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年末年始に掛けて、EUと米国間でのプライバシー保護に関する駆け引きとみられる動きが散見した。各ニュースの詳細については、原文のリンクを参照されたい。

調査・レポート

消費者を差別的に取り扱うことを禁じた法律が、ビッグデータを利用したオンライン広告においても有効に機能しているようだ。

米FTC、ビッグデータが消費者への「差別」を生み出していないかレポート
FTC Releases Report on Benefits and Risks of Big Data
米連邦取引委員会(FTC)は1月上旬に、ビッグデータ分析が商業上の差別に関する影響についてのレポートを公表した。同レポートは、ビッグデータが教育や金融、医療において個人に恩恵を与えているとし、こうした状況の背景には住宅やクレジット、雇用に関する反差別法が、オンライン広告にも適用されるためだと分析されている。ビッグデータとプライバシーに関しては、今後ホワイトハウスからもレポートが発表される予定だ。

法律・規制

2015年12月15日にEU各機関から承認された一般データ保護規則におけるプロファイリングの扱いについて詳細な解説。

EUの新データ保護規則はプロファイリングの適切な運用を求める、罰則も強化
What lies ahead with the approved General Data Protection Regulation (GDPR)?
EUの新しい一般データ保護規則では、プロファイリングのリスクが重視されている。プロファイリングを利用している組織は、データに基づく機械的な判断を行っていることを消費者に通知する義務、消費者による意義の受け付け、保護規則準拠への説明責任などだ。違反した場合には最大2000万ユーロ、または前年度の全世界年間売上の4%の罰金が課され、EU市民をプロファイリング対象にする場合は組織の所在地に寄らず保護規則が適用されるなど、厳しいものとなっている。

その他

米国では着々と操作が進んでいるが、VW社からの自主的な情報公開はなりを潜めている。

独フォルクスワーゲン社、プライバシー法を盾に米当局への資料提供を拒否
VW Using German Privacy Law to Thwart US Investigators: Officials
独フォルクスワーゲン社は、排ガス規制の不正回避問題に際して米国当局からの要請に対して、ドイツのプライバシー法を盾に資料提供を拒んだと、ニューヨーク州とコネティカット州の検事が声明を発表した。この件に関して、フォルクスワーゲン社からは迅速な返答はなかったという。

Consumer Electronics Show 2016にて行われた公開インタビューでの発言のためか、かなり米国企業側に寄ったものとなっている。

米FTC委員長、国際間協調がなければ企業にもプライバシーにも悪影響と発言
CES 2016: Ramirez?Safe Harbor Uncertainty Is Untenable
米連邦取引委員会のラミレス委員長は、クロスボーダーにおけるプライバシー保護の一貫性のなさが、企業にもプライバシーそのものにも悪影響を与えていると発言した。また、セーフハーバー無効判決については、EUによる米国企業の締め出しという面があるとの見方を示した。そして、米国の規制がEUよりも緩やかなことを認めつつも、両者はプライバシーについて同じ目標を共有しており、FTCと欧州委員会は緊密に協力していると語った。

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