が可能になる。自動車保険では先行している事例だが、今後は生命保険等で位置情報などのデータ活用がより進むだろう。

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