[MWC2016]ソニーモバイル、Xperia「第3章」はスマホ+スマートプロダクツで新しいコミュニケーションを提案

2016.02.25

Updated by Naohisa Iwamoto on 2月 25, 2016, 06:04 am JST

スペイン・バルセロナで開催中のMobile World Congress 2016(MWC2016)で、ソニーモバイルコミュニケーションズはXperiaシリーズの新製品やコンセプトモデルを発表した。スマートフォンの製品はもちろんだが、新しいコミュニケーションの姿を提案する製品群である「Xperiaスマートプロダクツ」に力を入れた発表だった。

▼ソニーモバイルコミュニケーションズ社長 兼 CEOの十時裕樹氏は、まず「Xperiaスマートプロダクツ」を発表、紹介した20160224_xperia001

発表会の冒頭で紹介されたのは、「Xperia Ear」と名付けた次世代のイヤーピースの製品。その後にスマートプロダクツのコンセプトモデルとして、カメラの「Xperia Eye」、小型プロジェクターの「Xperia Projector」、さらにこれらのスマートプロダクツの機能を統合した「Xperia Agent」を紹介した。Xperiaの代名詞であるスマートフォンは、これまでの「Xperia Zシリーズ」からシリーズ名も新たにした「Xperia X」シリーズの3ラインアップを発表した。しかし、それはスマートプロダクツの後の紹介になった。「Xperia」が、スマートフォンという単一の商品のブランドから、コミュニケーションをアシストするツールを総称するブランドになった瞬間だったとも言える。

MWC2016会場で報道関係社向けのグループインタビューに応じた同社 商品企画統括部長の伊藤博史氏は、「Xperiaは、新しいChapter(章)に入った。Androidを搭載した最初のXperiaから第1章、ソニーグループの技術を詰め込んだ“ワンソニー”を具体化したXperia Z1以降が第2章、今回の発表は第3章に相当する。第3章を迎えたXperiaの新しいキーワードはインテリジェンスで、ユーザーのより豊かな生活に寄り添っていきたい」と語る。

Xperia第3章の背景になっている考え方は、スマートフォンが生活の中でかけがえないものになっている今、スマートフォンの画面ばかりを見て周囲で起きている実際のエクスペリエンスを楽しめなくなっている状況からの解放である。ずっと画面を見て下を向いているのではなく、顔を上げて実際の世界のいろいろないいものを体験できるように、スマートフォンを核にしたコミュニケーションを変えようというのだ。そのためには、コミュニケーションを担当するプロダクツに、人間をサポートできるだけのインテリジェンスが必要になる。

▼MWC2016で紹介された4つのXperiaスマートプロダクツ。左手の「Xperia Ear」から反時計回りに「Xperia Eye」「Xperia Projector」「Xperia Agent」20160224_xperia002

スマートプロダクツの中で、すでにグローバルでは今夏に製品発売が決定しているのが「Xperia Ear」(国内発売は未定)。スマートフォンの画面を見られないときに、音声操作で情報をやり取りできるボイスアシスタンス機能を搭載する。スマートフォンとBluetoothで接続して使う。電話の発着信、不在着信や新着メッセージの通知、ツイッターの読み上げ、天気やスケジュールなどの情報の確認、目的地までのナビゲーションなどの機能が搭載される。これらの情報へのアクセスに、スマートフォンならば画面を見て指を画面に走らせなければならない。Xperia Earを使えば、スマートフォンで必要だった手や目による操作が情報入手の手段から解放されることになる。

コンセプトとして展示した「Xperia Eye」は、球面型のフィッシュレンズを採用したインテリジェンスなカメラ。「前面の天地180度、左右180度を画角に持ち、人間の視界をまるごとカバーする。胸に付けておくことで、画像認識と音の認識の技術を活用して、必要なシーンを自動的に判断して静止画を撮影したり動画を記録したりする点が特徴」と伊藤氏は説明する。日常の中で写真に残したいシーンに出会ったとき、撮影のためにスマートフォンの画面とにらめっこするのではなく、肉眼でリアルな体験をしながら写真撮影はXperia Eyeのインテリジェンスな機能に任せる。

同じくコンセプトの「Xperia Projector」は、モバイルだけでなく家の中のコミュニケーションを変えていこうとするもの。「家庭内でも各人がタブレットなどの画面を見続けていることが多い。Xperia Projectorは、超短焦点プロジェクターの技術にインテリジェンスを組み合わせて、家族が集う空間を提供することを狙う」(伊藤氏)。壁や机に投影された画像は、スマートフォンなどのようにタッチして操作が可能なほか、ボイスアシスタンスでも操作できる。時計や天気予報などを表示するほか、机の上に家族の写真を投影して家族全員でコミュニケーションする場を提供したり、遠隔地の祖父母の家のXperia Projectorとビデオコールすることで家族の空間と空間をつなぐ「窓」のような役割をも果たしたりできると期待する。

▼Xperia Projectorの機能を説明するソニーモバイル 商品企画統括部長の伊藤博史氏20160224_xperia003

もう1つのコンセプトモデルが、「Xperia Agent」。Xperia Ear、同Eye、同Projectorの技術をまとめることで、人間に情報を提供するエージェントが作れるという考えだ。プロジェクターでインターネット上の情報を投影したり、通話などのコミュニケーションをさり気なく仲立ちしたりする。「人の顔のような表情を持っているため、話しかけたくなる。ここからコミュニケーションがはじまるエージェントにしたい」(伊藤氏)。

これらのXperiaのスマートプロダクツは、インターネットに接続したモノであり、IoTのデバイスと表現することも可能だろう。ただし、ソニーモバイルはIoTであるということをアピールするのではなく、コミュニケーションに特化した新しい体験を提供する「アシスタント」という価値に重きを置いている。

インテリジェンスによって利用者に使いやすさを提供する考え方は、スマートフォンのXperia Xシリーズでも同じ。「スマートフォンに求められるエッセンシャル(本質)とは何かを再検討し、インテリジェンスな技術を適用した」(伊藤氏)。唯一国内導入を予定する最上位機種の「Xperia X Performance」、フラッグシップモデルの「Xperia X」、ミドルレンジ「Xperia XA」の3モデルを用意する。

上位2モデルでは、インテリジェンスを駆使した機能を搭載する。カメラは、被写体が動く方向を予測してピントを合わせる「先読みオートフォーカス」で、絶対に取り逃しをしない方向に一歩近づけた。バッテリーは2日まるまる使えるスタミナだけでなく、長期間の利用いよるバッテリーのヘタリを低減させる機能を搭載することで使い勝手を保てるようにした。握りやすさをリサーチした結果、5インチの画面サイズを採用し、前面、背面ともに曲面を採用した持ちやすいデザインもポイントだ。

「Xperia X」のXには、Xperiaの頭文字の意味だけでなく、IoT時代の新しいコミュニケーションを提案するマルチプル(掛け算)の「×」の意味も込められているという。人×人、人×モノ、そしてモノ×モノのコミュニケーション。MWC2016で発表された新章のXperiaは、そうした新しいコミュニケーションのツールへと静かに変身していたようだ。

【報道発表資料】
Mobile World Congress 2016出展について

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。